選手権の影響か、スタンダードの記事ばかりなので、プロツアー予選とグランプリのフォーマットはあまり注目されていない。この辺の需要を満たすべく、リミテッドについていくつか指南させて頂きたい。
もうご存じのこととは思うが、最近行われた神戸でのリミテッドはハイレベルなものだった。私個人、プロツアー神戸に向けた練習はたくさんやってきたつもりだ。プロツアーの1週間前、同じフォーマットのグランプリがアテネであった。その1週間前に現地入りして、ヨーロッパのプロとウィークリーマンションに滞在した。顔ぶれは、Anton Jonsson、 Julien Nuijten、Jelger Wiegersmaに Gabriel Nassif。全員のプロポイントを足すとすごい量だ。そこで1日3〜4度ほど、質の高い練習をこなした。しかしながら、練習したからといって必ず結果が出るわけではない。どちらの大会でも1ドルも得られなかった。
(かなり中略)
二つのトーナメントを振り返って、どうして自分は賞金までいけなかったのだろう?運が悪かっただけか?もちろんそうではない。何もかも不確定要素のせいにはできないし、自分以外を責めてはいけない。ゲームやドラフトで幾度かプレイミスをした。よいプレイングはできたと思うが、最高のプレイングではない。3ターン目に出すクリーチャーや、ドラフト後半での色替えなどなど。これらは普通、プレイングミスとも気づかないほどの小さな事だが、積み重なって勝ち負けを分けるかもしれない。負けたとき(勝ったときでさえも)、運が悪かったとか、相手にトップデッキされたとか泣き言を漏らすべきではない。いずれにしろどうにもできないことなのだから。できることをできるだけやってみて、間違いがないか探してみよう。何故その間違いをしたのか、そしてどうすれば同じミスを繰り返さずに済むか考えよう。ゲームを振り返って積極的に他の選択肢がなかったか探すのも、強くなるためのスタンスとして大事なことだ。自分のミスを認められるプレイヤーは、認めないプレイヤーよりも強くなれる。ミスは誰もがする。良いプレイヤーとは、単にミスが少なく、ミスしたことに気づける(そこから学ぶことのできる)プレイヤーだ。要は、自分自身に批判的であれ。
点数表はあるのか?
自分のトーナメントの経験というか、全般的なアドバイスというか、大言壮語から今回の時のらせんのリミテッドについて言わせてもらおう。答えはイエスでもありノーでもある。たしかに前のセットと同様、時のらせんの全カードについて点数付けリストを作りかけたが、途中で投げ出した。特にこのフォーマットがまだ始まったばかりだということで、困難だったためだ。コモンやアンコモンは一度なりとも使ったことのあるので、おおよそのパワーレベルはわかる。レアはだいぶきつくなるが、まだなんとかなる。しかし、そのうえタイムシフトカードまで加わると、ほとんど見たこともないような201枚と格闘しなければならない。「フランク、古木のヴァーデロスとスパイクの耕し手、どっちが強い?」とか、「コーの先導、果敢な先兵、コロンドールのマンガラどれがいいだろう?」うーん、そんなこと言われても・・・。
それに加え、一瞬の瞬きやヴァティ=イル=ダルのようなマルチカラーの存在も、リストの意味をなくしており、闇の萎縮のような(共鳴者がいるなら強く、いないなら可もなく不可もなくという程度の)カードも素直に評価するのは難しい。つまり、全カードをあますところなくリストアップするというのは非現実的な話だ。そのため、神戸に行く前は、レアと紫カードを除いた、色別のアーキタイプの問題点を挙げるだけにとどまった。特定の色の組み合わせや、テーマやメカニズムのこともあって正解が一つではないこともあるためだ。アーキタイプごとのピック順も載せないことにする。誰かがもうやっているし、必要ならRoel van Heeswijkのリストをリンク先から参照して欲しい。Roelはアテネでの調整仲間の一人で、神戸でも同宿した。このフォーマットについてかなり話し合ってピックリストを作ったが、私も彼の意見におおむね賛成だ。このリストは自分で作ったとも、作ってないとも言うつもりはないが、自分のものの考え方に近い分、リストが(この記事と)通じるところも多いので、このリストは私の太鼓判付きだ。
http://www.manamaze.com/pickorder
ただ、アーキタイプ毎のピック順リストは、どの色の組み合わせでいくか固まっていれば役に立ってくれるが、最初の数手には使えない。この穴を埋めるため、初手レベルのカードをランク付けしたい。その前に、私がどの色の組み合わせが好きで、どの色の組み合わせが嫌いか断っておく。色の好き嫌いはファーストピックの頻度に大きく関わってくるからだ。私の意見では、ベストカラーは青と白。コモンの質・量ともに充実しているため。緑は好きではなく、トップ10に緑のカードは1枚も入っていない。3手目〜4手目なら数は多いが、本当に欲しいと言えるものではない。赤も同様で、稲妻の斧と裂け目の稲妻を除いて、質の良いカードがない。赤は局所的にしか役に立たないうえ、欠点のあるカードが多すぎ、コモンのスロットは灰色オーガばかりだ。黒も弱い。テキストだけ見ると性能がよく、除去の種類も多いが、実際のパフォーマンスは悪い。黒は脆い。
以下に組み合わせを書いていく。自分のやったドラフトで強かった、あるいはいつも0−3だった、などの独断と偏見に基づいて、順位の高い順から低いものへと、自分ならどのようにドラフトするか、若干の説明を加えたい。
1位:白青 ドラフトならこれをやりたい。白絡みならどれでもそうだが、白いアグレッシブなクリーチャーに他の色をタッチする形。象牙の巨人、雲を追うケストレル、正義の凝視、アンコモンでは天界の十字軍を取ったなら、白いクリーチャーと平地を使って損はない。一瞬の瞬きと象牙の巨人のシナジーは反則で、それだけに白青が1位。アグレッシブな白いクリーチャーを集め、2マナ域を並べて補強をうってとどめを刺すタイプが好みだが、城の猛禽と青いフライヤーを取った場合は、青白の定番である、監視スリヴァーで地上を固め、飛行で殴るという形を取ることもできる。いずれにしても、白青は期待を裏切らない。
2位:青赤 次はこのアーキタイプ。このデッキは待機とストームでできている。ケルドの矛槍兵の待機が終わったターンに石炭焚き、ぶどう弾と続けられる。過小評価されている地の底のシャンブラーが、白いクリーチャーを滅殺できるところも見逃せない。コントロール風のデッキになるため、カードの引ける水深の予見者は終盤でも強く、まさに値千金。早めにピックしておこう。
3位:白緑 ご推察の通り、軽くて白いクリーチャーで殴るのが好きなんだ。狩りの興奮や数の力はこのアーキタイプでコモンのトップ5に入るほどで、緑を散らす理由の一つ。緑のクリーチャーは要らない。パンプスペルのみで十分。普通クリーチャーを19体ほど入れるため、版図の踏みつけはこのアーキタイプの大事なパーツだ。もちろんデッキのマナカーブの調節も大事。
4位:白赤 同じく、白いクリーチャー主体で。炎の刃のアスカーリとか、流動石の媒介者とかその他どうでもいいのはいらない。これもアグレッシブな白に、赤の火力を足して作る。死せざる怒りやボガーダンの憤怒獣は、驚くほどこのアーキタイプと相性がよい。
5位:青黒 マッドネスでカードアドバンテージを得るタイプ。コー追われの物あさりで闇の萎縮を捨てられたら最高だ。このデッキはシナジーに溢れており、終盤が強いが、序盤はつらいものがある。軽めのクリーチャーと除去を押さえておくように心がけよう。
6位:緑赤黒 これは私にとって(単なる緑赤、緑黒とは)別個のアーキタイプだ。緑赤、ないし緑黒に、除去のため3色目を入れている。緑のおかげで、絞殺の煤が簡単に運用できる。赤のクリーチャーが弱いため、構成が緑黒タッチ赤になりやすい。私はこのアーキタイプならマナ加速をしてヘイブンウッドのワームのような大きなクリーチャーを出す、コントロールタイプになるようにドラフトする。
7位:青緑 当初このタイプは除去がないためプレイできないと思っていたが、実際はきちんと回ってくれる。早い緑のクリーチャーと、応じ返しに時間の渦でテンポに均衡を置いた戦略をとる。そうそう、本当に破壊したいクリーチャーがいるとき、タフネス3までなら歪んだ爪の変成者と戸惑いの2枚で殺すことができる。
8位:赤黒 私には使えない。どのブースターも開封して数手は良質な除去が取れるが、クリーチャーは使えるのがほとんどいないためだ。クリーチャー基盤の過半数は、欲しくもない灰色オーガと変わらない。エコー付きクリーチャー(地の底のシャンブラー、炎核の精霊、とくに地盤の悪鬼)は、テンポがあまり重要にならず、とにかく早くて大きなクリーチャーが欲しいこの色によく合っている。それでも、私なら絞殺の煤をドラフトしたくらいで赤黒に行こうとは思わない。緑赤黒のほうがお勧めだ。
9位緑赤 もうここまでくると嫌いなアーキタイプなのだが、嵐の束縛を見つけたりして、どうしてもせざるを得ないこともある。この組み合わせでは、巣穴からの総出と、獣群のナールや数の力を上手く使える、アグレッシブな構成にしたい。
10位:緑黒 これにはサリッドも含まれる。精神攪乱・消えない賛歌を4ターン目に打ち込むことができるし、緑探しは(3色目も含めて)マナ調節と共鳴者を兼ねる重要パーツだ。しかし、このセット最弱2色の組み合わせは好きになれない。緑をやる場合、巨大化系だけ取って白緑にするか、マナ加速を取って爆弾カードを速やかにプレイできる緑赤黒に行く。緑黒はナンセンスな組み合わせだというのが私の意見だ。テンポもなければカードアドバンテージもない、ただの紙束。
11位:白黒 じゃあ、なぜこれが最下位なのか?私が白好きで、白に特化した(象牙の巨人、天界の十字軍、コストがダブルシンボルのクリーチャー)デッキをプレイしたいからだ。黒をやらなくてはならない場合、ほとんどの黒のカードが、ダブルコスト(闇の萎縮、ゴルゴンの世捨て)か、1ターン目に沼を置いて待機させる必要がある(腐乱死体、精神攪乱)かのどちらか。堕落の触手は色をタッチさせた程度では使えず、ベラドンナの暗殺者や結核を見ても黒を使いたくはならない。(ところで、相手が強い場合に、結核を待機でプレイすると、自分のクリーチャーを除去してしまう羽目になりやすい。だから素でプレイした方が身のためだ)白と黒、同時にきついコスト支払いを突きつけられて、毎度ランド事故で負ける。この2色は相容れない。
スリヴァー?やらないほうがいい。これも私には使えなかった。スリヴァー軍団で殴り、相手に断骨スリヴァーをまず除去され、戦闘フェイズが終わって全滅。宝革スリヴァーや紡績スリヴァーなど、単体として役に立つスリヴァーを入れるのは悪くない。青白にして監視スリヴァーと心霊スリヴァーを組み合わせたり、管草スリヴァーがあるため霊炎スリヴァーを入れたりしても構わない。だが、増力スリヴァーを初手取りし、デッキ全体を双頭スリヴァーのようなつまらないクリーチャーで埋めるような真似はしてほしくない。このタイプは何度も試したが、一度も勝てなかった。
じゃあ・・・そろそろピック順のリスト出してくれない?
はいはい、わかったわかった。繰り返すが、Roelのリストはどの色の組み合わせでいくか決まっているなら実に頼りになる。だがレアと紫のカードは入っていないし、初手(と2・3手目)でどれを取ればよいかという手がかりにはならない。まずわかりやすく、ドラフトでピックする、コモンとアンコモンのベスト20からいく。
1. Firemaw Kavu
2. Sulfurous Blast
3. Griffin Guide
4. Lightning Axe
5. Riftwing Cloudskate
6. Errant Ephemeron
7. Looter il-Kor
8. Temporal Isolation
9. Sporesower Thallid
10. Knight of the Holy Nimbus
11. Tromp the Domains
12. Rift Bolt
13. Careful Consideration
14. Strangling Soot
15. Sudden Death
16. Amrou Scout
17. Duskrider Peregrine
18. Nightshade Assassin
19. Clockwork Hydra
20. Fathom Seer
この辺にしておこう。これらのカードが初手・2手目で1枚もないほど弱いパックはないと思う。緑と黒のカードの評価が低めだが、私がこの2色を好まず、できれば避けたいため。誰もドラフトしていないようなら話は別だが、私は普通、白いカードと、それより若干良い黒いカードがある場合、白いカードをピックする。経験上、長期的にはそちらのほうがよいためだ。そのためリストにはこうした好みが反映されている。
だいぶ評価にバイアスがかかっているが、ピックの上での参考になると思う。ではレアと紫に入ろう。アーティファクトは高めに、マルチカラーは低めに評価している。できる限り、ファーストピックで色を確定させたくはないというのが理由だ。
1. Disintegrate
2. Stormbind
3. Sacred Mesa
4. Sengir Nosferatu
5. Vesuvan Shapeshifter
6. Spectral Force
7. Call of the Herd
8. Pardic Dragon
9. Teferi, Mage of Zhalfir
10. Jaya Ballard, Task Mage
11. Triskeleavus
12. Stonebrow, Krosan Hero
13. Draining Whelk
14. Sudden Spoiling
15. Bogardan Hellkite
16. Akroma, Angel of Wrath
17. Stronghold Overseer
18. Dragon Whelp
19. Magus of the Scroll
20. Serrated Arrows
21. Plague Sliver
22. Desolation Giant
23. Mindless Automaton
24. Ith, High Arcanist
25. Serra Avenger
26. Verdant Embrace
27. Kaervek the Merciless
28. Sedge Sliver
29. Shadowmage Infiltrator
30. Void
31. Word of Seizing
32. Pentarch Paladin
33. Wurmcalling
34. Thornscape Battlemage
35. Sudden Shock
36. Ixidron
37. Stonewood Invocation
38. Soul Collector
39. Twisted Abomination
40. Faceless Butcher
41. Endrek Sahr, Master Breeder
42. Squall Line
43. Ancestral Vision
44. Fiery Temper
45. Psionic Blast
46. Spike Tiller
47. Avatar of Woe
48. Assault/Battery
49. Candles of Leng
50. Willbender
51. Tribal Flames
52. Thelonite Hermit
53. Verdeloth the Ancient
54. Magus of the Disk
55. Stuffy Doll
56. Weatherseed Totem
57. Evangelize
さて、こんなものだろうか。これがこのセットのトップカードだ。
リミテッド全般のアドバイスをいくつか。まず言えるのは、いつも以上にパックが強い。デッキを組むのに、23枚(マナソースとして土地17枚+虹色のレンズなど)使えるカードが必要だが、これを満たすのは難しくない。つまり、ドラフト後半に入ってからの色替えも十分やれる。たとえば、初手で入念な考慮を流してグリフィンの導きを取ったとしよう。そして強い白のカードをピックし続ける。次に手を出したのは赤のカード。白を3枚(3枚ともトップクラス)、赤を5枚(石炭焚きのような、デッキに入れてもよい程度のカード) ピックしたところで9手目に入り、初手で流した、入念な考慮が残っているのに気がついた。 これを取れば、次に流れてきた一瞬の瞬きあたりが掴めるかもしれない。それまでのリミテッドでは、白青にいくならよくよく考え直す必要があった。もしやってしまうと、5枚の使えるカードをふいにしてしまい、結局使えるカードが足りなくなる恐れがある。白赤のままでいき、9枚目の使えるカードを取るほうが安全策だった。しかし、時のらせんでは話は別だ。パックが平均的に強いため、十分なカードの枚数を確保できるか心配する必要がない。デッキをいかにして最強のカードで満たすかが至上命題だ。23枚目のカードは十分に手に入る。それゆえ白青に移行するのが賢く、そうすればそれに見合った成果が挙げられるだろう。
シールドの話をすると、ピック順のリストの大部分は関係ない。コー追われの物あさりか幻影のカゲロウ獣のどちらを取るか悩む必要はなく、青を使うならまとめて入れてしまえばいいだけの話だ。大事なアドバイスとして、パックの質が従来より強いことにもう一度注目してもらおう。パックを開封し、ある色に12枚使えるカードがあり、別な色に11枚あるなら、その2色で決定し、3色目はタッチしないのがお勧めだ。多くの場合、私はカードパワーより安定性をとるほうで、広漠なる変幻地や虹色のレンズ、明日への探索などがない場合は特にそうする。事故のほとんどない2色は私の好みだ。裂け目の稲妻と突然のショック、山を3枚散らすのも悪い考えではないが、事故でゲームを落とす可能性が確実に増すのは覚悟してほしい。もちろん、色のサーチがある程度そろっているデッキなら色を足すのは上策だ。だが、もうラヴニカブロックではないことは忘れないように。もう一つ大事なことは、メインとなる2色の色拘束がどの程度あるかだ。きつい場合、タッチするとマナベースに負担がかかり、デッキの質ががた落ちしてしまう。あまり声高に言えることでもないのだが、時に見逃してしまうこともあるので要注意だ。例えば、青白のシールドデッキで、アヴナントの癒し手やらトゲ尾の仔ドレイクやら、白も青もダブルシンボルばかりだとしよう。そういう場合は裂け目の稲妻と突然のショックはできる限り入れてはいけない。平地9、島8を平地7、島7、山3に変えてしまうと、3ターン目に3マナクリーチャーを出すのが一気に難しくなり、それだけ勝率も落ちる。そうなるくらいなら、マナベースを傷つけずに済むヴェンセールのスリヴァーのようなカードを入れて、お茶を濁す。
では、今回はここまで。最後になるが、私はこのフォーマットがとても好きだ。レアと紫がたくさんあり、戦略の幅が広く、ドラフトもゲームも二つとして同じものがない。日々新しいシナジーを学べるし、それだけこのフォーマットの面白さが続くということでもある。
読んでくれてありがとう、ではまた次回。
-Frank Karsten
http://magic.tcgplayer.com/db/article.asp?ID=7192
もうご存じのこととは思うが、最近行われた神戸でのリミテッドはハイレベルなものだった。私個人、プロツアー神戸に向けた練習はたくさんやってきたつもりだ。プロツアーの1週間前、同じフォーマットのグランプリがアテネであった。その1週間前に現地入りして、ヨーロッパのプロとウィークリーマンションに滞在した。顔ぶれは、Anton Jonsson、 Julien Nuijten、Jelger Wiegersmaに Gabriel Nassif。全員のプロポイントを足すとすごい量だ。そこで1日3〜4度ほど、質の高い練習をこなした。しかしながら、練習したからといって必ず結果が出るわけではない。どちらの大会でも1ドルも得られなかった。
(かなり中略)
二つのトーナメントを振り返って、どうして自分は賞金までいけなかったのだろう?運が悪かっただけか?もちろんそうではない。何もかも不確定要素のせいにはできないし、自分以外を責めてはいけない。ゲームやドラフトで幾度かプレイミスをした。よいプレイングはできたと思うが、最高のプレイングではない。3ターン目に出すクリーチャーや、ドラフト後半での色替えなどなど。これらは普通、プレイングミスとも気づかないほどの小さな事だが、積み重なって勝ち負けを分けるかもしれない。負けたとき(勝ったときでさえも)、運が悪かったとか、相手にトップデッキされたとか泣き言を漏らすべきではない。いずれにしろどうにもできないことなのだから。できることをできるだけやってみて、間違いがないか探してみよう。何故その間違いをしたのか、そしてどうすれば同じミスを繰り返さずに済むか考えよう。ゲームを振り返って積極的に他の選択肢がなかったか探すのも、強くなるためのスタンスとして大事なことだ。自分のミスを認められるプレイヤーは、認めないプレイヤーよりも強くなれる。ミスは誰もがする。良いプレイヤーとは、単にミスが少なく、ミスしたことに気づける(そこから学ぶことのできる)プレイヤーだ。要は、自分自身に批判的であれ。
点数表はあるのか?
自分のトーナメントの経験というか、全般的なアドバイスというか、大言壮語から今回の時のらせんのリミテッドについて言わせてもらおう。答えはイエスでもありノーでもある。たしかに前のセットと同様、時のらせんの全カードについて点数付けリストを作りかけたが、途中で投げ出した。特にこのフォーマットがまだ始まったばかりだということで、困難だったためだ。コモンやアンコモンは一度なりとも使ったことのあるので、おおよそのパワーレベルはわかる。レアはだいぶきつくなるが、まだなんとかなる。しかし、そのうえタイムシフトカードまで加わると、ほとんど見たこともないような201枚と格闘しなければならない。「フランク、古木のヴァーデロスとスパイクの耕し手、どっちが強い?」とか、「コーの先導、果敢な先兵、コロンドールのマンガラどれがいいだろう?」うーん、そんなこと言われても・・・。
それに加え、一瞬の瞬きやヴァティ=イル=ダルのようなマルチカラーの存在も、リストの意味をなくしており、闇の萎縮のような(共鳴者がいるなら強く、いないなら可もなく不可もなくという程度の)カードも素直に評価するのは難しい。つまり、全カードをあますところなくリストアップするというのは非現実的な話だ。そのため、神戸に行く前は、レアと紫カードを除いた、色別のアーキタイプの問題点を挙げるだけにとどまった。特定の色の組み合わせや、テーマやメカニズムのこともあって正解が一つではないこともあるためだ。アーキタイプごとのピック順も載せないことにする。誰かがもうやっているし、必要ならRoel van Heeswijkのリストをリンク先から参照して欲しい。Roelはアテネでの調整仲間の一人で、神戸でも同宿した。このフォーマットについてかなり話し合ってピックリストを作ったが、私も彼の意見におおむね賛成だ。このリストは自分で作ったとも、作ってないとも言うつもりはないが、自分のものの考え方に近い分、リストが(この記事と)通じるところも多いので、このリストは私の太鼓判付きだ。
http://www.manamaze.com/pickorder
ただ、アーキタイプ毎のピック順リストは、どの色の組み合わせでいくか固まっていれば役に立ってくれるが、最初の数手には使えない。この穴を埋めるため、初手レベルのカードをランク付けしたい。その前に、私がどの色の組み合わせが好きで、どの色の組み合わせが嫌いか断っておく。色の好き嫌いはファーストピックの頻度に大きく関わってくるからだ。私の意見では、ベストカラーは青と白。コモンの質・量ともに充実しているため。緑は好きではなく、トップ10に緑のカードは1枚も入っていない。3手目〜4手目なら数は多いが、本当に欲しいと言えるものではない。赤も同様で、稲妻の斧と裂け目の稲妻を除いて、質の良いカードがない。赤は局所的にしか役に立たないうえ、欠点のあるカードが多すぎ、コモンのスロットは灰色オーガばかりだ。黒も弱い。テキストだけ見ると性能がよく、除去の種類も多いが、実際のパフォーマンスは悪い。黒は脆い。
以下に組み合わせを書いていく。自分のやったドラフトで強かった、あるいはいつも0−3だった、などの独断と偏見に基づいて、順位の高い順から低いものへと、自分ならどのようにドラフトするか、若干の説明を加えたい。
1位:白青 ドラフトならこれをやりたい。白絡みならどれでもそうだが、白いアグレッシブなクリーチャーに他の色をタッチする形。象牙の巨人、雲を追うケストレル、正義の凝視、アンコモンでは天界の十字軍を取ったなら、白いクリーチャーと平地を使って損はない。一瞬の瞬きと象牙の巨人のシナジーは反則で、それだけに白青が1位。アグレッシブな白いクリーチャーを集め、2マナ域を並べて補強をうってとどめを刺すタイプが好みだが、城の猛禽と青いフライヤーを取った場合は、青白の定番である、監視スリヴァーで地上を固め、飛行で殴るという形を取ることもできる。いずれにしても、白青は期待を裏切らない。
2位:青赤 次はこのアーキタイプ。このデッキは待機とストームでできている。ケルドの矛槍兵の待機が終わったターンに石炭焚き、ぶどう弾と続けられる。過小評価されている地の底のシャンブラーが、白いクリーチャーを滅殺できるところも見逃せない。コントロール風のデッキになるため、カードの引ける水深の予見者は終盤でも強く、まさに値千金。早めにピックしておこう。
3位:白緑 ご推察の通り、軽くて白いクリーチャーで殴るのが好きなんだ。狩りの興奮や数の力はこのアーキタイプでコモンのトップ5に入るほどで、緑を散らす理由の一つ。緑のクリーチャーは要らない。パンプスペルのみで十分。普通クリーチャーを19体ほど入れるため、版図の踏みつけはこのアーキタイプの大事なパーツだ。もちろんデッキのマナカーブの調節も大事。
4位:白赤 同じく、白いクリーチャー主体で。炎の刃のアスカーリとか、流動石の媒介者とかその他どうでもいいのはいらない。これもアグレッシブな白に、赤の火力を足して作る。死せざる怒りやボガーダンの憤怒獣は、驚くほどこのアーキタイプと相性がよい。
5位:青黒 マッドネスでカードアドバンテージを得るタイプ。コー追われの物あさりで闇の萎縮を捨てられたら最高だ。このデッキはシナジーに溢れており、終盤が強いが、序盤はつらいものがある。軽めのクリーチャーと除去を押さえておくように心がけよう。
6位:緑赤黒 これは私にとって(単なる緑赤、緑黒とは)別個のアーキタイプだ。緑赤、ないし緑黒に、除去のため3色目を入れている。緑のおかげで、絞殺の煤が簡単に運用できる。赤のクリーチャーが弱いため、構成が緑黒タッチ赤になりやすい。私はこのアーキタイプならマナ加速をしてヘイブンウッドのワームのような大きなクリーチャーを出す、コントロールタイプになるようにドラフトする。
7位:青緑 当初このタイプは除去がないためプレイできないと思っていたが、実際はきちんと回ってくれる。早い緑のクリーチャーと、応じ返しに時間の渦でテンポに均衡を置いた戦略をとる。そうそう、本当に破壊したいクリーチャーがいるとき、タフネス3までなら歪んだ爪の変成者と戸惑いの2枚で殺すことができる。
8位:赤黒 私には使えない。どのブースターも開封して数手は良質な除去が取れるが、クリーチャーは使えるのがほとんどいないためだ。クリーチャー基盤の過半数は、欲しくもない灰色オーガと変わらない。エコー付きクリーチャー(地の底のシャンブラー、炎核の精霊、とくに地盤の悪鬼)は、テンポがあまり重要にならず、とにかく早くて大きなクリーチャーが欲しいこの色によく合っている。それでも、私なら絞殺の煤をドラフトしたくらいで赤黒に行こうとは思わない。緑赤黒のほうがお勧めだ。
9位緑赤 もうここまでくると嫌いなアーキタイプなのだが、嵐の束縛を見つけたりして、どうしてもせざるを得ないこともある。この組み合わせでは、巣穴からの総出と、獣群のナールや数の力を上手く使える、アグレッシブな構成にしたい。
10位:緑黒 これにはサリッドも含まれる。精神攪乱・消えない賛歌を4ターン目に打ち込むことができるし、緑探しは(3色目も含めて)マナ調節と共鳴者を兼ねる重要パーツだ。しかし、このセット最弱2色の組み合わせは好きになれない。緑をやる場合、巨大化系だけ取って白緑にするか、マナ加速を取って爆弾カードを速やかにプレイできる緑赤黒に行く。緑黒はナンセンスな組み合わせだというのが私の意見だ。テンポもなければカードアドバンテージもない、ただの紙束。
11位:白黒 じゃあ、なぜこれが最下位なのか?私が白好きで、白に特化した(象牙の巨人、天界の十字軍、コストがダブルシンボルのクリーチャー)デッキをプレイしたいからだ。黒をやらなくてはならない場合、ほとんどの黒のカードが、ダブルコスト(闇の萎縮、ゴルゴンの世捨て)か、1ターン目に沼を置いて待機させる必要がある(腐乱死体、精神攪乱)かのどちらか。堕落の触手は色をタッチさせた程度では使えず、ベラドンナの暗殺者や結核を見ても黒を使いたくはならない。(ところで、相手が強い場合に、結核を待機でプレイすると、自分のクリーチャーを除去してしまう羽目になりやすい。だから素でプレイした方が身のためだ)白と黒、同時にきついコスト支払いを突きつけられて、毎度ランド事故で負ける。この2色は相容れない。
スリヴァー?やらないほうがいい。これも私には使えなかった。スリヴァー軍団で殴り、相手に断骨スリヴァーをまず除去され、戦闘フェイズが終わって全滅。宝革スリヴァーや紡績スリヴァーなど、単体として役に立つスリヴァーを入れるのは悪くない。青白にして監視スリヴァーと心霊スリヴァーを組み合わせたり、管草スリヴァーがあるため霊炎スリヴァーを入れたりしても構わない。だが、増力スリヴァーを初手取りし、デッキ全体を双頭スリヴァーのようなつまらないクリーチャーで埋めるような真似はしてほしくない。このタイプは何度も試したが、一度も勝てなかった。
じゃあ・・・そろそろピック順のリスト出してくれない?
はいはい、わかったわかった。繰り返すが、Roelのリストはどの色の組み合わせでいくか決まっているなら実に頼りになる。だがレアと紫のカードは入っていないし、初手(と2・3手目)でどれを取ればよいかという手がかりにはならない。まずわかりやすく、ドラフトでピックする、コモンとアンコモンのベスト20からいく。
1. Firemaw Kavu
2. Sulfurous Blast
3. Griffin Guide
4. Lightning Axe
5. Riftwing Cloudskate
6. Errant Ephemeron
7. Looter il-Kor
8. Temporal Isolation
9. Sporesower Thallid
10. Knight of the Holy Nimbus
11. Tromp the Domains
12. Rift Bolt
13. Careful Consideration
14. Strangling Soot
15. Sudden Death
16. Amrou Scout
17. Duskrider Peregrine
18. Nightshade Assassin
19. Clockwork Hydra
20. Fathom Seer
この辺にしておこう。これらのカードが初手・2手目で1枚もないほど弱いパックはないと思う。緑と黒のカードの評価が低めだが、私がこの2色を好まず、できれば避けたいため。誰もドラフトしていないようなら話は別だが、私は普通、白いカードと、それより若干良い黒いカードがある場合、白いカードをピックする。経験上、長期的にはそちらのほうがよいためだ。そのためリストにはこうした好みが反映されている。
だいぶ評価にバイアスがかかっているが、ピックの上での参考になると思う。ではレアと紫に入ろう。アーティファクトは高めに、マルチカラーは低めに評価している。できる限り、ファーストピックで色を確定させたくはないというのが理由だ。
1. Disintegrate
2. Stormbind
3. Sacred Mesa
4. Sengir Nosferatu
5. Vesuvan Shapeshifter
6. Spectral Force
7. Call of the Herd
8. Pardic Dragon
9. Teferi, Mage of Zhalfir
10. Jaya Ballard, Task Mage
11. Triskeleavus
12. Stonebrow, Krosan Hero
13. Draining Whelk
14. Sudden Spoiling
15. Bogardan Hellkite
16. Akroma, Angel of Wrath
17. Stronghold Overseer
18. Dragon Whelp
19. Magus of the Scroll
20. Serrated Arrows
21. Plague Sliver
22. Desolation Giant
23. Mindless Automaton
24. Ith, High Arcanist
25. Serra Avenger
26. Verdant Embrace
27. Kaervek the Merciless
28. Sedge Sliver
29. Shadowmage Infiltrator
30. Void
31. Word of Seizing
32. Pentarch Paladin
33. Wurmcalling
34. Thornscape Battlemage
35. Sudden Shock
36. Ixidron
37. Stonewood Invocation
38. Soul Collector
39. Twisted Abomination
40. Faceless Butcher
41. Endrek Sahr, Master Breeder
42. Squall Line
43. Ancestral Vision
44. Fiery Temper
45. Psionic Blast
46. Spike Tiller
47. Avatar of Woe
48. Assault/Battery
49. Candles of Leng
50. Willbender
51. Tribal Flames
52. Thelonite Hermit
53. Verdeloth the Ancient
54. Magus of the Disk
55. Stuffy Doll
56. Weatherseed Totem
57. Evangelize
さて、こんなものだろうか。これがこのセットのトップカードだ。
リミテッド全般のアドバイスをいくつか。まず言えるのは、いつも以上にパックが強い。デッキを組むのに、23枚(マナソースとして土地17枚+虹色のレンズなど)使えるカードが必要だが、これを満たすのは難しくない。つまり、ドラフト後半に入ってからの色替えも十分やれる。たとえば、初手で入念な考慮を流してグリフィンの導きを取ったとしよう。そして強い白のカードをピックし続ける。次に手を出したのは赤のカード。白を3枚(3枚ともトップクラス)、赤を5枚(石炭焚きのような、デッキに入れてもよい程度のカード) ピックしたところで9手目に入り、初手で流した、入念な考慮が残っているのに気がついた。 これを取れば、次に流れてきた一瞬の瞬きあたりが掴めるかもしれない。それまでのリミテッドでは、白青にいくならよくよく考え直す必要があった。もしやってしまうと、5枚の使えるカードをふいにしてしまい、結局使えるカードが足りなくなる恐れがある。白赤のままでいき、9枚目の使えるカードを取るほうが安全策だった。しかし、時のらせんでは話は別だ。パックが平均的に強いため、十分なカードの枚数を確保できるか心配する必要がない。デッキをいかにして最強のカードで満たすかが至上命題だ。23枚目のカードは十分に手に入る。それゆえ白青に移行するのが賢く、そうすればそれに見合った成果が挙げられるだろう。
シールドの話をすると、ピック順のリストの大部分は関係ない。コー追われの物あさりか幻影のカゲロウ獣のどちらを取るか悩む必要はなく、青を使うならまとめて入れてしまえばいいだけの話だ。大事なアドバイスとして、パックの質が従来より強いことにもう一度注目してもらおう。パックを開封し、ある色に12枚使えるカードがあり、別な色に11枚あるなら、その2色で決定し、3色目はタッチしないのがお勧めだ。多くの場合、私はカードパワーより安定性をとるほうで、広漠なる変幻地や虹色のレンズ、明日への探索などがない場合は特にそうする。事故のほとんどない2色は私の好みだ。裂け目の稲妻と突然のショック、山を3枚散らすのも悪い考えではないが、事故でゲームを落とす可能性が確実に増すのは覚悟してほしい。もちろん、色のサーチがある程度そろっているデッキなら色を足すのは上策だ。だが、もうラヴニカブロックではないことは忘れないように。もう一つ大事なことは、メインとなる2色の色拘束がどの程度あるかだ。きつい場合、タッチするとマナベースに負担がかかり、デッキの質ががた落ちしてしまう。あまり声高に言えることでもないのだが、時に見逃してしまうこともあるので要注意だ。例えば、青白のシールドデッキで、アヴナントの癒し手やらトゲ尾の仔ドレイクやら、白も青もダブルシンボルばかりだとしよう。そういう場合は裂け目の稲妻と突然のショックはできる限り入れてはいけない。平地9、島8を平地7、島7、山3に変えてしまうと、3ターン目に3マナクリーチャーを出すのが一気に難しくなり、それだけ勝率も落ちる。そうなるくらいなら、マナベースを傷つけずに済むヴェンセールのスリヴァーのようなカードを入れて、お茶を濁す。
では、今回はここまで。最後になるが、私はこのフォーマットがとても好きだ。レアと紫がたくさんあり、戦略の幅が広く、ドラフトもゲームも二つとして同じものがない。日々新しいシナジーを学べるし、それだけこのフォーマットの面白さが続くということでもある。
読んでくれてありがとう、ではまた次回。
-Frank Karsten
http://magic.tcgplayer.com/db/article.asp?ID=7192
コメント
今後ともよろしくお願いします。
挨拶が遅れてしまってスイマセン、なぜかコメントできなくなっていたので…