http://www.starcitygames.com/php/news/article/13898.html

先週は時のらせんブロック構築について簡単に見てきた。ポテンシャルを求めてデッキを組んでみたが、なぜこのカードが入ってこのカードが入らないかという説明はしていなかった。今週は2つのフォーマットについて、2つの観点から考察する。1つ目は数週間後に迫ったPT横浜のフォーマットであるブロック構築に関する補足、もう1つは、グランプリを通じて、次元の混乱スタンダード参入直後の第一印象について。(訳注:ブロック構築のみやります)

先週の記事では、一瞬の瞬きを外すのはよいが、青緑デッキに何が一番いいカードかということを残したままだった・・・。(中略)コメントで多く寄せられたのが、スクリブのレインジャー、明日への探求などなど、役に立つ話がたくさんあったが、その中で一番つぶしの利きそうなのが鋸刃の矢。デッキは以下のようになった。

Morph and Force

4 Mystic Snake
4 Spectral Force
4 Vesuvan Shapeshifter
4 Wall Of Roots
4 Willbender
4 Teferi, Mage Of Zhalfir

4 Wipe Away
3 Serrated Arrows
4 Harmonize

9 Forest
10 Island
2 Gemstone Mine
4 Terramorphic Expanse

4 Ana Battlemage
4 Magus Of The Library
4 Riftwing Cloudskate
3 Seal Of Primordium

さて、これが青緑のベストカードてんこ盛りデッキに見えることだろう。幽体の魔力?チェックだ。テフェリー?要注意。ヴェズーヴァの多相の戦士?調べとけ。根の壁?見極めろ。調和?ググれ。だがカードのチョイスはちょっとばかり奇妙だ・・・先週作ったデッキよりも、より環境に合わせる形で修正した。先週のデッキでは、白ウィニーやDralnu du Louvre(ルーブルの世界選手権で使われたドラルヌコントロール)のブロック構築バージョンについて考えられてなかった。今週はそれらを踏まえつつ、デッキ構築の輪郭と、フォーマットにおけるこのデッキのスタンスについて解説したい。

コントロール、コントロール、とにかくコントロールを身に付けろ!

カウンターは確かに強いが、それ自体からは何もしない。このフォーマットは従来よりもカウンターが強力で、「対象の呪文を打ち消す」に2/2のオマケが付いたり、ドラゴン並みのクリーチャーが出てきたり、相手の手札も落とせる。これらに共通した弱点が、3マナ未満の呪文をカウンターするなら呪文の噴出のほうが効率がいいことで、コスト的に変異を打ち消して、初めて元が取れる。カウンターが決して弱いということではない・・・だが遅くなっているのは否めない。つまり言えるのは、このフォーマットはマナが命ということだ。幸いにも、使えるマナ加速は多い。根の壁は序盤の防御とマナ加速の両方に貢献し、チャージランドはゲーム後半で非常に強力だ。虹色のレンズは、トーテムよりも5色中4色は強い。さらに緑には、緑だからこその特権がある。根の壁、宝革スリヴァー、ムウォンヴーリーの酸苔、明日への探索、未開の狩り。

コントロールするカードはコストが高い。アグレッシブなカードは安い。だからコントロールのカードは早くプレイできればできるほど強い。序盤のマナ加速がその鍵となるが、それが全てというわけではない。私の見る限り、不確定要素となりうるのが刹那だ。刹那に対抗するのは容易ではない。テフェリーで場を抑え、どれほどカウンターを握っていても、突然の死は避けられない。突然の死、突然のショック、その他刹那のカードたちの存在は、古典的な純コントロール戦略を弱体化させるため、他の手段(例えば手札破壊)を採るか、刹那の威力を削ぐ方法を考えなければならない。

そこで意志を曲げるものが登場

このフォーマットのデッキを組むときに、刹那の存在は早い段階から問題だった・・・別の角度でテフェリーも。フォーマットの強いカードの多くは能動的なもので、相手が何かしてきたとき、こちらはどうしようもない・・・。テフェリーを出されると相手のクリーチャー全てに瞬速がつく。また刹那は軒並み強く、硫黄の精霊のようなカードでさえもこのフォーマットに居場所がある。唯一刹那に干渉できるカードがただ1枚・・・その名は意志を曲げるもの。このフォーマットのカウンターが厳しいこともあり、神秘の蛇とこの変異を活用することにした。さらにヴェズーヴァの多相の戦士も織り交ぜれば、「マストカウンター」を捌く伝統的な戦略が取れるだろう。

当初想定していなかったのが、意志を曲げるものが(たとえ奇襲としてでしかないにせよ)神秘の蛇よりも強力であることだった。ヤヤ・バラードが手札1枚と一緒に自分を焼く、また根の壁を使って3ターン目に出し、相手のなだれ乗りが自分の土地を壊す、多相の戦士による再活用。神秘の蛇ではこの芸当はできないため、現在ではこちらのほうが強いという結論だ。

マナの問題を何とかする

このフォーマットの色マナは非常に得がたい。そのため環境初期にあったデッキのうち幾分かは単色だった。白単ビートダウン、赤単ビートダウン、黒単コントロール、実践的な青コントロール。もし単色じゃないデッキを組もうとすれば、ラヴニカのマナベースを懐かしむことだろう・・・。2色目のマナを調達しようとすれば、広漠なる変幻地に宝石鉱山、友好色ならチャージランドが使える。虹色のレンズも使えるし、緑ならさらに明日への探索や宝革スリヴァーがあるのだが、多色サポートはここで打ち止めだ。それにどれも短所がある。広漠なる変幻地はビートダウンには遅すぎ、宝石鉱山は土地枚数の少ないビートダウンデッキには向かない。その手のデッキは3ターン後のことなど気にしてなどいられないうえ、宝石鉱山が場に出たときはよいが、3度使うと元の状態に戻ってしまうために、失ったとき脆くも崩れてしまう。

マナの色調節に関してこれだけ問題があるため、マナ加速のほうがより一層大事になってくる・・・そして土地破壊がより強力になる可能性も。2色は常にリスクを抱えることになり、そのうえ3色目を入れようとすると、Evan Erwinが以前書いた、「Zoo対マナベース」という話になる。一瞬の瞬き−なだれ乗りデッキが成り立つなど誰も想像しなかったと思うが、現に存在している・・・なら2色デッキに生き残る道はないのだろうか?

この点に関して、Morph and Forceは構造上いくつか優れた点がある。テンポを重視したデッキではあるが1マナのカードはないため、広漠なる変幻地を1ターン目に出しても問題ない。もともと3色を想定していたため、2色ならより一層安定する。宝石鉱山への依存度は低く、土地の枚数が多いため詰まらない。根の壁は緑のダブルシンボルを出すのに役に立ち、森1枚、島2枚から両方のダブルシンボルを出せる。そのうえ、最重要カードは無色で出せるので、土地さえ足りていれば色は関係ない。(テフェリー、拭い捨てを別にすれば)青マナは1つあれば足りるため、緑マナ1つと根の壁、さらに4枚入った調和でマナの問題は解決できる。

ビートダウンも楽じゃない

私の見る限り、最も安定して回るのが白単と赤単のビートダウンデッキだ。緑単もありうるが、タフネス1が多いうえマナカーブも揃っておらず、原初の腕力魔導師がいてようやくどうにかなる。青単アグロもウィザードを基盤にしたフィッシュがありそうで、自分で組んだことはないが黒単のビートダウンもそこかしこで見られる。おなじみの白単はここ数週間で注目されている。Josh Silvestriが先週の水曜日に特集し、もう数週間前にプレミア記事でBenjamin Peebles-Mundy が扱った。その分影が薄くなったのが赤単。突然のショックと硫黄の精霊という伝統的な対カウンター戦略ができる2つの刹那を擁している。大前提となる1マナ域のクリーチャーが乏しいものの、クリーチャーの選択肢は多い。巻物の大魔術師、血騎士にケルドの匪賊までは共通しているものの、3マナ域は分かれている。ヤヤ、溶岩核の精霊、スークアタの槍騎兵に硫黄の精霊などがあり、普通4枚のうち3枚が使われている。

私がブロック構築で最初に組んだのは赤単で、昔日の思い出とともにスークアタの槍騎兵を使った・・・もっとも火炎破は過去のものだ。このリストから十数回ほど試してみたものの、3マナを効率的に展開するのが難しいきらいがあるが、この点に関しては白ウィニーと同様、宝石の洞窟(後からセットすると無色のマナしか出ないデメリットを我慢でき、1ターン目より前に出してもブーストとして意味のある)が生きる。どういう風にデッキを組めばよいか、頭を抱える読者諸兄にこのリストを捧げよう。以下が赤単の叩き台になる。

4 Magus of the Scroll
4 Blood Knight
4 Keldon Marauders
4 Jaya Ballard, Task Mage
4 Suq’Ata Lancer
3 Orcish Librarian

4 Brute Force
4 Sudden Shock
4 Rift Bolt
2 Disintegrate

4 Gemstone Caverns
19 Mountain

ヤヤ・バラードとオークの司書が複数洞窟を引いたときの問題を解決し、土地が23枚なら3マナまで良いペースで展開できる。司書と分解を外して山1枚・なだれ乗り4枚を入れたくなる。色拘束のきつい環境で土地破壊は強力だが、そちらのほうは十分にプレイしたとは言えないうえ、根の壁の突破と、こちらが十分なマナを引けるかという問題がある。

Morph and Force はビートダウンでもテンポデッキでもないが、(Who’s Beatdown?という意味で)その役割は十分にこなせる。スクリブのレインジャーが入っていないことに抗議する人は多いが、幽体の魔力単体でも十分に役に立つ。(マナを出した森を手札に戻してセットし直すほうの)使い方はあまりやらず、アンタップのほうはヴェズーヴァの多相の戦士で幽体の魔力「2号機」を作る方がデッキに合っている。(つまり、変異でアタック、ひっくり返して8ダメージ、アップキープに裏返し、以下必要に応じて繰り返し)ヴェズーヴァの多相の戦士と変異絡みの能力は強いが、このデッキは変異デッキではない。ヴェズーヴァの多相の戦士には、塩水の精霊や幻影の予見者のコピー以外にも仕事がたくさんある。意志を曲げるもののロック、序盤ならダメージをスタックして根の壁に化ける、相手のテフェリーと相殺。つまり「相手のテフェリーを何とかする」という重要な任務の一環すらも担っている。

ビートダウン相手の場合、根の壁から変異、相手のターンに裏返しという流れ、幽体の魔力が速やかに寄り切ってくれる可能性は無視できないものがある。遅いコントロールデッキにはアグロコントロールデッキとして積極的に攻める一方、ビートダウンには巨大なブロッカーを立たせてスペルをコントロールしつつアドバンテージを稼ぐ。このデッキは単なるフォーマットのベストクリーチャー詰め合わせではなく、このフォーマットのクリーチャーによる、最高のシナジーのデッキだ。ヴェズーヴァの多相の戦士はスクリブのレインジャーの代用ではなく、素直に強い。

コントロールと言えば・・・滅び!

コントロールといえばいくつか候補が浮上する。本命の、少なくとも最も多く見かけるのは青ベースのテフェリーコントロール。次にクリーチャー除去と手札破壊の詰まった黒コントロール。Dralnu du Louvre のようなタイプで墓地からの再活用体制が整うまで序盤の脆さを埋めるにせよ、能動的にリセットをかけるにせよ、組み方は幾通りかあるだろうが、滅びをもっとも活用できる構成にするのは間違いないだろう。ドラルヌデッキは周知の存在だが、硫黄破のために赤を足すのか、滅びの黒でよいのか議論がある。だが私の見るところ、戦慄艦の浅瀬のような土地がある以上、赤に神の怒り以上のカードがない限り、友好色の組み合わせに落ち着くだろう。神秘の指導が青黒を推しているなら尚更だ。

もっと心惹かれるのは黒コントロールのオプションだ。他ならぬPierre Canaliが黒コントロールを組んでいた。彼のデッキは私の考えていたところではないが、触発されるものがあった・・・カウンターとテフェリーがない代わり、黒コントロールの要素に青のサーチをタッチした青黒コントロールも確かに強い。

4 Dreadship Reef
4 Terramorphic Expanse
1 Island
13 Swamp
2 Urborg, Tomb of Yawgmoth

4 Phyrexian Totem
4 Magus of the Coffers
4 Twisted Abomination
4 Stupor
4 Sudden Death
4 Damnation
4 Mystical Teachings
3 Tendrils of Corruption
2 Null Profusion
1 Haunting Hymn
1 Imp’s Mischief
1 Extirpate

黒コントロールがコストの高いチューターを使ってサーチするのはこれまでにもあったので、1枚差しは驚くほどでもない。サイズの大きなクリーチャーと豊富な除去でクリーチャーデッキをシャットアウト、テフェリー系のコントロールには大量の手札破壊でカードアドバンテージ競争を制する。神秘の指導だが、必要に応じて突然の死、触手、あるいは1枚差しの銀の弾丸、場合によっては別の神秘の指導も持ってこれる。Morph and Forceはこうしたアドバンテージ合戦に備え、サイドボードの図書館の大魔術師とアナの戦闘魔導師で対抗する。

驚くべきことに、メインデッキに図書館の大魔術師を入れるのはデッキ弱体化の元だ。一瞬の瞬きが入っていたスロットに何を入れるかで、最初にこれをテストしてみた。4枚メイン投入して(瞬きを3枚外して)テフェリーを1枚サイドに下げた。だが魔術師を出すと通常より多く緑マナを使うことになり、1ターン目の広漠なる変幻地が森をサーチする可能性が増えるため、その分島を引きづらくなる。1ターンに2枚ドロー、悪くともマナ加速という目論見はデッキを歪めてしまう。その結果負けてしまった。幸いにも、3枚サイドにあった鋸刃の矢が役に立っていたので、同じく先ほどサイドに下げたテフェリーとともにメインで使い、図書館の大魔術師をサイドに戻すことになった。

鋸刃の矢は実際のところびっくりカードじゃない・・・ホームランドから採録された2・3枚のうちの1枚だ。(いや、事実上セットの中で2・3枚しかない使えるカードだろう。信じてもらって構わないし、そうでなければKoskun FallsやDwarven Sea Clanを見てほしい)このフォーマットでの抑止力であり、除去が滅多にないこの色の組み合わせでは貴重で、役に立ってくれるシチュエーションが多い。幽体の魔力対幽体の魔力において、普通は両者が8ダメージずつ与えて相打ち。だがもし片方が7/7だったら・・・。またテフェリーも奇襲ブロッカーとしての価値が下がる。さらに吸収するウェルクもカウンターが乗る前に落とせる・・・。ビートダウンに使えるのはいうまでもない。多相の戦士対多相の戦士も同じだ。

加えて、拭い捨ては少なからずデッキを強化してくれた。これを入れてからというもの、デッキが良好。終盤では擬似カウンターとしての役割を担ってくれる。相手のテフェリーを追いやる場合など、これに割り込めるのは意志を曲げるものだけ。出てしまったグリフィンの導きに対処できるし(意志を曲げるもので幽体の魔力に変更するという夢を見たいところだが)、溶岩核の精霊を出してからのアタックも封じることができるかもしれない。もちろん、放置するには危険すぎる野生のつがいにも有効だ。奇妙なチョイスに思えるかもしれないし、使える唯一の刹那がバウンスのみなのは寂しいが、このデッキに対する拭い捨ての貢献はひとかたならぬものがある。

もう一つの貢献としては、鋸刃の矢に3本以上の矢を束ねられる点だ。さらにシナジーが強化される。環境をざっと見ただけでも、巻物の大魔術師のようなユーティリティ、ブロックの難しいサルタリーの僧侶を排除でき、さらに場に睨みをきかせてアドバンテージを稼ぎ、8/8トランプルで圧倒したうえ、レスポンスを禁じるバウンスで封をする。グリフィンの導きやテフェリー相手にも後れを取ることはない。単体でも十分働いてくれるが、3本の矢を合わさればずっと強力だ。

このフォーマットの鍵となる要素はいくつかあるが、中でもマナの色と量の確保は優先順位が高い。簡単に得られる手段の豊富なカードアドバンテージも大事だ。1マナで3枚のカードを落とせる精神攪乱、3マナで2枚落とせる呆然、6マナで4枚落とせる消えない賛歌・・・黒ならこんなところだ。(こちらに使われても)せいぜいが2/2と土地を捨てさせられるくらいだろう。神秘の指導は大量のマナと引き替えに好きなカードに変化し、時に他の指導もサーチすることがある。幻影の予見者や調和はカードが欲しいときにやたら引ける。このようにカードアドバンテージを得る手段は多いが、色マナの確保はそうもいかない。ビートダウンは強力だが、それはコントロールも同じだ。だがもっとも強力なのは、0/5の無害な壁で守りつつ、呪文を連発できる攻防一体のデッキだろう。また、一方で野生のつがいを核にしたデッキを練っているが、デッキの動きに関して細かいところを詰めるのは頭が痛くなる。スリヴァーを大量にリクルートして圧倒してみたり、2/2からドラゴンを出すコンボもありだ。手順は以下のとおり:白たてがみのライオンをプレイして原初の腕力魔導師をフェッチ。ライオンの場に出たときの能力で自分を戻す。もう一度出して原初の腕力魔導師で+3/+3した後で、(野生のつがいの解決時5/5であるため)ボガーダンのヘルカイトが光臨。このように、ライオンのプレイさえ通せれば、まだるっこしいもののお好みでドラゴンストームができる。

フォーマットにある諸々の制約と格闘してみれば、ビートダウンデッキがどれほど強力か分かってもらえると思う。あるいはビートダウンをカモにしようとするなら、土地破壊にも食指がのびる。瞬き−なだれ乗りは、色の厳しい環境で多色をやる危険があるが、だからといってデッキのコンセプトを損うほどの理由があるとは言えない・・・。幕屋の大魔術師でアグレッシブなデッキを止めつつ、出してくる土地を遅滞なく壊し続けるのが戦略プランだ。

(GP京都の部分については省略します)

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