Magical Hack:顔でブロックします
2007年3月20日コメント (3)GP京都も終わったことなので、タイトルの通りブロック構築を。
どの辺に需要があるかは気にせず、今日も我が道を参ります。
http://www.starcitygames.com/php/news/article/13858.html
(前略)
フォーマット分析だが、最初の数十分でとりあえずのデッキリストができた。パワーカードを詰めて作ったり、強かったドラフトデッキの発展形を集め、最終的なこのフォーマットの形はこうなるだろうという予想図ができあがった。このフォーマットの土台となる大事なポイントがいくつかあり、まとめると以下のようになる。
1.ビートダウンの存在に対し、コントロールは全体的にバックアップできるスペルが乏しい。たしかに神の怒りや2枚の紅蓮地獄系だけでなく、荒廃の巨人や雹の嵐まであるが、カウンターは弱くてコストも高い。
2.純粋なコンボデッキは皆無。野生のつがいのような「準コンボ」はありうる。
3.コントロールデッキにテフェリーは外せない。間違いなくこのブロック構築の顔となるクリーチャーで、どのデッキも、これを使う・殺せる・存在を無視できるのうち、最低1つはできなくてはならない。もちろん2つ以上できるならそれに越したことはない。
4.多色は難しい。広漠なる変幻地と虹色のレンズで2色揃えるのがせいぜい。マナ加速や土地破壊といったアドバンテージで致命的に遅れをとる。
カウンターがない場合、相手をコントロールできる他の手段を見つけることが大事になる。テフェリーはトップに来るが、真のNo.1はヴェズーヴァの多相の戦士だろう。安くて、馬鹿馬鹿しいくらい強く、テフェリーのようなトップクリーチャーすら殺せる。どんなに悪くとも、最小限のコストで他のクリーチャーと交換できる。こういうことから、私がブロック構築で最初に形にしたデッキは以下になった。
Teferi and Force
4 Mystic Snake
4 Spectral Force
4 Vesuvan Shapeshifter
4 Wall Of Roots
4 Willbender
4 Teferi, Mage Of Zhalfir
3 Momentary Blink
4 Wipe Away
4 Harmonize
8 Forest
10 Island
1 Plains
2 Gemstone Mine
4 Terramorphic Expanse
4 Ana Battlemage
4 Magus Of The Library
4 Riftwing Cloudskate
3 Seal Of Primordium
「砂漠の蛇」タイプと同様、根の壁を活用したコントロールデッキで、2ターン目に根の壁、3ターン目に変異を出して青1を出せるようにし、相手のターンに変異を裏返すのが理想的な展開だ。マナアドバンテージは大事だが、気の利いたプレイングこそ大事だ。ここまで多相の戦士を活用できるデッキもないが、使い道としては、長期戦にもつれ込ませて塩水の精霊を何度も表に返してロックをかけるよりも、幽体の魔力をコピーして一緒に殴るほうが良さそうだ。一瞬の瞬きと神秘の蛇で、カウンターを水増しすることができ、多相の戦士は、上手く変身させればテフェリー以外のクリーチャーを一方的に殺せる。
この中速青緑デッキを練習する際のポイントだが、レインジャーと幽体の魔力のプランが上手くいかないときでも、意志を曲げるものと神秘の蛇、この2枚で場のコントロールができることを理解しておいて欲しい。このフォーマットの顔であるテフェリーには、ヴェズーヴァの多相の戦士と拭い捨ての二段構えで対処する。テフェリー除去にテフェリー自身の4枚積みも含めれば、二段が三段だ。デッキの調整はここまで順調だったが、(MOの)Tournament Practice Roomでは緑単アグロ(戦績はいいが、私は全く勝てない)や、なだれ乗りの入った土地破壊(ブロック構築では、デュアルランドに印鑑、トロンがない)を相手にしても有意義なものとは言えなかった。焦点となるのは根の壁を突破できる、あるいは他の戦線を作れるかどうかで、2ターン目にこれが出ると、そこから壊れたプレイがあまた繰り出される。
2ターン目根の壁、3ターン目調和?いいね。
2ターン目根の壁、3ターン目神秘の蛇?このフォーマットの
カウンターは割高だ。教えてくれてありがとう。
2ターン目根の壁、3ターン目意志を曲げるもの、
相手のターンに表に返して、サルタリーの僧侶につけられる
はずだったグリフィンの導きを奪う?ナイスだ。
2ターン目根の壁、3ターン目ヴェズーヴァの多相の戦士、
好きなものをコピー?これもイケてる。
そしてさらに4ターン目に幽体の魔力やテフェリー、多相の戦士が続き、さらに意志を曲げるものが(突然の死のようなカウンターできないものも含めて)対象を取る除去を跳ね返す。対抗呪文が3マナと、それだけでゲームに負けかねない環境では、意志を曲げるものを使ったとしても、スタンダードと違って気違い呼ばわりはされない。今回は、いつものような特定のフォーマットに関する(過度に)ドライな分析とは一線を画すため、理論や仮説ではなく実戦で試してみることにした。水曜の夜、4−3−1−1のブロック構築でまずは腕試し。
1本目、こちらが先攻で、相手はブロック構築ではよく見かける赤単。かつてはブロック構築を牛耳ったこのアーキタイプだが、火炎破や孤炎撒きがあったころの話だ。今の赤は火力こそ強いものの、クリーチャーが全く脅威にならない。初手は森2枚、調和2枚、根の壁、意志を曲げるもの、ヴェズーヴァの多相の戦士でキープ。1ターン目は森を置き、相手も山を置くだけでエンド。2ターン目、幽体の魔力をドローして森を置き、根の壁を出す。相手は山を出して血騎士。3ターン目、次に土地が引ければよかったのだが、引いたのは2枚目の意志を曲げるもので、ヴェズーヴァの多相の戦士をプレイしてターンを返す。血騎士がアタックして、壁を壊されるのは嫌なのでブロックせず、相手は3枚目の山を置き、何もせずにエンド。そして念願の島が来たので、 意思を曲げるものをアタックさせ、相手は硫黄の精霊を出したがブロックはしなかった。調和をプレイし、2枚目の島、テフェリー、拭い捨てを引く。
ここから流れが悪くなる。相手はまた山を出して炎核の精霊をプレイし、血騎士と硫黄の精霊でアタック。血騎士を壁でブロックしたのが誤りで、粗暴な力を使われて壁を倒されてしまう。土地を引けなかったためマナが足りない。ヴェズーヴァの多相の戦士で相手の血騎士をコピーして硫黄の精霊を倒し、ついでコピー元の血騎士と相打ちしたが、炎核の精霊が5点ずつライフを奪っていく。そのうえこちらは幽体の魔力に必要な5枚目の土地を引けない。根の壁のブロックは教訓になった。あの時点で、返しに幽体の魔力をプレイすることは考えてなかった。表に出すのは「馬鹿やってしまった」という言葉だけに留めておく。
サイドは、一瞬の瞬き全部とテフェリーを1枚外し、図書館の大魔術師を加える。これで相手のスピードに追いつくドローができるだろう。初手は森2枚、(今はいらなくなった)平地、大魔術師、多相の戦士、調和が2枚。1ターン目はこちらが森、相手は山。2ターン目は、こちらは図書館の大魔術師、相手は血騎士。その後島を引いて調和をプレイし、多相の戦士、意志を曲げるもの、調和をドロー。相手は裂け目の稲妻で大魔術師を除去する。赤いデッキはこちらの手札の枚数を警戒しなければならないのは明らかだ。そして根の壁をドローし、平地をセットして壁を出す。そして壁からマナを出して意志を曲げるものを変異で出す。返しに意志を曲げるものが裂け目の稲妻で除去され、血騎士がアタックする。壁でブロックするとやはり粗暴な力を使われた・・・。だが、今度はカードアドバンテージで圧倒し、さらにライフも十分残っている。幽体の魔力で殴り勝てばいいので、粗暴な力ごときを気にすることはない。
ゲームは長引いてクリーチャーの交換が続くが、調和を何度もプレイできたおかげでカードは十分ある。終盤に相手はヤヤをプレイ、返しにこちらは変異を出す。相手は意志を曲げるものを警戒して能力を使わず、6枚目の土地を置いてエンド。この時点で8ライフしかないのでまずいことになる。だが神秘の蛇を引いたのでヤヤを拭い捨てし、相手が再び出してきたところを蛇で打ち消す。実は変異は多相の戦士で、相手はやはり意志を曲げるものだと思い込んでいたようだ。幽体の魔力を引き、そして変異がいきなり2体目に変身して2本目をとる。
3本目、こちらの初手は森が3枚、根の壁、多相の戦士、神秘の蛇。相手は山、こちらは魔術師をドローして森をセット。相手は2枚目の土地を出さなかったものの、こちらはターン終了時に殺されること前提で魔術師を出した。相手は2枚目の土地は引けなかったが巻物の大魔術師をプレイし、返しにこちらは島を引いて根の壁を出す。そして、相手は2枚目の山を引いて血騎士。こちらは2枚目の島を引き、出してターンエンド。相手は魔導師と騎士の2体をアタックさせ、1点ダメージを受ける。そして3枚目の土地を置き、ようやくデッキが機能し始める。宝石鉱山を引いたが、セットしたのは森で、図書館の大魔術師を出す。エンド前に相手は硫黄の精霊が刹那でプレイする。相手は3体でアタックし、壁で硫黄の精霊を、図書館の大魔導師で巻物の大魔術師をブロックする。相手は2枚目の血騎士をプレイするが、これは神秘の蛇でカウンター。さらに相手は裂け目の稲妻を待機させる。
宝石鉱山をセットして多相の戦士を変異で出し、神秘の蛇でアタック。待機していた稲妻の裂け目がプレイされ、神秘の蛇が除去される。変異を除去されるよりはマシで、守るだけの価値もないのでそのまま通した。相手の戦闘フェイズで血騎士を壁、硫黄の精霊を多相の戦士でブロックする。相手が粗暴な力を使ってこなかったので、ダメージをスタックに乗せた後、(多相の戦士の)変異を表返して壁をコピーして生き残らせる。自分のターンに戦士を裏返し、場に変異の意志を曲げるものを追加する。相手は再び同じようにアタック。こちらも同じブロックをすると、今度は粗暴な力を硫黄の精霊にプレイしてきた。スタックで意志を曲げるものを表返し、対象を壁に変更する。すると相手は2枚目の粗暴な力を血騎士にプレイした。これこそ意志を曲げるものを有意義に使えたというものだろう。実に良い交換だった。返しのターンで戦士を裏返して調和をプレイし、硫黄の精霊を倒すつもりでいたのだが、調和で引けたのは2枚目の根の壁、テフェリーに幽体の魔力。広漠なる変幻地と根の壁をプレイし、変異(多相の戦士)でアタック。相手は突然のショックで変異を除去。悲しいかな、青マナがなかった(ため意志を曲げるものをコピーできなかった)。相手は立ちはだかる2枚の壁に向かって敢えて突撃させるような無駄はしなかった。そのため息をつく間ができる。
この間に壁からマナを出して(これで1枚が墓地に落ちる)幽体の魔力をプレイし、相手のターンに表にして一気に16点削りに行く構えを見せる。相手はスークアタの槍騎兵を出してエンド。返しに2体でアタックすると、変異(コピーした方)を3体でブロックするものの、合計で7点にしかならない。
そういうわけで最初のマッチに勝ったが、速いデッキに対して一瞬の瞬きがいかにひどいか分かった。遅いデッキにも使えるかどうか疑問だが、他のカードは拭い捨てに至るまで満足できる。私のMOでの構築のレーティングは始めてからずっと1600台をうろうろしているが・・・まあそれは気にすることではないか。トーナメントの残りの部分は軽い練習というくらいだった。次の相手は1本目はダブルマリガン、2本目もマリガンで、デッキは赤白スリヴァー。動き方も、1本目は1ターン目に宝石鉱山をセットして稲妻の裂け目を待機、という感じで「4枚にマリガンすべきで、3枚もあり得る」くらいにひどかった。相手ができたのはケルドの匪賊でライフを12にするところまでで、そこで宝石鉱山を使い果たし、残るは平地2枚。こちらの場には幽体の魔力が2体並んでいた。3本目は相手が4ターン目まで2枚目の土地を出せず、こちらは幽体の魔力を3回プレイ、調和を2回プレイできていた。「フェア」とは言えないだろう。
(中略 決勝はスプリット。夕食取ってから次に)
夕食の後、次のトーナメントに出て赤単と戦った。最初のゲームを落としたが、負けた理由の大半は「一瞬の瞬きを引いたから」だろう。ここにきてこいつを入れる必要が全くないことが分かった。平地を森に替えるのはよいものの、入っていたスペースに何を入れるかはまだ判断がつきかねた。サイドボードではアナの戦闘魔導師を投入した。少なくとも硫黄の精霊のブロックができるし、6マナになれば相手の手札を根こそぎ持っていける。根の壁はドロー加速の礎に、意志を曲げるものは値千金の働きをしてくれた。2ゲーム目では、0/4の壁で血騎士をブロックし、先制攻撃のダメージをスタックした後で相手が突然のショックを打ったが、意志を曲げるものを表に返したので、壁は0/3になったものの、死んだのは騎士。刹那なので粗暴な力で割り込むこともできない。
相手の場が4ターン目でまっさらになったので、4枚の土地と根の壁から幽体の魔力のお出まし。あとは相手に対抗策がないことを祈るのみだった。3本目も似たような展開だが、戦闘魔導師を引いたので手札ぶっ飛ばし作戦が期待できる。根の壁はなかったが、相手は土地を2枚しか出せず、巻物の大魔術師、血騎士、大魔術師、大魔術師としか展開できなかった。こちらは2ターン目図書館の大魔術師、3ターン目調和、4ターン目幽体の8/8ブロッカー。5ターン目はスペクトラル・モーフ(訳注:幽体の魔力をコピーした多相の戦士)。もうこれがこのデッキの名前で良いのかもしれない。
2ラウンド目は新しいタイプの黒コンで、魔力の籠手を使い、溶鉄の金属場を使ってヘルカイトをタッチするデッキだった。1本目はドローが良くなく、幽体の魔力で1ターンおきに殴るしかできない。だが滅びで除去され、相手の場にはヘルカイトが出てきた。場に出たときの能力こそ意志を曲げるもので打ち返せたが、そこから盛り返せる可能性は(自分の計算では)確率的に50%。ライフはこちらは20、相手は8。3ターンの間に多相の戦士を引ければ良かったが、結局引くことはできなかった。
2本目は、例によって一瞬の瞬きを外して大魔術師と戦闘魔導師を入れ、カードアドバンテージを巡るコントロール対コントロールの様相を呈した。残念ながら引けなかったが、神秘の蛇とテフェリー、拭い捨てによる再利用でアグロコントロールするものの、カウンターが尽きる。相手の重要スペルはまだあるが、エンド前の幽体の魔力をプレイして勝った。手札の最後のカードだ。3本目は魔術師を2ターン目に出すことができ、相手3ターン目の呆然で調和を落とされるが、もう2枚手札にあったので関係ない。次のターンで調和をプレイして3枚ドロー、魔術師でさらにドロー。相手には有効なカードがなさそうだったが、要塞の監視者を場に出される。こちらの場は土地と大魔術師と変異しかなかったが、監視者をコピーして毎ターン7点のダメージをたたき出す。(魔力の籠手が2枚出ていたため7点。源基の印章を入れることは考えていなかった。)相手はアタック前に監視者をパンプアップさせたが、スタックで変異で2枚目のコピーを作り、攻撃を阻む。
アナの戦闘魔導師の威力は確かに大きいものの、相手は常に1枚しか手札を残さないため素晴らしいとは言えなかった。だが全体を通しては、カードアドバンテージを競争となるこのマッチアップにおいて満足のできる結果だ。決勝はやはりスプリットで、一晩で合計20チケット以上の稼ぎがあった。一晩中ドラフトするより、よほど効率がいい。だいたいこんなところだが、根の壁について実戦で学んだことは多かった。あとは意志を曲げるものが相手のスペルをコントロールするのに非常に役に立つ。刹那のような、他では対応できないスペルもいなすことができるため、普通のカウンターよりも優れている。アグロデッキは2色にとどめている限り手堅く安定して回る。今回の色の自由度の低さは、あらゆる多色のビートダウンの可能性を封じている。広漠なる変幻地はビートダウン向けとは言えず、宝石鉱山は白が入っていなくても喜んで残したいカードだが、1、2、3ターン目と連続してスペルをプレイするデッキなら、実質的な土地枚数として数えられないのもまた事実だ。
私の見るところ、2色で最も効率的なのは、カードパワーでは青緑変異、コントロール寄りなら青赤テフェリー。あとは土地破壊だろうか・・・土地破壊については色々と反論があるだろうが、なだれ乗りに一瞬の瞬きを足しただけの土地破壊デッキが、数多くのデッキを叩き潰してくれる。幕屋の大魔術師を使えば相手のマナを縛ることもできる。この環境の2色デッキは少し壊されただけで機能しなくなるため、爆裂/破綻はリソース獲得競争において強烈なアドバンテージを得られる。なお、このデッキの最初の変更としては、3枚一瞬の瞬きを入れることを検討している。スペルが欲しいところだが、どのスペルかははっきりとは決まっていない。序盤からのマナ加速が鍵となるが、明日への探求を使ったり、図書館の大魔術師のメイン投入は、ゲーム後半で役に立たないきらいもある。一瞬の瞬きは擬似カウンターや、相手に黒いパーマネントがなくても幽体の魔力がアンタップできる。
来週またこのブロック構築の進展をお目にかけよう。(訳注:もう出てます)今回の記事でブロック構築への熱が高まったり、誰かが記事の内容をさらに発展させ、来たるプロツアー横浜に備え、MOで試してもらえるなら幸いだ。
Sean McKeown
smckeown @ livejournal.com
どの辺に需要があるかは気にせず、今日も我が道を参ります。
http://www.starcitygames.com/php/news/article/13858.html
(前略)
フォーマット分析だが、最初の数十分でとりあえずのデッキリストができた。パワーカードを詰めて作ったり、強かったドラフトデッキの発展形を集め、最終的なこのフォーマットの形はこうなるだろうという予想図ができあがった。このフォーマットの土台となる大事なポイントがいくつかあり、まとめると以下のようになる。
1.ビートダウンの存在に対し、コントロールは全体的にバックアップできるスペルが乏しい。たしかに神の怒りや2枚の紅蓮地獄系だけでなく、荒廃の巨人や雹の嵐まであるが、カウンターは弱くてコストも高い。
2.純粋なコンボデッキは皆無。野生のつがいのような「準コンボ」はありうる。
3.コントロールデッキにテフェリーは外せない。間違いなくこのブロック構築の顔となるクリーチャーで、どのデッキも、これを使う・殺せる・存在を無視できるのうち、最低1つはできなくてはならない。もちろん2つ以上できるならそれに越したことはない。
4.多色は難しい。広漠なる変幻地と虹色のレンズで2色揃えるのがせいぜい。マナ加速や土地破壊といったアドバンテージで致命的に遅れをとる。
カウンターがない場合、相手をコントロールできる他の手段を見つけることが大事になる。テフェリーはトップに来るが、真のNo.1はヴェズーヴァの多相の戦士だろう。安くて、馬鹿馬鹿しいくらい強く、テフェリーのようなトップクリーチャーすら殺せる。どんなに悪くとも、最小限のコストで他のクリーチャーと交換できる。こういうことから、私がブロック構築で最初に形にしたデッキは以下になった。
Teferi and Force
4 Mystic Snake
4 Spectral Force
4 Vesuvan Shapeshifter
4 Wall Of Roots
4 Willbender
4 Teferi, Mage Of Zhalfir
3 Momentary Blink
4 Wipe Away
4 Harmonize
8 Forest
10 Island
1 Plains
2 Gemstone Mine
4 Terramorphic Expanse
4 Ana Battlemage
4 Magus Of The Library
4 Riftwing Cloudskate
3 Seal Of Primordium
「砂漠の蛇」タイプと同様、根の壁を活用したコントロールデッキで、2ターン目に根の壁、3ターン目に変異を出して青1を出せるようにし、相手のターンに変異を裏返すのが理想的な展開だ。マナアドバンテージは大事だが、気の利いたプレイングこそ大事だ。ここまで多相の戦士を活用できるデッキもないが、使い道としては、長期戦にもつれ込ませて塩水の精霊を何度も表に返してロックをかけるよりも、幽体の魔力をコピーして一緒に殴るほうが良さそうだ。一瞬の瞬きと神秘の蛇で、カウンターを水増しすることができ、多相の戦士は、上手く変身させればテフェリー以外のクリーチャーを一方的に殺せる。
この中速青緑デッキを練習する際のポイントだが、レインジャーと幽体の魔力のプランが上手くいかないときでも、意志を曲げるものと神秘の蛇、この2枚で場のコントロールができることを理解しておいて欲しい。このフォーマットの顔であるテフェリーには、ヴェズーヴァの多相の戦士と拭い捨ての二段構えで対処する。テフェリー除去にテフェリー自身の4枚積みも含めれば、二段が三段だ。デッキの調整はここまで順調だったが、(MOの)Tournament Practice Roomでは緑単アグロ(戦績はいいが、私は全く勝てない)や、なだれ乗りの入った土地破壊(ブロック構築では、デュアルランドに印鑑、トロンがない)を相手にしても有意義なものとは言えなかった。焦点となるのは根の壁を突破できる、あるいは他の戦線を作れるかどうかで、2ターン目にこれが出ると、そこから壊れたプレイがあまた繰り出される。
2ターン目根の壁、3ターン目調和?いいね。
2ターン目根の壁、3ターン目神秘の蛇?このフォーマットの
カウンターは割高だ。教えてくれてありがとう。
2ターン目根の壁、3ターン目意志を曲げるもの、
相手のターンに表に返して、サルタリーの僧侶につけられる
はずだったグリフィンの導きを奪う?ナイスだ。
2ターン目根の壁、3ターン目ヴェズーヴァの多相の戦士、
好きなものをコピー?これもイケてる。
そしてさらに4ターン目に幽体の魔力やテフェリー、多相の戦士が続き、さらに意志を曲げるものが(突然の死のようなカウンターできないものも含めて)対象を取る除去を跳ね返す。対抗呪文が3マナと、それだけでゲームに負けかねない環境では、意志を曲げるものを使ったとしても、スタンダードと違って気違い呼ばわりはされない。今回は、いつものような特定のフォーマットに関する(過度に)ドライな分析とは一線を画すため、理論や仮説ではなく実戦で試してみることにした。水曜の夜、4−3−1−1のブロック構築でまずは腕試し。
1本目、こちらが先攻で、相手はブロック構築ではよく見かける赤単。かつてはブロック構築を牛耳ったこのアーキタイプだが、火炎破や孤炎撒きがあったころの話だ。今の赤は火力こそ強いものの、クリーチャーが全く脅威にならない。初手は森2枚、調和2枚、根の壁、意志を曲げるもの、ヴェズーヴァの多相の戦士でキープ。1ターン目は森を置き、相手も山を置くだけでエンド。2ターン目、幽体の魔力をドローして森を置き、根の壁を出す。相手は山を出して血騎士。3ターン目、次に土地が引ければよかったのだが、引いたのは2枚目の意志を曲げるもので、ヴェズーヴァの多相の戦士をプレイしてターンを返す。血騎士がアタックして、壁を壊されるのは嫌なのでブロックせず、相手は3枚目の山を置き、何もせずにエンド。そして念願の島が来たので、 意思を曲げるものをアタックさせ、相手は硫黄の精霊を出したがブロックはしなかった。調和をプレイし、2枚目の島、テフェリー、拭い捨てを引く。
ここから流れが悪くなる。相手はまた山を出して炎核の精霊をプレイし、血騎士と硫黄の精霊でアタック。血騎士を壁でブロックしたのが誤りで、粗暴な力を使われて壁を倒されてしまう。土地を引けなかったためマナが足りない。ヴェズーヴァの多相の戦士で相手の血騎士をコピーして硫黄の精霊を倒し、ついでコピー元の血騎士と相打ちしたが、炎核の精霊が5点ずつライフを奪っていく。そのうえこちらは幽体の魔力に必要な5枚目の土地を引けない。根の壁のブロックは教訓になった。あの時点で、返しに幽体の魔力をプレイすることは考えてなかった。表に出すのは「馬鹿やってしまった」という言葉だけに留めておく。
サイドは、一瞬の瞬き全部とテフェリーを1枚外し、図書館の大魔術師を加える。これで相手のスピードに追いつくドローができるだろう。初手は森2枚、(今はいらなくなった)平地、大魔術師、多相の戦士、調和が2枚。1ターン目はこちらが森、相手は山。2ターン目は、こちらは図書館の大魔術師、相手は血騎士。その後島を引いて調和をプレイし、多相の戦士、意志を曲げるもの、調和をドロー。相手は裂け目の稲妻で大魔術師を除去する。赤いデッキはこちらの手札の枚数を警戒しなければならないのは明らかだ。そして根の壁をドローし、平地をセットして壁を出す。そして壁からマナを出して意志を曲げるものを変異で出す。返しに意志を曲げるものが裂け目の稲妻で除去され、血騎士がアタックする。壁でブロックするとやはり粗暴な力を使われた・・・。だが、今度はカードアドバンテージで圧倒し、さらにライフも十分残っている。幽体の魔力で殴り勝てばいいので、粗暴な力ごときを気にすることはない。
ゲームは長引いてクリーチャーの交換が続くが、調和を何度もプレイできたおかげでカードは十分ある。終盤に相手はヤヤをプレイ、返しにこちらは変異を出す。相手は意志を曲げるものを警戒して能力を使わず、6枚目の土地を置いてエンド。この時点で8ライフしかないのでまずいことになる。だが神秘の蛇を引いたのでヤヤを拭い捨てし、相手が再び出してきたところを蛇で打ち消す。実は変異は多相の戦士で、相手はやはり意志を曲げるものだと思い込んでいたようだ。幽体の魔力を引き、そして変異がいきなり2体目に変身して2本目をとる。
3本目、こちらの初手は森が3枚、根の壁、多相の戦士、神秘の蛇。相手は山、こちらは魔術師をドローして森をセット。相手は2枚目の土地を出さなかったものの、こちらはターン終了時に殺されること前提で魔術師を出した。相手は2枚目の土地は引けなかったが巻物の大魔術師をプレイし、返しにこちらは島を引いて根の壁を出す。そして、相手は2枚目の山を引いて血騎士。こちらは2枚目の島を引き、出してターンエンド。相手は魔導師と騎士の2体をアタックさせ、1点ダメージを受ける。そして3枚目の土地を置き、ようやくデッキが機能し始める。宝石鉱山を引いたが、セットしたのは森で、図書館の大魔術師を出す。エンド前に相手は硫黄の精霊が刹那でプレイする。相手は3体でアタックし、壁で硫黄の精霊を、図書館の大魔導師で巻物の大魔術師をブロックする。相手は2枚目の血騎士をプレイするが、これは神秘の蛇でカウンター。さらに相手は裂け目の稲妻を待機させる。
宝石鉱山をセットして多相の戦士を変異で出し、神秘の蛇でアタック。待機していた稲妻の裂け目がプレイされ、神秘の蛇が除去される。変異を除去されるよりはマシで、守るだけの価値もないのでそのまま通した。相手の戦闘フェイズで血騎士を壁、硫黄の精霊を多相の戦士でブロックする。相手が粗暴な力を使ってこなかったので、ダメージをスタックに乗せた後、(多相の戦士の)変異を表返して壁をコピーして生き残らせる。自分のターンに戦士を裏返し、場に変異の意志を曲げるものを追加する。相手は再び同じようにアタック。こちらも同じブロックをすると、今度は粗暴な力を硫黄の精霊にプレイしてきた。スタックで意志を曲げるものを表返し、対象を壁に変更する。すると相手は2枚目の粗暴な力を血騎士にプレイした。これこそ意志を曲げるものを有意義に使えたというものだろう。実に良い交換だった。返しのターンで戦士を裏返して調和をプレイし、硫黄の精霊を倒すつもりでいたのだが、調和で引けたのは2枚目の根の壁、テフェリーに幽体の魔力。広漠なる変幻地と根の壁をプレイし、変異(多相の戦士)でアタック。相手は突然のショックで変異を除去。悲しいかな、青マナがなかった(ため意志を曲げるものをコピーできなかった)。相手は立ちはだかる2枚の壁に向かって敢えて突撃させるような無駄はしなかった。そのため息をつく間ができる。
この間に壁からマナを出して(これで1枚が墓地に落ちる)幽体の魔力をプレイし、相手のターンに表にして一気に16点削りに行く構えを見せる。相手はスークアタの槍騎兵を出してエンド。返しに2体でアタックすると、変異(コピーした方)を3体でブロックするものの、合計で7点にしかならない。
そういうわけで最初のマッチに勝ったが、速いデッキに対して一瞬の瞬きがいかにひどいか分かった。遅いデッキにも使えるかどうか疑問だが、他のカードは拭い捨てに至るまで満足できる。私のMOでの構築のレーティングは始めてからずっと1600台をうろうろしているが・・・まあそれは気にすることではないか。トーナメントの残りの部分は軽い練習というくらいだった。次の相手は1本目はダブルマリガン、2本目もマリガンで、デッキは赤白スリヴァー。動き方も、1本目は1ターン目に宝石鉱山をセットして稲妻の裂け目を待機、という感じで「4枚にマリガンすべきで、3枚もあり得る」くらいにひどかった。相手ができたのはケルドの匪賊でライフを12にするところまでで、そこで宝石鉱山を使い果たし、残るは平地2枚。こちらの場には幽体の魔力が2体並んでいた。3本目は相手が4ターン目まで2枚目の土地を出せず、こちらは幽体の魔力を3回プレイ、調和を2回プレイできていた。「フェア」とは言えないだろう。
(中略 決勝はスプリット。夕食取ってから次に)
夕食の後、次のトーナメントに出て赤単と戦った。最初のゲームを落としたが、負けた理由の大半は「一瞬の瞬きを引いたから」だろう。ここにきてこいつを入れる必要が全くないことが分かった。平地を森に替えるのはよいものの、入っていたスペースに何を入れるかはまだ判断がつきかねた。サイドボードではアナの戦闘魔導師を投入した。少なくとも硫黄の精霊のブロックができるし、6マナになれば相手の手札を根こそぎ持っていける。根の壁はドロー加速の礎に、意志を曲げるものは値千金の働きをしてくれた。2ゲーム目では、0/4の壁で血騎士をブロックし、先制攻撃のダメージをスタックした後で相手が突然のショックを打ったが、意志を曲げるものを表に返したので、壁は0/3になったものの、死んだのは騎士。刹那なので粗暴な力で割り込むこともできない。
相手の場が4ターン目でまっさらになったので、4枚の土地と根の壁から幽体の魔力のお出まし。あとは相手に対抗策がないことを祈るのみだった。3本目も似たような展開だが、戦闘魔導師を引いたので手札ぶっ飛ばし作戦が期待できる。根の壁はなかったが、相手は土地を2枚しか出せず、巻物の大魔術師、血騎士、大魔術師、大魔術師としか展開できなかった。こちらは2ターン目図書館の大魔術師、3ターン目調和、4ターン目幽体の8/8ブロッカー。5ターン目はスペクトラル・モーフ(訳注:幽体の魔力をコピーした多相の戦士)。もうこれがこのデッキの名前で良いのかもしれない。
2ラウンド目は新しいタイプの黒コンで、魔力の籠手を使い、溶鉄の金属場を使ってヘルカイトをタッチするデッキだった。1本目はドローが良くなく、幽体の魔力で1ターンおきに殴るしかできない。だが滅びで除去され、相手の場にはヘルカイトが出てきた。場に出たときの能力こそ意志を曲げるもので打ち返せたが、そこから盛り返せる可能性は(自分の計算では)確率的に50%。ライフはこちらは20、相手は8。3ターンの間に多相の戦士を引ければ良かったが、結局引くことはできなかった。
2本目は、例によって一瞬の瞬きを外して大魔術師と戦闘魔導師を入れ、カードアドバンテージを巡るコントロール対コントロールの様相を呈した。残念ながら引けなかったが、神秘の蛇とテフェリー、拭い捨てによる再利用でアグロコントロールするものの、カウンターが尽きる。相手の重要スペルはまだあるが、エンド前の幽体の魔力をプレイして勝った。手札の最後のカードだ。3本目は魔術師を2ターン目に出すことができ、相手3ターン目の呆然で調和を落とされるが、もう2枚手札にあったので関係ない。次のターンで調和をプレイして3枚ドロー、魔術師でさらにドロー。相手には有効なカードがなさそうだったが、要塞の監視者を場に出される。こちらの場は土地と大魔術師と変異しかなかったが、監視者をコピーして毎ターン7点のダメージをたたき出す。(魔力の籠手が2枚出ていたため7点。源基の印章を入れることは考えていなかった。)相手はアタック前に監視者をパンプアップさせたが、スタックで変異で2枚目のコピーを作り、攻撃を阻む。
アナの戦闘魔導師の威力は確かに大きいものの、相手は常に1枚しか手札を残さないため素晴らしいとは言えなかった。だが全体を通しては、カードアドバンテージを競争となるこのマッチアップにおいて満足のできる結果だ。決勝はやはりスプリットで、一晩で合計20チケット以上の稼ぎがあった。一晩中ドラフトするより、よほど効率がいい。だいたいこんなところだが、根の壁について実戦で学んだことは多かった。あとは意志を曲げるものが相手のスペルをコントロールするのに非常に役に立つ。刹那のような、他では対応できないスペルもいなすことができるため、普通のカウンターよりも優れている。アグロデッキは2色にとどめている限り手堅く安定して回る。今回の色の自由度の低さは、あらゆる多色のビートダウンの可能性を封じている。広漠なる変幻地はビートダウン向けとは言えず、宝石鉱山は白が入っていなくても喜んで残したいカードだが、1、2、3ターン目と連続してスペルをプレイするデッキなら、実質的な土地枚数として数えられないのもまた事実だ。
私の見るところ、2色で最も効率的なのは、カードパワーでは青緑変異、コントロール寄りなら青赤テフェリー。あとは土地破壊だろうか・・・土地破壊については色々と反論があるだろうが、なだれ乗りに一瞬の瞬きを足しただけの土地破壊デッキが、数多くのデッキを叩き潰してくれる。幕屋の大魔術師を使えば相手のマナを縛ることもできる。この環境の2色デッキは少し壊されただけで機能しなくなるため、爆裂/破綻はリソース獲得競争において強烈なアドバンテージを得られる。なお、このデッキの最初の変更としては、3枚一瞬の瞬きを入れることを検討している。スペルが欲しいところだが、どのスペルかははっきりとは決まっていない。序盤からのマナ加速が鍵となるが、明日への探求を使ったり、図書館の大魔術師のメイン投入は、ゲーム後半で役に立たないきらいもある。一瞬の瞬きは擬似カウンターや、相手に黒いパーマネントがなくても幽体の魔力がアンタップできる。
来週またこのブロック構築の進展をお目にかけよう。(訳注:もう出てます)今回の記事でブロック構築への熱が高まったり、誰かが記事の内容をさらに発展させ、来たるプロツアー横浜に備え、MOで試してもらえるなら幸いだ。
Sean McKeown
smckeown @ livejournal.com
コメント
無理をせずにまったり頑張ってください。
変異でのコピー能力は場に出ないから出来ないような気が致します。
文章は書けば書くほど上手くなるというのは真理ですのでお仕事大変でしょうが頑張ってください
そう言って頂けるのは本当に助かります。
しばらくブロック構築をやっていくつもりなので、
参考にしてもらえると幸いです。
>ちゃたろうさん
その通りでした。お詫びして訂正します。
仕事は・・・スタックが積み上がってます。
翻訳のほうは刹那という方向性で。