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最後の後悔 続き
2006年1月4日次にあげるのは幾分込み入ったシチュエーションだ。終わりなき大群と破滅への選択という、ゲームの流れを変える要素が2つ。留意して欲しいことも2つ。第1に、この手のシチュエーションは場全体を分析するのには急に複雑になりすぎる。あらゆる可能性に迫っていきたいところだが、プレイヤーたる当事者にとっては現実的とはいえないだろう。代わりにこの場面をどう見るかを限られた時間の中で解説したい。
第2に、これはあなた自身は実体験しないだろう。どちらのデッキもプレイする機会はないだろうし、このデッキはすぐに常ならざる事態になるが、だからといってためにならないというわけではない。1つ目の理由は新たな選択肢にぶつかったとき決定に至るまでのプロセスが際立つため。もっと大事で、もっともセールス・ポイントになるのはこの状態は楽しいってことだ!このゲームが楽しいってこと覚えてるかな?そう願ってるよ。楽しさのほうは君のことを覚えているさ。
ズヴィ=モーショウィッツ 様
このシチュエーションを見ていただきたいのです。今は対戦相手の戦闘前のメインフェイズです。僕は相手がJMSの時間の盗人デッキを使っていることがわかっています。相手は破滅への選択をプレイし、希望の盗人によって1ライフ吸われました。彼はこの後プレイングミスをしないとして、私の最善の選択は何でしょう?
相手 ライフ25
場
沼5 森6 島1 師範の占い独楽 1
血時計 1 希望の盗人 1
手札
破滅への選択 2 (不気味な行列でサーチ)
師範の占い独楽 (血時計で戻った) 1
不明なカード 1
自分 ライフ 16
勇壮な戦闘 1 クラーク族の鉄工所 1
沼 1 平地 1 森 3
1/1蛇トークン(終わりなき大群)12体
手札
魂の管理人(ドローしてきた) 1 勇壮な戦闘 1
デス・マッチ 1 森 3 平地 1
君はこのターンと次のターンの破滅への選択に備えなければならない。最初の選択でライフを払ってパーマネントを温存し、次の選択に取っておくこともできる。一方、対戦相手のライフは25だが、終わりなき大群と勇壮なる戦闘があるためダメージで勝たなければならないわけではない。私は負けたいのでなければ、ライフを払って蛇を残す必要はないと考える。毎ターン大量に出てくるし、今場にある蛇も次の選択がプレイされるまで余っているだろう。多いのは良いことだが、使い捨てにできるコマだ。
最初のステップはどのパーマネントを残すかだ。勇壮な戦闘が第一にくるのは明らかだろう。
では他には?
血時計はパーマネントを戻さない限り2ライフ失うパーマネントで、こちらは出る蛇の関係上パーマネントを戻すほうが上策だ。蛇は取っておくに値するだろうか?場に1体もいなければ希望の盗人から2点のダメージを受けるため、少なくとも1体は必要になるだろう。2体残せばアタックできなくなり、場の緩衝に役立ってくれる。アグレッシブにいくなら3(トークン一つ、土地、勇壮な戦闘)と言ったり、血時計か希望の盗人で2点失うことを覚悟の上で2と言っても良い。安全策を取って4という手もある。3を宣言した場合、相手に崩老卑の囁きがあれば、希望の盗人は生きたままでこちらはトークン2体を失い、さらに血時計のライフ損失もこうむる。他にありうるリスクといえば、相手に時間をわずかばかりだが与えていることだろうか。相手デッキのトップは独楽によってランダムではないが、(不明な一枚が)有効な何かである可能性はまだ低い。
相手の身になって考えてみよう。もしこちらが損失を最小限度に抑えるとすれば、どういう選択をしてくるだろうか?
向こうにしてみれば、終わりなき大群に押し潰される前に君を倒さなければならない。君の場には毎ターン、血時計を戻さなければ8体、戻せば7体のトークンが出る。しかしおそらく希望の盗人の効果誘発を狙って戻すことはないだろう。破滅への選択は2枚あっても1ターンに同時にプレイしてこないし、またできない。君のライフは15だが、2枚目の破滅への選択によって実質14.もう一度秘儀がくる可能性は高く、そうなると13。相手は何とかして大量のダメージを叩き出したいところだが、墓地がないのが君にとって救いだ。
4を選んだら、相手は君に4ライフ失わせることもできる。そうなると、2枚目の選択で死なない程度に好きな数を言うことが可能だ。(相手の秘儀・スピリットの関係上)こちらのライフの総量は不確定で、相手の希望の盗人関係のトリックによるライフ喪失も見積もっておく必要がある。次も4を宣言したなら、相手はパーマネントを選択するか、自分の手札を完璧に近い状態に持っていくかの2択を迫られる。パーマネントを選択されるのに比べて何も悪いところはない。次も4を宣言でき、かつ3より安全なためだ。
では、(1枚目で)5や6と言うことはできるだろうか?もし6と言った場合、相手はおそらく6ライフ失わせ、必要なカードを引いてくればよくなる。相手が君のライフをゼロにする手段をいくつか持ち合わせている以上、これは不要なリスクだろう。5はそれが若干軽減されるが、まだ希望の盗人から現実的な可能性がある。また、相手の手札が充実しているなら、最初の選択では疑いなくライフを失わせることを心に留めておこう。JMSの完全コピーなら相手のデッキには3枚目の破滅への選択はないため、安全策をとったほうが良いだろう。低すぎる数字を宣言するのも不要なリスクを呼び込むことになりかねない。
4を宣言したなら、1回目の破滅への選択はライフを、2回目でも4と言ったなら今度はパーマネントを選択してくるだろう。これで勝つのに必要な要素は少ない犠牲を払って残すことができたが、減らせる犠牲は減らしておきたい。代替案として3がある。ライフ喪失なら4のときより楽なので、パーマネントを選んだときを想定してみよう。こうなると、2枚目の破滅への選択は相手にとってプレイする利益がない。プレイできるが、したところでどうにもならない。仮にしたとして、君は2か3を宣言するだろう。2だった場合、(血時計でパーマネントを戻せず)2ライフ失うが、それでも2ライフに過ぎない。つまり安全に2を宣言できる。これ以外でライフを失うことがないためだ。もし相手が前のターンに続けてプレイしてきたなら、これこそマーク=ジャスティスが96年の世界選手権でやった、暗黒の儀式を2枚得ようとしてDemonic Consultationを連発した事件(注)と同じだろう。正解は1枚目は3、次は(1枚目でライフと言われてない限り)2だろう。
注 96年の世界選手権の決勝ラウンド。マークはネクロデッキ、相手は白ウィニー。マークの手札は沼、Demonic Consultations2枚、イーサンの影。ハルマゲドンにスタックして、2枚のDemonic Consultationsで暗黒の儀式を指定。手札にあるイーサンの影をすばやく展開するのが狙い。2枚の儀式は手札に入ったが、ここでマークにとって想定外の事態が起こった。なんとDemonic Consultationsで、デッキのランドは全てリムーブされてしまったのだ!イーサンの影は6マナ。可哀想なマーク、何もできずに死亡。かくして世界選手権決勝ラウンドの珍事として語り継がれることになりましたとさ。
第2に、これはあなた自身は実体験しないだろう。どちらのデッキもプレイする機会はないだろうし、このデッキはすぐに常ならざる事態になるが、だからといってためにならないというわけではない。1つ目の理由は新たな選択肢にぶつかったとき決定に至るまでのプロセスが際立つため。もっと大事で、もっともセールス・ポイントになるのはこの状態は楽しいってことだ!このゲームが楽しいってこと覚えてるかな?そう願ってるよ。楽しさのほうは君のことを覚えているさ。
ズヴィ=モーショウィッツ 様
このシチュエーションを見ていただきたいのです。今は対戦相手の戦闘前のメインフェイズです。僕は相手がJMSの時間の盗人デッキを使っていることがわかっています。相手は破滅への選択をプレイし、希望の盗人によって1ライフ吸われました。彼はこの後プレイングミスをしないとして、私の最善の選択は何でしょう?
相手 ライフ25
場
沼5 森6 島1 師範の占い独楽 1
血時計 1 希望の盗人 1
手札
破滅への選択 2 (不気味な行列でサーチ)
師範の占い独楽 (血時計で戻った) 1
不明なカード 1
自分 ライフ 16
勇壮な戦闘 1 クラーク族の鉄工所 1
沼 1 平地 1 森 3
1/1蛇トークン(終わりなき大群)12体
手札
魂の管理人(ドローしてきた) 1 勇壮な戦闘 1
デス・マッチ 1 森 3 平地 1
君はこのターンと次のターンの破滅への選択に備えなければならない。最初の選択でライフを払ってパーマネントを温存し、次の選択に取っておくこともできる。一方、対戦相手のライフは25だが、終わりなき大群と勇壮なる戦闘があるためダメージで勝たなければならないわけではない。私は負けたいのでなければ、ライフを払って蛇を残す必要はないと考える。毎ターン大量に出てくるし、今場にある蛇も次の選択がプレイされるまで余っているだろう。多いのは良いことだが、使い捨てにできるコマだ。
最初のステップはどのパーマネントを残すかだ。勇壮な戦闘が第一にくるのは明らかだろう。
では他には?
血時計はパーマネントを戻さない限り2ライフ失うパーマネントで、こちらは出る蛇の関係上パーマネントを戻すほうが上策だ。蛇は取っておくに値するだろうか?場に1体もいなければ希望の盗人から2点のダメージを受けるため、少なくとも1体は必要になるだろう。2体残せばアタックできなくなり、場の緩衝に役立ってくれる。アグレッシブにいくなら3(トークン一つ、土地、勇壮な戦闘)と言ったり、血時計か希望の盗人で2点失うことを覚悟の上で2と言っても良い。安全策を取って4という手もある。3を宣言した場合、相手に崩老卑の囁きがあれば、希望の盗人は生きたままでこちらはトークン2体を失い、さらに血時計のライフ損失もこうむる。他にありうるリスクといえば、相手に時間をわずかばかりだが与えていることだろうか。相手デッキのトップは独楽によってランダムではないが、(不明な一枚が)有効な何かである可能性はまだ低い。
相手の身になって考えてみよう。もしこちらが損失を最小限度に抑えるとすれば、どういう選択をしてくるだろうか?
向こうにしてみれば、終わりなき大群に押し潰される前に君を倒さなければならない。君の場には毎ターン、血時計を戻さなければ8体、戻せば7体のトークンが出る。しかしおそらく希望の盗人の効果誘発を狙って戻すことはないだろう。破滅への選択は2枚あっても1ターンに同時にプレイしてこないし、またできない。君のライフは15だが、2枚目の破滅への選択によって実質14.もう一度秘儀がくる可能性は高く、そうなると13。相手は何とかして大量のダメージを叩き出したいところだが、墓地がないのが君にとって救いだ。
4を選んだら、相手は君に4ライフ失わせることもできる。そうなると、2枚目の選択で死なない程度に好きな数を言うことが可能だ。(相手の秘儀・スピリットの関係上)こちらのライフの総量は不確定で、相手の希望の盗人関係のトリックによるライフ喪失も見積もっておく必要がある。次も4を宣言したなら、相手はパーマネントを選択するか、自分の手札を完璧に近い状態に持っていくかの2択を迫られる。パーマネントを選択されるのに比べて何も悪いところはない。次も4を宣言でき、かつ3より安全なためだ。
では、(1枚目で)5や6と言うことはできるだろうか?もし6と言った場合、相手はおそらく6ライフ失わせ、必要なカードを引いてくればよくなる。相手が君のライフをゼロにする手段をいくつか持ち合わせている以上、これは不要なリスクだろう。5はそれが若干軽減されるが、まだ希望の盗人から現実的な可能性がある。また、相手の手札が充実しているなら、最初の選択では疑いなくライフを失わせることを心に留めておこう。JMSの完全コピーなら相手のデッキには3枚目の破滅への選択はないため、安全策をとったほうが良いだろう。低すぎる数字を宣言するのも不要なリスクを呼び込むことになりかねない。
4を宣言したなら、1回目の破滅への選択はライフを、2回目でも4と言ったなら今度はパーマネントを選択してくるだろう。これで勝つのに必要な要素は少ない犠牲を払って残すことができたが、減らせる犠牲は減らしておきたい。代替案として3がある。ライフ喪失なら4のときより楽なので、パーマネントを選んだときを想定してみよう。こうなると、2枚目の破滅への選択は相手にとってプレイする利益がない。プレイできるが、したところでどうにもならない。仮にしたとして、君は2か3を宣言するだろう。2だった場合、(血時計でパーマネントを戻せず)2ライフ失うが、それでも2ライフに過ぎない。つまり安全に2を宣言できる。これ以外でライフを失うことがないためだ。もし相手が前のターンに続けてプレイしてきたなら、これこそマーク=ジャスティスが96年の世界選手権でやった、暗黒の儀式を2枚得ようとしてDemonic Consultationを連発した事件(注)と同じだろう。正解は1枚目は3、次は(1枚目でライフと言われてない限り)2だろう。
注 96年の世界選手権の決勝ラウンド。マークはネクロデッキ、相手は白ウィニー。マークの手札は沼、Demonic Consultations2枚、イーサンの影。ハルマゲドンにスタックして、2枚のDemonic Consultationsで暗黒の儀式を指定。手札にあるイーサンの影をすばやく展開するのが狙い。2枚の儀式は手札に入ったが、ここでマークにとって想定外の事態が起こった。なんとDemonic Consultationsで、デッキのランドは全てリムーブされてしまったのだ!イーサンの影は6マナ。可哀想なマーク、何もできずに死亡。かくして世界選手権決勝ラウンドの珍事として語り継がれることになりましたとさ。
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