永らく更新止まってました。すいません。
やっぱり1万字訳した反動があったみたいです、と言い訳。

言い訳ついでにもう一つ。

来週から2週間ほど出張にでるので、その間更新は
おそらくストップすると思います。PC環境があれば
何とかならないこともないと思いますが・・・。
なにとぞご容赦のほどを。

http://www.starcitygames.com/php/news/article/13674.html

Magical Hack より、セプターチャント大全。
あまりにも長すぎるのでポイントだけ。

3 Chrome Mox
4 Isochron Scepter

4 Counterspell
3 Cunning Wish
4 Fire / Ice
3 Lightning Helix
3 Orim’s Chant
4 Spell Snare
4 Thirst For Knowledge

4 Teferi, Mage Of Zhalfir

4 Seat Of The Synod
2 Snow-covered Island
1 Snow-covered Mountain
2 Snow-covered Plains
2 Adarkar Wastes
4 Flooded Strand
2 Hallowed Fountain
1 Sacred Foundry
2 Steam Vents
2 Wooded Foothills
2 Mouth Of Ronom

4 Meddling Mage
1 Disenchant
1 Echoing Truth
1 Fact Or Fiction
1 Lightning Helix
1 Muddle The Mixture
1 Orim’s Chant
1 Pulse Of The Fields
1 Stifle
3 Kataki, War’s Wage

嘘か真かがないのは、そこまでアドバンテージが必要ないことと、
4マナでは遅すぎるため。

Flowを意識し、基本地形は5枚+フェッチランドが6枚。
ロノムの口はテフェリーを除去するため。

(余談ながら、PTQのリストの中には翻弄する魔導師や交錯の混乱
がメインだったり、神の怒りと賛美されし天使が入っていたりと
色々バージョンがあります。全てはメタとプレイング次第。)

マッチアップ分析

ボロス

メイン:相手はメインでセプターを割る手段がほとんどないので、ライフにだけ気を配れば大丈夫。除去しづらいサルタリーの僧侶は場に出したくないところ。

サイド:アーティファクト破壊が入る分ちょっときつくなる。
ライフに注意するのは同じでも、稲妻のらせんを刻印して一安心、とはいかなくなります。神の怒りが必要じゃないかという意見もありますが、そこまで必要ではないというのが今のところ。なお、金属モックスはアーティファクト破壊のとばっちりを受けるのでご注意。

Aggro-Loam

メイン:相手の方がアドバンテージを得やすく、手札破壊まで入っている相手の動きの全てを止めるにはカウンターが足りません。こうなればこちらからテフェリー+セプターチャントのコンボを決めるしかないものの、先にセプターを出すと化膿で割られてしまいます。

+4翻弄する魔導師
(先攻)-3 稲妻のらせん -1 金属モックス
(後攻)-3 稲妻のらせん -1 火/氷

サイド:翻弄する魔導師は、陰謀団式療法と言えばたぶん正解。
辛いマッチアップと見る向きもあるものの、デッキの構成、プレイングからどう動けばいいか(あと、相手がどう動くか)を分かっていれば戦えます。

親和

メイン:けっこうきつい。一気に押し切られて爆片破で死亡とかなりそう。電結の荒廃者を呪文嵌めして、セプターチャントでゆっくり勝ちにいけば良さそうですが、それでも爆片破は怖い。

+3戦争の報い、禍汰奇
(先攻)-1 ザルファーの魔導師、テフェリー −2 金属モックス
(後攻)-2 ザルファーの魔導師、テフェリー -1 金属モックス

サイド:禍汰奇をサイドボードから投入。こちらのマナベースもある程度被害を受けるとはいえ、だいぶ改善される。相手がタップアウトしたときに出せば、禍汰奇の能力がスタックに乗る前に除去されることはない。とはいえ、鬼周りは防げないので、すごく有利とは言い難い。

Flow Rock

メイン:基本地形5枚、フェッチランド6枚、モックス3枚があるため、破壊的な流動にはかなり耐性があります。出されないのがベストですが。手札破壊もしてくるため、捨てさせられるくらいなら、さっさと刻印してしまうほうが良い場合も。

(サイド:なし。相手の構成によってはテフェリーや稲妻のらせんが抜けて翻弄する魔導師が入ることも)

サイド:翻弄する魔導師を入れて、陰謀団式療法や破壊的な流動を止める。リソース獲得競争を制すことができればこのゲームは取れます。簡単にミスできるため、このデッキを回すのが上手かどうか、実はこのデッキ相手との勝負で分かったりするそうです。

Flow Deck Wins

メイン:クリーチャーが小さく、火と氷の剣も入っていないのでRockより簡単。相手に手札破壊が入っているならやはり辛いものの、火力なら対処の仕方が割り切れる分、楽になります。

サイド:手札破壊、火力、アーティファクト破壊とあらゆるスペルが飛んできます。ライフを保つため原野の脈動にするにしろ、破壊的な流動を壊すため解呪にするにしろ、狡猾な願いの使い道は慎重に決めましょう。

セプターチャント(ミラーマッチ)

メイン:どのセプターチャントがPTQでプレイするのにふさわしいか、議論になるところ。不要カードになる神の怒りがない、土地の枚数が多い、テフェリーが4枚あるという点で、従来のやつよりは構造上有利です。

実は分けるのが難しい嘘か真かよりも、確実に1枚引き増せる知識の渇望の方が使いやすいというのが筆者の意見。嘘か真かは上手く分けて相手を誘導できます。

+4翻弄する魔導師
−1金属モックス(先攻のとき) −1オアリムの詠唱(後攻なら2)
−1ザルファーの魔導師、テフェリー −1稲妻のらせん

サイド:すでにミラーマッチでは有利な構成なので、コンボ成立に全力を注ぎ、相手の関係ないスペルは通しても問題はありません。ロノムの口でテフェリーを除去できるため、相手のセプターチャントが通ってもそれほど心配しなくても良し。

Tenacious Tron

メイン:X=2で虚空の杯を置かれると詰んでしまいます。時間が経てば経つほど不利になるので、積極的にテフェリーやセプターでアドバンテージを取りにいきましょう。いずれにしろ、精神隷属機が起動されたら負けです。そのときは潔く次のゲームに。

+3戦争の報い、禍汰奇 +4翻弄する魔導師
−1ザルファーの魔導師、テフェリー −1金属モックス
−3稲妻のらせん −1呪文嵌め −1火/氷

サイド:相手2ターン目の、X=2の虚空の杯を防ぐために禍汰奇を、また同じく虚空の杯、場合によっては仕組まれた爆発を止めるのに翻弄する魔導師を投入します。必死にアドバンテージを取りに行けば、五分とはいかなくとも、悲観するような事態にはならないはず。

フリゴリッド

メイン:楽とは言わないまでも、優位にことが進むはず。とにかくセプターを置き、オアリムの詠唱か火力を刻印できれば、イチョリッドでもサイカトグでも無効化できます。メインに古からの遺恨が入っていたとしても、カウンターすればよいだけの話。嘘か真かや神の怒りが入っていればもっと楽になるのも事実ですが。

サイド:呪文嵌めとテフェリーを外して稲妻のらせんと翻弄する魔導師を。魔導師は真髄の針、古からの遺恨、陰謀団式療法あたりを指定しましょう。相手の動き方(たとえば発掘に入っているなら遺恨、そうでないなら針を)見て決めたいところ。基本的にまず要らないのは呪文嵌め、次いでテフェリーですが、相手に堂々巡りがあり、ゾンビの横行をすぐに出してくる相手なら、呪文嵌めを3枚残し、ザルファーの魔導師、テフェリーを3枚外します。

(つまり、+4翻弄する魔導師−1呪文嵌め −3ザルファーの魔導師、テフェリー)

青白トロン

メイン:Tenacious Tronと同じですが、虚空の杯がないぶん楽に戦えます。テフェリーを通すために、何かしらカウンターさせる呪文をプレイしたり、やれそうならセプターを早めに設置してアドバンテージを取りに行くとよいかと。

サイド:サイドボードはTenacious Tronと同じ。相手が体勢を整える前にビートダウン、あるいはロックを決めたいところですが、相手がクリーチャー除去を外していることもあり、往々にしてビートダウンしきれたりします。

青白Trinket-Post

メイン:青白トロンとTenacious Tron、足して2で割ったような感じ。おそらく五分のマッチアップですが、相手には虚空の杯をサーチする手段があるのに注意。差し戻しや卑下のようなカウンターが少なく、粗石の魔導師を入れてツールボックスのような動きをしています。相手の動きをよく見ておきましょう。呪文嵌めは印鑑やタリスマンをカウンターする以外に使い道がなさそうです。

サイド:相手の構造上禍汰奇が効きそうです。逆に呪文嵌めは死にカード。相手に差し戻しも記憶の欠落もなければ外してしまいましょう。翻弄する魔導師は粗石の魔導師を指定するのが定石ですが、火力で除去できそうなら直接虚空の杯を選んでもよいかもしれません。

青緑対立

メイン:エルフを除去し、対立はカウンター。セプターで詠唱刻印。以上。1/1が大量に入っているデッキには火/氷が猛威をふるいます。対立さえ張られなければ相手は何もできません。

サイド:サイド後はスペルのやりとりで、相手を舐めてはいけませんが、特にサイドインするようなカードも見あたりません。引き続きテフェリー+セプターチャントで相手をロックしましょう。ただ相手にクローサの掌握が入っているかもしれないので、その場合はテフェリーを外して翻弄する魔導師(もちろんクローサの掌握を指定)を入れてもよいかもしれません。対立も防げます。

青黒サイカトグ

メイン:次元の混乱が使えるようになるまではあまり見ないかも。(もし入れば)滅び、狡猾な願いからの根絶などなど、デッキが大幅に強化されるでしょう。相手にテフェリーやオアリムの詠唱がなくとも、向こうの方が有利な感は否めません。ですがこのバージョンはテフェリー4枚なので、テフェリー+セプターチャントできるチャンスは十分にあるはず。

サイド:相手が狡猾な願いを使ったバージョンなら、サイド後もそれほど多くは変わりません。使っていないバージョンなら、不要なカードを外される分、さらに厳しくなります。

緑白ビートダウン

メイン:簡単です。自分に詠唱打っても勝てるくらい。まあお客さん。

サイド:アーティファクト破壊が入るくらい。大差なし。テフェリーが出れば勝ち。

アグロドメイン

メイン:結構危険なマッチアップ。相手は早いものの、プロテクション(赤)が入っていない分除去はしやすい。そのため動きはボロスと同じですが、セプターを設置するならオアリムの詠唱よりも稲妻のらせんを優先しましょう。テフェリーが出てるなら話は別ですが。土地破壊が入っていないのはよいものの、ガイアの力が通ると大損害です。イニシアチブをとった方の勝つ、相性五分のゲーム。

サイド:ボロスと同じく、テフェリー+セプターチャントを揃えて勝ちですが、ボロスよりちょっときついかも。

Dirty Kitty

メイン:セプターでどれを刻印しても効きます。火/氷でゴブリンを虐殺したり、儀式にレスポンスしてオアリムの詠唱を打ったり、巣穴からの総出のストーム誘発をもみ消したりとやりたい放題です。相手に馬鹿回りされなければ難しい相手ではありません。

+1稲妻のらせん
(先攻)−1金属モックス
(後攻)−1ザルファーの魔導師、テフェリー

サイド:相手は古からの遺恨を入れてくると思われます。やることはサイド前と同じ。相手の動きを邪魔しつつライフを保ちましょう。

U/B/W Trinket Solution

メイン:相殺は厄介なカードではありますが、それ以外はこれといって怖くはありません。向こうは相殺を張り、解呪に警戒しつつこちらのキーカードを止めようとします。しかも相手はアグレッシブなのでこちらにはすこぶる相性が良いわけで・・・。翻弄する魔導師が刻印されたスペルを止められないのは救い。

サイド:翻弄する魔導師が入ります。相手にはアーティファクトが多いため、スローダウンできる禍汰奇も入るかもしれません。青黒白だろうと青赤白だろうときついのには変わりませんが。

Gifts Rock

メイン:こちらは難しくはないマッチアップ。手札を破壊しつつ破滅的な行為で場を押さえられると厳しいものの、化膿以外でセプターを破壊する手段は限られます。急ぐ必要はありませんが、けちのサイクルエンジンが回り出す前に勝ちにいきましょう。

+4翻弄する魔導師
−1稲妻のらせん −3金属モックス

サイド:翻弄する魔導師は手札破壊かけちな贈り物を止めることになるかと。クローサの掌握をあらかじめ指定しておく手もあります。ちらつき蛾の井戸に注意。これ自体は大したことはありませんが、出されると2枚目のセプターが必要になります。

青白8ポスト

メイン:マナを別にすれば、構成要素は青白トロンと大差ありません。Trinket-Post や Tenacious Tronと違い、テフェリーに対して卑下しか対抗策がないため、トロンにとっては与しやすい相手です。虚空の杯が入っていないことも好材料。

サイド:青白トロンの時と同じです。翻弄する魔導師と戦争の報い、禍汰奇を。

TEPS

メイン:相手にはセプターチャントを破壊できる手段がほとんどなく、そのうえこちらが急ぐ必要はどこにもありません。セプターがなくても、オアリムの詠唱を持っているだけでコンボを止められます。呪文嵌めも燃え立つ願いや地獄の教示者といった大事なサーチカードをカウンターすることができ、狡猾な願いでどちらかを持ってくれば、もうほとんど相手はほとんど機能不全に陥ります。

+4翻弄する魔導師 −1ザルファーの魔導師、テフェリー −3稲妻のらせん

サイド:相手が入れてくるのは、まず脅迫。あとはオアリムの詠唱、ザンディッドの大群あたりがあるかもしれません。だが長期戦を見据えるなら、防御の光網がベストカードでしょう。だいぶ複雑な展開になります。ちなみに、翻弄する魔導師でオアリムの詠唱を指定し、詠唱を刻印したセプターを出してしまえばこちらの勝ちです。

青赤白Trinket-Angel

メイン:青黒白Trinket-Angelと同じ。手札破壊が入っていないだけ若干マシ。

サイド:青黒白Trinket-Angelと同じ。やはりサイドボード後はもっときつくなります。カードパワーで押し切られるか、相殺に嵌め殺されるかのどちらかでしょう。

(とりあえず終わりです。長かった・・・)

Aggro Loam VS BDW

2007年1月31日
今度のエクステンデッド環境の初期において、ボロス・デック・ウィンズがフォーマットの顔であることに疑いの余地はない。ボロスが強いと思おうが思うまいが、ボロスに対する対策を怠ってはならないだろう。実に多くのプレイヤーが、安定して・安易に回せるから、安直にもボロスを選ぶ。ボロスをやる人間が安直だとは言わないし、ボロスが安易なデッキだとも思わない。自分でも何が言いたいのか分からないが、あくまで単なる表現のアヤ(注)だ。本当に自分がボロスをそう思っていると考えるなら、さっさとブラウザを閉じろ。言いたいのは、プレイヤーはボロスの存在を第一に考えること、そしてその対策をするであろうということだ。Aggro Loamはそうしたデッキの一つであり、5人のプレイヤーがプロツアー・ボロス(世界選手権のこと)で使っただけではなく、平均で6ラウンド中4勝を挙げている。一方、選手権直後のマジックオンラインではTrinket Solutionがボロスキラーの筆頭となった。いずれにしろ悪くはない選択だ。世界選手権で、9人いたTrinket Solutionの平均勝ち点は10.89、Aggro Loamの11点と比べてもわずかの差しかない。PEのトップ8でもSolutionの数が倍増し、翻弄する魔導師が17チケットに値上がりしたのには驚いた。

(訳注:ボロスをthe safe, simple, and stupid answerと評していて、直訳で筆者は「単に頭韻法が好きなだけ」と書いているので、それを踏まえて表現しました)

この記事はBDWとAggro Loamのマッチアップ分析だが、よくある「サイド前10ゲーム、サイド後10ゲーム」という典型とは一線を画している。そうしたものは二つのデッキの構造的な相互作用ではなく、とかく相性だけを語りがちだ。自分がやろうとしたのはその欠陥を排すこと。以下のデッキリストはテストの出発点とも言うべきもので、このデッキをよく知らない人の疑問に答える役割もある。差し替えたカードと、差し替えたことによって及ぼすマッチアップへの影響も書いておきたい。たとえば、熊人間は序盤のマナブーストだが、火力に弱い。このスロットを殴打蔦の葛や突然のショックなどにして試してみたりする。思考の荒廃と壊滅的な夢の2枚はデッキのポジション争いをするため、両者を公平に試してみる。メタゲームの流れで過去の遺物となった、戦争の報い、禍汰奇の居場所はサルタリーの僧侶に追われ、戻る気配はない。

こういうことがあるため、どのマッチアップの勝率が何パーセントでどちらが有利か、などと書くつもりはない。テストをこなした数、プレイヤーの力量、あるいは筆者の嘘(あるいは何かしらの深謀遠慮がある)が背景にあるため、数値はマッチアップの真実を隠してしまう。このマッチアップが60/40で君の有利だと知っていても、それがPTQ本番で何の役に立つ?だから数字のことは忘れろ。ここで君達に言いたいのはどのカードがマッチアップの中心となるか、そしてそれは何故か。そうした知識こそが君の力になる。

BDW Riki Hayashi

4 Goblin Legionnaire
4 Grim Lavamancer
4 Isamaru, Hound of Konda
3 Kataki, War’s Wage
4 Savannah Lions
4 Silver Knight

4 Firebolt
4 Lava Dart
4 Lightning Helix
4 Sudden Shock

1 Barbarian Ring
4 Bloodstained Mire
1 Eiganjo Castle
4 Mountain
1 Plains
4 Sacred Foundry
3 Windswept Heath
3 Wooded Foothills

4 Dwarven Blastminer
2 Jotun Grunt
3 Pithing Needle
3 Sulfuric Vortex
3 Umezawa’s Jitte


Aggro Loam Riki Hayashi

4 Birds of Paradise
2 Loxodon Hierarch
4 Terravore
3 Werebear
4 Wild Mongrel

4 Burning Wish
3 Firebolt
3 Life from the Loam
2 Lightning Helix
4 Seismic Assault
3 Thoughts of Ruin

1 Barbarian Ring
1 Bloodstained Mire
3 Forest
4 Forgotten Cave
1 Mountain
1 Nantuko Monastery
1 Sacred Foundry
2 Stomping Ground
1 Temple Garden
4 Tranquil Thicket
1 Windswept Heath
4 Wooded Foothills

1 Firebolt
1 Hull Breach
3 Krosan Grip
1 Life from the Loam
1 Loxodon Hierarch
1 Morningtide
1 Nostalgic Dreams
3 Pithing Needle
1 Pyroclasm
1 Shattering Spree
1 Thoughts of Ruin


突然のショックとサルタリーの僧侶:決戦戦力

ボロスにとって、初手に勇丸やライオンがあるのはいつでも喜ばしい。素晴らしいテンポは決して時代遅れにはならない。だがAggro Loamは、野性の雑種犬によって貴重な時間を稼ぐことができるため、ボロスの猛攻を止めうる数少ないデッキのひとつでもある。序盤に立ちはだかる野生の雑種犬は、ボロスにとってMoat級の存在ですらある。2/2を雑種犬にブロックされ、土地を1枚捨てただけで一方的に殺されるのは、テンポ的な要素もあるとはいえ、質という面でクリーチャーと土地を引き換えることになり嬉しいものではない。浄土からの生命によって、捨てた土地が後から戻ってくるということもあり、この交換は長期的に見ればますます割に合わないものだ。

そのため野生の雑種犬の除去は、ボロスの長年の懸案事項だった。3点火力の稲妻のらせんですら役者不足だ。相手は土地と浄土からの生命を捨てれば済む。Aggro Loamの飼い犬を除去するためには4点以上のダメージが必要で、クリーチャーと火力、あるいは火力2枚を投じなければならない。銀騎士と稲妻のらせんの2枚を使えれば効率よく除去ができる。相手が4枚手札を捨てない限り、雑種犬は倒れて銀騎士は生き残る。1枚で4点ダメージを与えられるゴブリンの軍団兵も、カードアドバンテージを失わない、強力な雑種犬バスターだ。だが、これらは野生の雑種犬を除去できるとはいえ、ブロックされるためテンポ面でのアドバンテージを失っているのには変わりはない。

そこで突然のショックの登場だ。以前はこのカードを侮っていたが、何度も犬退治に貢献し、(犬を倒すためにデッキの構成をいじらずに済み)ボロスのクリーチャー陣を最少最適なコストで整えることができた。Aggro Loamはボロスに厳しくなる。このカードが理由のひとつ。

そしてもうひとつの理由。それはサルタリーの僧侶。シャドー、プロテクション(赤)。このマッチアップでクリーチャー除去の役割を果たす、野生の雑種犬と突撃の地鳴りの両方に完全耐性がある。2ターン目に出た僧侶は、ゲームエンドまでボロスのダメージソースとして稼働する。Aggro Loamにはライフ回復、突撃の地鳴りや土を食うもの(後述する)が入っているために急激な展開になりがちだが、確実に攻撃を通す僧侶はダメージ計算をやりやすくしてくれる。当たり前のことに思えるかもしれないが、サルタリーの僧侶は攻めから守りに回らなくてはならないタイミングを考えなくても良い。これがサバンナライオンだと、野生の雑種犬が何点パンプアップするか、チャンプブロックしなくてはならないかと気にしなくてはならない。

銀騎士は、このマッチアップではサルタリーの僧侶の劣化版としてプレイされる。プロテクション(赤)は突撃の地鳴りからも紅蓮地獄からも生き残るが、先制攻撃はシャドーよりだいぶ弱い。野生の雑種犬と銀騎士の2マナ対決は、マッチアップ全体の行方を占う大一番だ。雑種犬にイニシアチブがあり、どれでも1枚カードを捨てれば優位に立てる。一方で銀騎士は火力、理想的には稲妻のらせんがあってはじめて雑種犬をKOできる。もし除去できない銀騎士とサルタリーの僧侶で手を付けられないような事態になった場合、蛮族のリングがAggro Loamの最終防衛ラインになる。ほとんどのデッキには一枚しか入っていないが、発掘のおかげで見つけるのは思ったより簡単で、1枚あれば毎ターン使い回せるのと同じだ。

稲妻のらせんとロクソドンの教主:生き残るためのTime Walk

ライフ回復という手段それ自体は、ビートダウンデッキにとってほとんど脅威にならない。防御側のプレイヤーは、これによって何かしら重要なものをトップデッキするまで生き残れれば目的達成だ。もちろん、スタンダードで見られる砂の教示者のコンボのように、ライフ回復が目的になっている例外は置いておこう。ライフ回復も馬鹿馬鹿しい単位までいくとゲーム全体を支配しかねない力がある。ライフ回復がゲーム全体にどのくらいの影響力を持つか調べてみると、ちょっとした驚きがある。もっと驚くのは、ビートダウンデッキすらもライフ回復という防壁を持っている。「クリーチャーが強くなり過ぎた」という説の論拠になるかもしれない。

砂の教示者に比べれば、稲妻のらせんやロクソドンの教主などかわいいものだ。とはいえクリーチャーを除去するという片方の効果だけでも使えるのに、両方合わせればフォーマットの顔になる。ボロスのミラーマッチの場合、稲妻のらせんはサルタリーの僧侶の次に引きたいカードだろう。クリーチャー除去兼ライフ回復、あるいは単に相手のライフを3点「吸う」だけで勝てるゲームもたくさんある。Aggro Loamでもらせんは同じ役割だが、インパクトでは教主に勝るものはない。教主がいると、相手は戦闘で2対1交換が必要になり、そのうえ余分に4点のライフを削らなくてはならない。ボロスにとって教主を殺して4点のダメージを通すのは難しく、少なくともすぐにはできない。カードを使わずに倒せるのは銀騎士と渋面の溶岩使いのコンビネーションだけだ。

これらの2枚がAggro Loamのプレイヤーにとって重きを置いてくるので、プレイヤーは白マナソースを慎重に扱わなければならない。(典型的なデッキは、フェッチランドでわずか2枚のデュアルランドをサーチするため)早くに出し過ぎると、溶鉄の雨の的になる。いくら壌土からの生命で回収できるといっても、セット時に貴重な時間か2点のライフのどちらかを失うことになる。

ワンポイントアドバイス

Aggro Loam側

熊人間を使いたい人にとって朗報なのが、溶岩の投げ矢を使うBDWが減っていることだ。訃報は炎の稲妻が残っていること。野生の雑種犬に使う突然のショックや稲妻のらせんを流用してくるかもしれない。

自分のデッキリストでは、殴打蔦の葛が熊人間よりわずかに上だ。2ターン目に場に出せば恐怖の始まり。(1ターン目に極楽鳥を出せなくても)フェッチランドを使えば3ターン目の3/3になる。そしてそのターンさえ生き残ればもう勝ったようなものだ。

思考の荒廃だが、そのターンに土を食うもので勝てるという限りは使うべきではない。

やはり使うなら壊滅的な夢だろう。思考の荒廃よりも準備が簡単で、クリーチャーも除去できる。まあここでは相手にプロテクション(赤)が8体いて大問題なのだが。

燃え立つ願いは紅蓮地獄を取ってくるのが基本。唯一の例外は壌土からの生命を見かけないとき。

ボロス側

極楽鳥を焼け。相手はマナ調節があるが、マナ加速は少ない。1枚でライフ回復のための白マナ、突撃の地鳴りのための赤マナを出せる存在をみすみす許すこともない。

溶鉄の雨を基本地形にプレイするのを躊躇ってはいけない。Aggro Loamはマナ調節がぎりぎりで、単に基本地形を潰すだけで詰まることがある。長期的に見れば、2点ダメージよりも1色潰す方が効く。

一方、サイクリングランドは1色潰すのでない限り壊すべきではない。壌土からの生命で回収し、サイクリングにつなげられると目も当てられないことになる。

ボロスの中には溶鉄の雨と略奪の8枚体制を取っているものもある。略奪はダメージが入らない、壌土からの生命で回収される、という具合でこの相手では意味がない。

黒焦げはカード1枚でロクソドンの教主を殺すことができるため、この相手には有効だ。

サイド後

硫黄の渦は、ボロスがハーフタイム後に投入する兵器の一つ。毎ターン2点ダメージを与えつつ、厄介なライフ回復をシャットアウトしてくれる、攻めてよし、守ってよしのオールマイティー。そしてAggro Loamの側はダメージレースを強いられる。それに対応できるようにデッキを作ったものの、ライフ回復なしではかなり厳しくなる。結局(渦を破壊するために)燃え立つ願いで外殻貫通を持ってくる羽目になり、貴重な時間を失うことになる。

大部分のボロスはアーティファクト・エンチャント破壊のために解呪を入れる。Aggro Loamにとって、確かに突撃の地鳴りは大事なカードではあるが、攻めるスピードを落としてまで解呪を入れるほどでもない。法の領域やテフェリーの濠ほど深刻な被害にならないからだ。突撃の地鳴りはクリーチャー除去と準フィニッシャーではあるが、普通にドローできていれば、地鳴りを無視できるプロ(赤)軍団が並んでいるはずだ。破壊するなら、古の法の神やロノムの一角獣の方が向いている。出せば炎の稲妻がそっちの方に飛んで行きやすいだろう。相手の脅威に対し、あまり必要のない回答は遅れを招くだけだ。

梅澤の十手はこのマッチアップでは遅すぎる。十手はクリーチャーデッキに使うカードだが、Aggro Loamは厳密な意味でのクリーチャーデッキではない。2ターンを費やして出して付けて殴り、最初のカウンターが載ったところで外殻貫通を打たれ、スタックでライフ回復して解決、という流れは得とは言えない。それに比べて、真髄の針は費用対効果が大きい。(突然のショックがないなら)野生の雑種犬を指定すればよいし、相手が燃え立つ願いで外殻貫通を持ってくるまで、突撃の地鳴りを止められれば申し分ない。渦と針のコンビは実にナイスで、相手にダメージレースを強いつつ、(最初の願いで勝ち手段を持ってこれないようになるため)妨害までできる。

Aggro Loamの側は願いの関係上十分なサイドボーディングができない。だがボロスの生息数を考えると、相手をロックするために3・4枚のスペースを割くくらいはできるだろう。ロクソドンの教主と稲妻のらせんを1枚ずつ投入する。硫黄の渦が怖いならクローサの掌握、帰化、解呪などを入れる。相手の仕掛けるダメージレースに乗る手もあるが、下策だろう。一つ、硫黄の渦はこちらのダブルエースの稲妻のらせんとロクソドンの教主を封じる。こちらのキーカードが遅くて素直な動きをせず、ダメージレースに向いていないのもまた一つ。突撃の地鳴りは何もないところから12点ダメージを叩き出せるが、特に踏み荒らされる地をコントロールしているなら、3枚目の赤マナを待つ間に溶鉄の雨で破壊されてしまうだろう。急いて事をし損じるというか、急がば回れというか、硫黄の渦は後者にあたる。

デッキ代案:Zooというオプション

周知のことだが、Aggro Loamと同様、ボロスもまた緑を足してZooに変形してデッキの強化を図るようになった。もちろん他にも多様なバリアントはあるが、Aggro Loamに対して密林の猿人、野生の雑種犬、番狼といった高タフネスのクリーチャーに勝るものはない。タフネス3という数字は、Aggro Loamに搭載されている火力の威力を半減させる。炎の稲妻では殺せなくなり、突撃の地鳴りは2枚土地が必要で、稲妻のらせん1枚だけが単体で対処できるカードになるからだ。

アルマジロの外套はZooの白眉。基本的にプロテクション(赤)のクリーチャー、理想的には僧侶に纏わせて押し切りたい。追加で2点のダメージは硫黄の渦と効力が同じで、ダメージの代わりにライフ回復ができれば、突撃の地鳴りの射程圏内から逃れられる。毎ターン4点の回復量はロクソドンの教主を出すのと同じだ。硫黄の渦がこちらに危険なようならよいだろう。もっともライフや8postのように、ライフ回復が脅威にならないデッキなら、付いた返しのターンに神の怒りで流されるだけだろうが。

浄土からの生命を使う元祖のデッキであるCALは、独房監禁を永遠に維持できるエンジンを持っている。便利にも、このカード1枚でボロスの機能を丸ごと止められる。コンボ・ロックをかけるデッキなら、野生の雑種犬より根の壁のほうがいいだろう。ブロックして焼かれても生き残りやすい壁によって、突然のショックの価値が下がる。相手のターンと自分のターン両方にマナが出せる強みもある。出して平穏な茂みをサイクリングしたりできるが、もちろんそれだけに留まらない。

独房監禁は、サルタリーの僧侶のような、ブロックで止められないカードにも作用するため、ボロスは受動的にならざるを得ない。火力を外して解呪系のカードを入れることになるが、これはCALにとってもありがたい。突撃の地鳴りが破壊されるかもという瑣末なことはあるが、杞憂だろう。突撃の地鳴りを解呪したところで、解呪は炎の稲妻ではない(ダメージを与えない)のだから。

独房監禁を直接破壊するのではなく、トーモッドの墓所で浄土からの生命や土地をリムーブし、供給源を絶つ方法もある。だが、恥ずかしながら、墓所を起動するタイミングは非常に難しい。土地か浄土、いずれかが墓地にあるなら使い時だが、ベストなのは1枚でもサイクリングランドがある(サイクリング→浄土からの生命発掘の循環ができる)ときだろう。朝明けは燃え立つ願いのある相手を助けることになりかねず、結局トーモッドの墓所のほうが優れている。面白そうなカードがヨツンの兵卒で、殴ることと食べること、両方ができる。4/4のボディは独房−浄土ロックを決める前にゲームを終わらせる力があり、墓地を食べるアップキープコストは、浄土にも土を食うものにも相性がよい。問題はあまり長く飼い続けることができない点で、チャンプブロックで凌がれ、その間に墓地を食べきると飢えて死んでしまう。

最近の流行はLoamに黒を足す構築だ。Blaggro Loamと呼ぶ人もいる。手札破壊の脅迫と陰謀団式療法は、トロンには効きそうだ。だがボロス相手には、デュアルランドと溶鉄の雨という、色を足した代償がのしかかってくる。とはいえ、黒を入れることで、サルタリーの僧侶のようなクリーチャーも除去できる。化膿と燻しが最も良く使われそうなあたりだろう。除去と発掘の両方ができる暗黒破も、奇案にして妙案だ。

次にお目にかけるのは、自分のペットデッキであるGruul-o-matic。世界選手権のカバレッジにはこのアーキタイプが入っていなかった。仕方ないので、リーグで使っているオーソドックスなやつを載せておく。

Grull-o-matic Tuto

3 Grim Lavamancer
4 Kird Ape
4 Llanowar Elves
3 Phantom Centaur
4 Troll Ascetic
4 Wild Mongrel

4 Call of the Herd
3 Firebolt
4 Sudden Shock
3 Umezawa’s Jitte
2 Violent Eruption

4 Forest
4 Karplusan Forest
6 Mountain
4 Stomping Ground
4 Wooded Foothills

3 Blood Moon
3 Burning-Tree Shaman
3 Krosan Grip
3 Sulfuric Vortex
3 Sword of Fire and Ice

このリストはオンラインで見られるものに似せている。突然のショックは野生の雑種犬の除去に、密林の猿人や象トークンのタフネス3軍団は、2点ダメージがベースのボロスに対して除去を難しくする。トロールの苦行者はアンタッチャブルで、幻影のケンタウルスは「カードアドバンテージ」とテキストに書いてあるのと同じだ。タフネス3に突然のショック、そしてサルタリーの僧侶を殺せる梅澤の十手がメインに入っているため、現在のボロスよりもダメージ能力は高い。だが突撃の地鳴り−壌土からの生命のようなエンジンを持たないコントロールデッキ相手には苦戦するだろう。

Ninjaにインタビュー

MOのエクステンデッドでプレイしたことがあるなら、NinjaVanishの名前をご存じだろう。Aggro Loam を駆っている、今シーズン調子のいいプレイヤーの一人だ。Loamが戦えそうなメタなら、デッキをいじって繰り出す。その彼と話をする機会があり、いくつか聞きたかったこと、そして今シーズンのAggro Loamについてインタビューした。

Risky:今Aggro Loam vs ボロスの記事を書いていて、君の意見を聞きたかったんだけど、このデッキは君自身で作ったものかい?

NinjaVanish:いいや、PEで歯と爪をプレイして、相手に精神隷属機を使ったときにリストをコピーし、メタゲームに合わせていじった。それがデッキの原型。

Risky:明らかにボロスの生息数が多いけれど、この相手は何がキーカードになると思う?

NinjaVanish:バリエーションにもよるけれど、2マナでタフネス2以上のクリーチャーと稲妻のらせんだろうか。ボロス相手の理想的なハンドは野生の雑種犬にらせん・教主だろうか。これがあればゲームを長引かせ、最終的に勝つことができる。(インタビュー時点で記事はほとんど書き上がっていたが、これでありがたくも自分が間違っていなかったと確信できた。)

Risky:殴打蔦の葛はどう?厳しい?

NinjaVanish:4/4以上に育てばまず死なない。だけど普通らせんやら、炎の稲妻やら溶岩使いやらで焼かれるね。

Risky:そうそう、最近のリストでよく見かける熊人間も同じだよね。

NinjaVanish:熊人間は別に強くはない。虚空の力線が入った相手にテストして、こいつを外すことになった。蛮族のリングさえ引いてしまえばだいたい勝てるし。

Risky:リング?僧侶対策?

NinjaVanish:銀騎士も。両方ともボロスの最も厄介なカード。

Risky:確かに。自分で引かないからすっかり忘れていたよ。リングは何枚入れる?(この話の後、自分はリングを追加した)

NinjaVanish:ほとんどのバージョンは1。2枚以上入れようとは思わない。対ボロスの戦略はとにかく長期戦に持ち込むこと。場がどうあれ、突撃の地鳴りから相手を殺せるし、土を食うものや野生の雑種犬で大ダメージを与えることができる。あと、今はほとんどのバージョンが(思考の荒廃ではなく)壊滅的な夢を使っている。

Risky:何度か黒入りのバージョンを使っていたけれど、トロン用の手札破壊のため?

NinjaVanish:いや、そのバージョンはいつも使っている。さらにメインに独房監禁が入っている。ボロスと赤緑は独房監禁のロックで決まるからね。

Risky:赤緑2色だけのタイプは使わない?

NinjaVanish:使わない。ボロスや青白赤ソリューションが多いし、このデッキは独楽−相殺が入っている相手に弱い。

Risky:そして独房監禁があればTEPSにも対抗できる、と。

NinjaVanish:そうそう。これがあれば相手は願いがもう1枚必要になる。

Risky:じゃあ今使っているのは黒緑赤タッチ白。白は独房監禁だけ?ライフ回復は?

NinjaVanish:らせんがメイン。ボロスには負けたくないし、PTQとかに持ち込むならこのバージョンでいくと思う。

Risky:だからリプレイからはどちらのバージョンを使っているのか分からない(実際は4色)わけか。

NinjaVanish:デッキの構造に合わせて殴打蔦の葛を使った、黒なしのアグロバージョンもある。脅迫と療法を足した方はコントロールに勝てる。

Risky:そして君の4色バージョンは全てに勝てる。

NinjaVanish:実際のところ、黒赤緑よりはコントロールデッキに弱く、白赤緑よりはクリーチャーデッキに弱い。だがバランスは取れていると思う。ゴブリンやボロス相手で勝率80%くらいかな。

この独房監禁と黒の手札破壊を同時に足す、というアイディアは4色のギフトロックを彷彿とさせる。トロンは独房監禁と頭蓋の摘出で簡単になるだろう。闇の腹心を使うものもあるが、どうも危なっかしい。デッキの性質を考えると入れる気にはならない。NinjaVanishはデッキのヒントをたくさんくれたし、リプレイを見れば彼のデッキリスト全体を再現できるかもしれない。もっとも読者諸兄がこれを読んでいるときにそのリストがあったとしても驚くことではないだろう。もし見つかったらフォーラムで教えて欲しい。ではまた次回!

http://magic.tcgplayer.com/db/article.asp?id=7259
PTQやらグランプリやらの調整をしているお前らに、俺からも今テストしているデッキをご覧に入れよう。今シーズンのエクステンデッドは強力なデッキが目白押しだ。あるデッキが他のすべてのデッキに対し、勝てるかとか有利だとか考えるだけで頭痛の種だろう。だから俺たちのテストグループでは、そんなことを考えるのを止めた。有力なデッキが多いため、メタゲームは定まらず、環境を支配できる新デッキを作るなど、ほとんど無理な話だ。だから、既存のデッキをチューンすることに決めた。確固たるサイドボード、そしてマッチアップ毎の正しいプレイングを指南しよう。

以下がNassiffが世界選手権で使ったデッキになる。

Trinket Angels   Gabriel Nassif

2006 Worlds - Day 3, 6-0

3 Exalted Angel
4 Meddling Mage
4 Silver Knight
3 Trinket Mage

3 Counterbalance
1 Engineered Explosives
4 Fire/Ice
4 Lightning Helix
1 Pithing Needle
1 Pyrite Spellbomb
3 Sensei’s Divining Top
3 Stifle
1 Tormod’s Crypt
2 Umezawa’s Jitte

1 Ancient Den
1 Flagstones of Trokair
4 Flooded Strand
1 Great Furnace
3 Hallowed Fountain
2 Plains
2 Polluted Delta
2 Sacred Foundry
2 Snow-Covered Island
2 Steam Vents
3 Windswept Heath

1 Deep Analysis
1 Disenchant
1 Disrupt
1 Divert
3 Dwarven Blastminer
1 Flametongue Kavu
4 Kataki, War’s Wage
1 Pithing Needle
2 Pyrite Spellbomb

変更点

Nassiffの構築だが、その大部分は当時のメタゲームが未知であったことを念頭に置いて欲しい。相手がどのようなデッキを使ってくるかはわからないにしても、可能な限りできることをやった結果だ。Nassiffが真のプレイヤーであることは言うに及ばないため、メインについては1枚も替えるつもりはない。俺は7つの雛形でテストしている。ボロス、デザイア、Aggro Destructive Flow、Aggroloam、RiftSlide、サイカトグにこのデッキだ。使えそうなデッキが他にもあるのは分かっているが、あえて手を出すつもりはない。この7つのデッキ(中には数が多いとは言えないものもあるが)に関しては、このメインデッキで十分だ。だがサイドボードは別の話。

まず外すのは戦争の報い、禍汰奇を4枚。もう親和はいない。仮に親和フリークがいたとしても、上手くはいかないだろう。ボロスでも使っていない。次に考えたいのは方向転換、錯乱、綿密な分析。3つともコントロールデッキに効くが、どれがベストか絞ってみる。俺のサイドボードは以下の通りになった。

2火炎舌のカヴー:Aggro Loam や Destructive Flow、親和にも効く。
4ドワーフの爆風掘り:MOやPTQ初期において、生息数の多かった青白トロンとのテストはしていないが、最悪のマッチアップでも勝てるようにしてくれる1枚だ。
3錯乱:サイカトグ、デザイア、コントロール系のデッキへのベストカード。
2不忠の糸:ボロスの銀騎士対策。奪うのは除去するよりずっとずっとずっと上策。
1真髄の針:汎用対策カード。
1もみ消し:デザイア相手なら4枚目が必要だろう。
1梅澤の十手:非常に重要。火炎舌のカヴーよりずっと。
1トーモッドの墓所:壌土からの生命対策。発掘デッキ相手なら1枚では足りない。常に2枚目が必要だろう。

まあこれが俺のバージョンだ。

補足として、相殺について。相殺はWizards社が印刷した中で、壌土からの生命以来の強力カードだ。これと師範の占い独楽のコンボによって、このゲームのプレイがぶっ壊れたものになる。俺がGPダラスでプレイするデッキには、相殺か壌土からの生命のどちらかが必ず入っているだろう。お前たちがそうしないなら残念な話だが。

マッチアップ

ボロス:この相手はとても簡単だ。梅澤の十手と賛美されし天使が主力となるので、場にどちらか片方は出しておきたい。唯一負けるとしたら、向こうが銀騎士を大量にドローし、こちらが粗石の魔導師や(銀騎士を)殺せるカードを引かないときだろう。

+2 不忠の糸 +2 火炎舌のカヴー +1 梅澤の十手
-1 トーモッドの墓所 -1 真髄の針 -3 もみ消し

サイドボード後は、この相手には馬鹿みたいに強い不忠の糸のお陰でさらに有利になる。3枚目の十手と火炎舌のカヴーもお出まし願おう。唯一注意しておきたいのは、相手が糾弾をサイドボードに入れてくることがたまにあり、こちらのクリーチャーが狙われる。だから銀騎士や賛美されし天使で殴りに行くとき、相殺の準備もしておきたい。翻弄する魔導師はあまりよろしくないが、十手を装備するクリーチャーは必要だ。相殺でカウンターすることになる数は1と2。翻弄する魔導師で指定するスペルだが、俺なら普通渋面の溶岩使いか炎の稲妻にする。炎の稲妻はたいがい1枚くらい墓地に落ちているだろう。渋面の溶岩使いは相手のデッキの中でもっとも強力なカード。とはいえ、大概は勇丸をブロックして終わる。ピキュラが必要なさそうなら、真髄の針を入れて溶岩使いを指定することもあるかもしれない。

デザイア:おそらく今現時点でのエクステンデッドにおいて最強デッキだろう。このマッチアップは翻弄する魔導師ともみ消しがどれだけ引けるかにかかっている。2枚引ければ大抵は勝ちだろう。相殺はストームを止められないが、それでもまだ抑止力として働く。0、2、3がカウンターする主な数になるだろう。燃え立つ願いがもっともカウンターするべきスペル。3マナの煮えたぎる歌が続き、0マナの睡蓮の花は(相殺で)土地をめくってカウンターしよう。初手だが翻弄する魔導師、相殺、もみ消しのうちいずれか2枚がなければ、俺はマリガンする。トーモッドの墓所も、相手に過去の罪が入っているため役立たずにはならない。ほとんどの場合はデザイアでデザイアをめくるか、過去の罪でデザイアを再利用するかしかないためだ。

+4ドワーフの爆風掘り(素晴らしくはないが、他のカードよりはマシ) 
+1もみ消し +3錯乱 +1トーモッドの墓所

−2梅澤の十手 −1真髄の針 −1黄鉄の呪文爆弾 −1仕組まれた爆薬
−4稲妻のらせん

サイドボーディングで相性はだいぶ改善されるが、素晴らしいというほどではないない。サイド後も、もみ消し・翻弄する魔導師・相殺の3点セットが肝になる。爆風掘りで相手をロックできるケースもままあるが、こちらが後攻なら上手くはいかないだろう。錯乱は燃え立つ願いや脅迫、コンボスタートのターンに使われる儀式に打てば、最高とまではいかないものの、とても有効なこともある。翻弄する魔導師で指定するカードだが、もみ消しが手札にないなら精神の願望、あるなら燃え立つ願い。2枚魔導師があるなら1枚目は燃え立つ願い、2枚目は苦悶の触手。ピキュラでこうプレイできれたならほとんどロックだ。

Destructive Flow Aggro:Stuart Wrightが使ったリストを試してみた。マッチアップが散々なものになるだろうという予想に反して、満足のいく結果だった。相手のデッキは十手と賛美されし天使に弱い。一方で、こちらのデッキには獣群の呼び声と破壊的な脈動がやばい。ありがたいことに、この2枚は相手に5枚しか入っていないため、何かしてくる前に翻弄する魔導師で止めることができる。さらに、相手のマナベースはタイトなため、(フェッチランドの起動に対応した)もみ消しが刺さる。賛美されし天使を表にひっくり返すか、十手を装備して殴れればベストな展開だ。火/氷も、タフネス1が多い相手からアドバンテージを削ぐのに有効だ。

+2火炎舌のカヴー +1梅澤の十手 +2不忠の糸
−1トーモッドの墓所 −1真髄の針 −3もみ消し

糸で雑種犬なり獣群の呼び声の象なりを奪う。もみ消しはたしかに1ゲーム目で有効だったが、もっと強いカードが入るため外す。不忠の糸や火炎舌のカヴーを使ってもらえば、もみ消しよりもこっちの方を使う理由が分かると思う。

青白トロン:このマッチアップをよくこなしたというわけではないが、このデッキにとって最悪だということは言える。相殺は何も相殺できない。トロンに比べ、速度・パワーともに後れを取るばかりだ。トロンのカードはことごとくこちらの構成に相性が良く、そのうえこちらは腐るカードが多い。最初の翻弄する魔導師で神の怒りを指定できても、ファッティなり精神隷属機なりで殺されるだろう。

+4ドワーフの爆風掘り +1もみ消し +3錯乱 +1梅澤の十手
−3相殺 −3師範の占い独楽 −1トーモッドの墓所 −1真髄の針 −1仕組まれた爆薬

サイド後のドワーフの爆風掘りで光明が見える。出して相手の土地を破壊し続けよう。もし相手が対処できるようなら、先に翻弄する魔導師を出せばいいだけの話だ。相手の回答を排した上で爆風掘りを出そう。余談だが、このマッチアップで神の怒りのようなスペルに錯乱をプレイすると、どれほど笑えることになるかやるまで忘れていた。

Aggro Loam:このマッチアップは相殺がすべて。独楽でライブラリーのトップを2と3に保ち続けている限り、壌土からの生命も土を食うもの、ほとんどのカードをシャットアウトできる。突撃の地鳴りをたとえ場に出されたとしても、針で動きを止めるか壌土からの生命をカウンターできていれば問題ない。野生の雑種犬のサイズが気になるようなら、針で指定するか爆薬で吹っ飛ばすという手もある。全体を通して相手の動きに対処できるため、あまり心配をすることはない。

+1真髄の針 +1トーモッドの墓所 +2不忠の糸 +2火炎舌のカヴー +1梅澤の十手
−1黄鉄の呪文爆弾 −3火/氷 −3もみ消し

針は雑種犬や突撃の地鳴りを抑える。トーモッドの墓所は壌土からの生命や土を食うものの対策で、相殺−独楽で相手のスペルを止め続ける。実によいお客さんだ。

サイカトグ:このマッチアップは相手がどのような構築をしているかによって変わってくる。カウンター、燻し、狡猾な願いを揃えたクラシックなサイカトグならきつい相手だが、今度の選手権で日本人が使ったようなタイプなら、とても、とーっても簡単だ。脅迫はこちらには有効とは言えない。相殺を場に出せたならもう勝ちだろう。高コストカードが少なく、狡猾な願いがないため、独楽−相殺のロックを外せるようなスペルを持ってこれないためだ。有利か不利かはひとえに相手の構成次第。

+3錯乱(嘘か真か、知識の渇望に使う) +1真髄の針 +1トーモッドの墓所
−3もみ消し −1黄鉄の呪文爆弾 −1仕組まれた爆薬

サイドボードは相手がどのタイプでも同じようにやる。真髄の針とトーモッドの墓所が2枚ずつあれば、サイカトグに殺されることはないだろう。もしこの相手が地元で多いようなら、火/氷ではなく突然のショックを4枚入れ替えるとだいぶ簡単になる。コツは慎重に、そして相手のカウンターをうまくかいくぐること。相手のカウンターの数は多くなく、こちらは呪文嵌めや魔力の乱れを無力化できる。堂々巡りさえもトーモッドの墓所の前には無力だ。

最後に

このデッキがどのくらい強力か分かってもらえただろうか。翻弄する魔導師で指定するスペルと、相殺でカウンターすべき数、そして程度は下がるが針の使い方を知っておいて欲しい。最大のアドバイスだが、大会に持ち込む前にたくさん練習をすること。どんな状況だろうが、俺ならPTQのその場で決めるような真似はしない。

また次回

Antonino De Rosa

http://magic.tcgplayer.com/db/article.asp?ID=7295
先週Trinket Angel をプレイしてみたが、もう飽きてしまった。これまでセプターチャント、 森勝洋のサイカトグ、 Trinket Angel、 ボロスにTEPSを試してきたが、どれももう退屈だ。 個人的には、ボロスよりTrinket Angelのような、相手のカードに対抗する受け身のデッキの方が好みだ。使いたいデッキがないため、自分で組むことにした。多くのマッチをこなし、数週間に渡ってテストの末、完成版に至る。

Counter Top Tog       Alex Bartel

4 Dark Confidant
1 Meloku the Clouded Mirror
4 Psychatog

3 Circular Logic
3 Counterbalance
4 Counterspell
4 Duress
2 Engineered Explosives
3 Fact or Fiction
4 Sensei’s Divining Top
2 Smother
3 Spell Snare

1 Cephalid Coliseum
2 Flooded Strand
1 Hallowed Fountain
7 Island
1 Miren, the Moaning Well
1 Oboro, Palace in the Clouds
4 Polluted Delta
2 Swamp
4 Watery Grave

3 Ghastly Demise
3 Kataki, War’s Wage
3 Meddling Mage
2 Sphere of Law
2 Teferi, Mage of Zhalfir
2 Tormod’s Crypt

これで満足のいくデッキを組めた。自分で作ったデッキは楽しいものだが、これはトーナメント向けでもある。普通のサイカが使うカウンターをフル装備したうえ、師範の占い独楽とフェッチランドの組み合わせによるドロー操作、同じく独楽と闇の腹心でのエンジンも搭載している。それ以外はクラシックなサイカトグだ。カウンターしてサイカで勝つ。相手に針があるならメロクを使う。呪文嵌めが魔力の乱れより圧倒的に優れているのは周知の事実だ。仮に大部分のデッキが2マナ圏に集中していなかったとしても、それなら相殺でカウンターしてしまえば良いだけの話。独楽や相殺を活かすため、フェッチランドは多めに入れた。友人は溢れかえる岸辺を増やしたらどうかと言っているが、ボロスからのダメージを考えると、これ以上は厳しいところ。プレイテストのグループ内で、テフェリー対策にロノムの口を使うかどうかが議論されたが、さらなるテストをして判断したい。不可思議だが、最初のバージョンには入っていた。だがいったん相殺−独楽のコンボが成立してしまえばどうやっても勝てるため、無用の長物だ。例によって、以下がサイドボーディングになる。

ボロス・デック・ウィンズ

突然のショックの登場で、サイカトグはもはや序盤のブロッカーとして使えなくなってしまった。多くのサイカデッキは脅迫を使って序盤をしのいでいるが、それだけだといつも引いているとは限らない。仕組まれた爆薬は、1・2マナ域に集中したボロスに突き刺さる。燻しを外して爆薬の方を増やそうかとも考えるが、多すぎると間に合わなくなる。仕組まれた爆薬は2でプレイすることが最も多く、つまり出して起動するのに4マナ必要になるため、その間火力に無防備になるのはよろしくない。(展開は)序盤を捌ききって相殺と独楽を置いてしまえば、もう勝ったようなものだ。突然のショックだが、これすらも相殺の効果を誘発するため、サイカトグを出しているときは常に2マナのカードをトップに置いておこう。序盤を生き残るため、巨大なサイカトグをコストにして未練を起動し、10ライフ回復したりして数ターン稼いだりもできる。

サイドボード:−4 闇の腹心 −1 堂々巡り +2 法の領域 +3 恐ろしい死

闇の腹心は炎の稲妻の的になるだけで、この相手には機能しない。サイカトグが序盤に出ない以上、堂々巡りもベンチに下げる。法の領域は火力の防波堤になり、恐ろしい死もフェッチランドのおかげで1ターン目から打てる。全体を通しては、サイド前で60−40くらいで有利、サイド後は、相手のドローと打たれる溶鉄の雨の枚数によっては50−50くらいになる。法の領域をプレイするための白マナを出せるのは、溢れかえる岸辺1枚だけなので注意。

TEPS

このマッチアップはきわめて有利。カウンターと脅迫で相手を減速させ、相殺と独楽さえ揃えてしまえば相手が勝つのは難しくなる。睡蓮の花は、コスト0でプレイした仕組まれた爆薬で壊せる。

サイドボード:−2 燻し −1 仕組まれた爆薬 −1 曇り鏡のメロク
        +3 翻弄する魔導師 +1 ザルファーの魔導師、テフェリー

相手の睡蓮の花の待機解除に間に合えばよい、というくらいなのでテフェリーは1枚でよい。1ターン目から待機される分は防げないが、これは(こちらの動きで相手が減速するために)相手にとって良いプレイングとは言えないので無視して構わない。メロクでは遅すぎるし、燻しは明らかに不要。翻弄する魔導師で精神の願望を止められれば、その分カウンターを他のスペルに割く余裕ができる。サイド前も有利だったが、サイド後はもっと有利だ。今シーズンで流行りそうなTEPSをカモにできるため、このデッキを使う理由が一つ増えるというものだろう。

青白トロン

エターナルスレイバーのロックについて、ためになることが書けないのは申し訳ない。正義の命令だが、仕組まれた爆薬で防ぐことができるため、必ずしも勝ち手段とはならない。精神隷属機が起動されるのを防ぐため、カウンターを切らしてはいけないが、いったんアカデミーの廃墟からの再利用が始まってしまったなら、こちらのカウンターが尽きる前にクロックを掛けなくてはいけない。闇の腹心は、殴りつつ相手より多くのカウンターを確保できる貴重な存在だ。相手のマナが少ないうちに、脅迫で正義の命令を落としておきたいところ。

サイドボード:−2 燻し −1サイカトグ −1嘘か真か −1堂々巡り
        +3戦争の報い、禍汰奇 +2ザルファーの魔導師、テフェリー

このサイドボーディングで正しいかどうかは自信がない。燻しを外して何か入れるという形になるかと思う。禍汰奇は相手の印鑑に有効で、テフェリーはカウンター合戦を制することができる。相手の最大の脅威は巨大サイズの正義の命令で、こうなった時は仕組まれた爆薬が手元にあることを祈ろう。

セプターチャント

コントロールデッキ全体に言えることだが、相殺−独楽ロックさえできればもう勝ちだ。相手のデッキの中で最も警戒すべきはテフェリーで、嘘か真かをプレイするときは、相手に隙を与えてしまわないかどうか注意しなくてはならない。メインに入っている脅迫は、相手の等時の王笏を落としつつ、テフェリーをカウンターするためのマナを残すべきかどうかの情報もくれる。闇の腹心を囮にして相手に神の怒りを打たせ、サイカトグやメロクの殴る道筋を開こう。確率は定かではないが、このマッチアップは明らかに君の有利だ。

サイドボード:−2燻し −2仕組まれた爆薬 −1堂々巡り
        +3翻弄する魔導師 +2ザルファーの魔導師、テフェリー

翻弄する魔導師は、普通なら等時の王笏を指定するべきだが、場のクリーチャーやゲームのシチュエーションにもよるだろう。テフェリーを通した方が勝ちにぐっと近づくので、カウンターするためのマナは取っておくこと。

Trinket Angel

兎にも角にも相殺−独楽ロックで勝ちに行くこと。相手にカウンターが入っていないため、早めにロックを決めに行ける。残念ながら闇の腹心は火/氷や稲妻のらせんで焼かれるため、カードアドバンテージエンジンとしての役割は果たさない。フェッチランドの起動にもみ消しを喰らうとテンポで大きく出遅れるので注意。相手はサイカトグやメロクにインスタントで対抗する手段がない。相手に仕組まれた爆薬さえ入っていなければ良いマッチアップだろう。

象の待ち伏せ!まあそんなところだろう。テフェリーは相手の嫌らしい翻弄する魔導師や小さなクリーチャーを奇襲する。相手はこちらの闇の腹心を焼くために火/氷や稲妻のらせんを外していないと思われる。だからこちらが腹心を外してしまえば、相手に機能しないカードを残させ、裏をかくことができるだろう。相手はサイド後にドワーフの爆風掘りを入れてくるので、特殊地形ばかり並べないように注意。TEPS同様、これも数の増えているお客さんなので、ますますこのデッキを使う理由になる。

親和

あまりありがたくない相手。クリーチャーをたくさん引いてサイカトグで場を押さえるしかないが、これでも上手くいかないときもある。絶望的とまではいかないが、相手のドローが好調なら、メインでは勝てる見込みは乏しい。

サイドボード −4闇の腹心 −3相殺
        +3戦争の報い、禍汰奇 +3恐ろしい死 +1ザルファーの魔導師、テフェリー

禍汰奇がくるまでアグレッシブにマリガンしたいところだろう。相殺はマイアの処罰者や金属ガエルを止められないどころか、相手のドローが良いなら拙速に過ぎる。とはいえPTQで数が多くないと思われるので、あまり神経質になる必要はないし、禍汰奇がでればだいたい勝てる。相手は禍汰奇を殺せる手段がサイドボードにあるだろうから、1ゲーム目は神聖なる泉を見せないように気を付け、ただの青黒サイカと思わせておこう。

フリゴリッド

さて最後に最悪の相手を。サイド前は悲惨の一言。墓地対策が全くなく、相手の共鳴者を防げない限りはカウンターも役に立たない。サイドはトーモッドの墓所を入れ、好みで何か外す。おそらくは相殺になるだろう。残念ながらこのマッチアップはトーモッドの墓所を引けない限り厳しい。PTQで数が少ないのを祈るばかりだが、この相手は墓所を引けさえすれば勝ち確定だろう。

今日はここまで。試してもらえばわかるが、このデッキは君が考えているよりもずっと強力だ!読んでくれてありがとう、それとPTQでの幸運を祈る。

Alex Bartel
世界選手権で出てきた「キュートな」デッキとして、Dirty Kitty (過去最高にいい名前だと思わないか?)やFrench Eggs deck(アメリカ人は “Freedom Eggs”と読んでいる))(*)なんかが流行ったが、より強く、安定しており、回すのも簡単で、対戦相手を無視できるコンボデッキがここにある。

(*)日本ではSunny Side Up (サニーサイドアップ)

TEPS、正式にはThe Extended Perfect Stormがコンボの最終的な勝ち組で、MOのプレミアイベントでも同様の結果になった。Dirty Kitty は動きが不安定、French Eggs は不可解で回し方が難しい。その点TEPSなら堅実簡単だ。

だが、他のコンボデッキ同様、パーツを組み合わせる目算とスタートのタイミングに難しさが残る。あと何ターン残されているかという計算は難しい部類に入る。しかし、いったんスタートさせた後はもっと大事だが。

今回は、デッキの概観と、金魚デュエル(相手が何もしないと仮定した回し方)でのマリガン、スタートの見極めについて書いていく。

まずリストから。

TEPS By Raphael Levy and Frank Karsten

4 Burning Wish
4 Cabal Ritual
2 Channel the Suns
4 Chromatic Star
4 Chrome Mox
4 Darkwater Egg
2 Duress
2 Infernal Tutor
4 Lotus Bloom
3 Mind’s Desire
4 Rite of Flame
4 Seething Song
3 Sins of the Past
1 Tendrils of Agony

3 Gemstone Mine
4 Geothermal Crevice
4 Sulfur Vent
4 Tinder Farm

1 Channel the Suns
2 Duress
2 Empty the Warrens
1 Hull Breach
1 Mind’s Desire
4 Orim’s Chant
1 Pyroclasm
1 Sins of the Past
2 Tendrils of Agony


リストの原型は、世界選手権でFrank Karstenが暗黒への突入を脅迫に入れ替えたものを基に、Raphael Levyの手で改良が加えられたものだ。自分が変更した唯一の点は、サイドボードに紅蓮地獄を入れ直したところだけ。(Raphael Levyが)紅蓮地獄を3枚目の巣穴からの総出に差し替えた理由は理解できるが、TrinketAngelとのテストを繰り返し、翻弄する魔導師を何とかするために復帰させることにした。紅蓮地獄がないと、1枚目の魔導師で苦悶の触手、2枚目で巣穴からの総出と言われてゲームオーバー。魔導師の正しい指定だが、(少なくとも自分たちのテストでは)まずデザイア、ついで燃え立つ願いだろう。改良後も、TEPSにとって依然厳しいマッチだが、それでも光明は見えてきた。

型は大きく違うものの、他のバージョンについても少しだけ。願望をプレイする前に、フェッチランドでデッキの中身を濃くしておくもの、ドラゴンの嵐+黒瘴を使ったもの、師範の占い独楽と血清の幻視をユーティリティーとして活用したものもある。たしかにこれらもある程度の成績は残せているが、自分のテストにおいて、上のリストがもっともスピードと安定性に優れていた。

・コンボスタートのキー

マナを計算する

学術的な話に聞こえるかもしれないが、数・色の両方において、コンボスタートできるマナを暗算できればいい。計算に入る前に、基本的なところは以下の通り。

煮えたぎる歌=+2マナ
炎の儀式=+1マナ+墓地の枚数
陰謀団の儀式=+1マナ、スレッショルドなら+3マナ
太陽との交感=+1マナ

マナ調整アーティファクト(マナフィクサー)だが、出したターンに使うならどちらも(星・卵ともに)−1マナ。また、燃え立つ願いや地獄の教示者、あと(まだ使っているなら)暗黒への突入→太陽との交感とプレイすると差し引き−1マナ。太陽の交感は青マナを出すためだけに使われる。

どういう初手をキープすべきか理解する

原則がいくつかある。1つ目は、睡蓮があるなら、他がどうでもだいたいキープ。平均的なドローができて、睡蓮があれば、遅くともノルマとも言える4ターン目にはコンボスタートができる。

2つ目は、儀式が少なくとも2枚必要。安定してデザイアの連鎖をさせるのに、ストーム5や6は必要だ。(3や4でもやったことはあるにはあるが・・・お勧めはしない)

3つ目として、ベストな手札は土地が1・2枚に複数の儀式。普通は決めカード(願い、教示者、願望)が1枚引ければよく、星や卵があれば早めにドローできるチャンスは十分にある。

最後だが、返した相手のターンで危険域に入りそうなら、可能な限り早めにコンボスタートすること。ライフが削りきられるとか、(翻弄する魔導師や象牙の仮面などで)ロックをかけられそうな場合などだ。この見極めについては、フォーマット全体についての理解がものを言う。もし次のターンに危険がなさそうなら待ちだ。もう1枚カードを引けるなら、また1歩コンボスタートに近づき、問題のうちのほとんどは解決できる。

もっとも、ストーム7以上ができるなら前進あるのみ。

対策カードへの対策

実にトリッキーな話になる。相手がトロンで、差し戻しを持っていそう?仮にそうだとして、その差し戻しがコンボの邪魔をするのか、はたまたストームを増やすだけなのか?相手のデッキに壊滅的な夢が入っている場合、相手はそれをプレイしてくる?もみ消しにどう立ち向かえばいい?ボロスは次のターンこっちを殺せる?こちらのデッキは次のターンコンボ開始できる?相手がオアリムの詠唱をちらつかせてるって?

その辺のカード全てをカバーするとなると、記事も膨大になるので、ポイントをいくつか。

差し戻し・記憶の欠落だが、睡蓮に使われない限りは君の動きを止められない。使われたところでストームに貢献してくれる。

ボロス相手で押されている場合、相手の場にあるカードや土地を、1枚2点のダメージとして見積もろう。基本的に、土地は全て山、手札は全て炎の稲妻(1マナ2点火力)として考えること。次のターンも生き延びられそうで、溶鉄の雨がこちらに刺さらなさそうなら待つこと。こちらの計算を狂わせるとすれば黒焦げくらいだが、そうそう使われてはいない。

手札にオアリムの詠唱や脅迫がない限り、もみ消しの存在を忘れてはいけない。もみ消しはTrinketAngelならたいがい入っている。待てば待つほど事態は悪くなるはずだ。

脅威となるクリーチャー(ロクソドンの教主や土を食うものなど)が出てきたら、壊滅的な夢や世界の荒廃が続いてプレイされる。

初手のサンプル

さて、初手のキープ基準について、いくつかサンプルを見ていきたい。

例 1 (先手)
Chromatic Star
Chromatic Star
Mind’s Desire
Sins of the Past
Burning Wish
Lotus Bloom
Channel the Suns

睡蓮の花があれば「ほとんどキープ」なのだが、これは例外。儀式もないし、土地もなし、6マナ出す手段がない。重たいスペルばかりだ。悪くとも土地1枚に儀式2枚が必要で、次の3枚のドローにかけるということもできない。マリガンあるのみ。

Darkwater Egg
Sulfur Vent
Chrome Mox
Chrome Mox
Burning Wish
Mind’s Desire

ん〜、これも芳しくない。モックスも刻印するものがないし、儀式なし、6マナ出せる見込みなし。燃え立つ願いがあっても、太陽との交感をプレイするための緑マナがない。これならマリガン前より悪いと言うほかないが、まだよくなる望みはある。もう一度マリガンだ。

Sulfur Vent
Geothermal Crevice
Geothermal Crevice
Chrome Mox
Chromatic Star

5枚。もう選択の余地はない。以下が一人回しの経過になる。

1ターン目 硫黄孔セット
2ターン目 ドロー燃え立つ願い、彩色の星プレイ、地熱の割れ目セット
3ターン目 ドロー炎の儀式、地熱の割れ目セット (この時点で4ターン目に始動できるだけの材料が揃っていることに注意)
4ターン目 ドロー炎の儀式 (大当たり!)

このとき、ゲームの状況にもよるが、おそらくコンボを開始させるべきだろう。4ターン目で何もしないというのは、エクステンデッドでは遅すぎる。まずはこちらの使えるマナを数える。(土地から6、炎の儀式1枚目から1、2枚目から2で、合計9マナ)使う側だが、燃え立つ願いからデザイアをサーチして2マナ、プレイして6マナの合計8マナ。1マナ余る。星と硫黄孔があるため青青も出せる。星で引いてくるカードにもよるが、空のモックスだけでもストームが稼げるので、少なくともストーム4が見込める。

土地を3枚サクリファイスして、マナプールに黒黒緑緑赤青。
炎の儀式をプレイ(ストーム1)、黒黒緑緑赤赤青。
炎の儀式をプレイ(ストーム2)、黒黒緑緑赤赤赤赤青。
緑を使って星を起動、青に変換。(ここでは一番必要ないし、交感を引けばまた得られる)燃え立つ願いをドロー。黒黒緑赤赤赤赤青青。
最低必要な量より1マナ多いので、燃え立つ願いの1枚目は太陽との交感をサーチする。
燃え立つ願いから交感をサーチ(ストーム3)。黒黒緑赤赤青青
黒黒緑赤を使って交感をプレイ(ストーム4)。赤赤緑黒青青青青
燃え立つ願いから精神の願望をサーチ(ストーム5)赤緑黒青青青
金属モックスをプレイ、刻印なし(ストーム6)
マナをすべて使って精神の願望(7枚)

めくれたのはモックス、星、交感、地熱の割れ目、儀式、卵、卵。
卵二つ、星、炎の儀式をプレイ。(ストーム11)赤赤赤赤
一つ目の卵をマナに。ドロー卵。赤赤黒青
星をマナに。ドロー割れ目。赤黒青青。
二つ目の卵をマナに。ドローほくちの加工場。
引いた卵をプレイ。(ストーム12)
卵をマナに。ドロー煮えたぎる歌・・・

あ〜あ。ひどい例だ。7でデザイアが止まるケースは稀ではあるものの、現に起こってしまった。今度は別の手札でやってみよう。教訓だが、ときにコンボが不発に終わることもある。確かに起こりうる。

例 2 (先手)
Lotus Bloom
Lotus Bloom
Lotus Bloom
Chromatic Star
Rite of Flame
Cabal Ritual
Sins of the Past

基本的に、この手札から必要なのは願い、教示者あるいはデザイアで、どれかを引きさえすれば4ターン目に勝てるのは間違いない。土地がないため、4ターン目に発動できない可能性も起こりうるが、とにかくやってみよう。これをキープしてみたのはどうなるか興味があるからだ。これがPTQ本番なら違う判断をしたかもしれないが、たぶんそのままやるだろう。

1ターン目、睡蓮を3つ待機。
2ターン目、ドロー宝石鉱山。セットして星をプレイ。
3ターン目、硫黄孔をドローしてセット。
4ターン目、睡蓮が場に(ストーム3)。ドロー煮えたぎる歌。
次に引くカードが願い、教示者あるいはデザイアなら・・・星を黒マナにして、ドロー・・・卵。

この時点で場を見て、まだ発動まで時間があるかどうか見極める必要がある。もし余裕がないなら卵を割ってトップデッキに期待するしかない。待てるようなら、そうすることをお勧めしたい。ちなみに、今回は燃え立つ願いが4枚目にあり、上手くはいかなかったと思う・・・。

例 3 (検証のために後手)

Tinder Farm
Sulfur Vent
Duress
Infernal Tutor
Darkwater Egg
Darkwater Egg
Seething Song

もう1枚儀式を引ければ3・4ターン目に発動可能。これならキープだ。

1ターン目 ドロー卵、硫黄孔セット
2ターン目 ドローデザイア、ほくちの加工場セット、卵プレイ、脅迫プレイ。
(教示者で儀式をサーチできるようになるので、ここでデザイアを引けたのはありがたい)
3ターン目 ドロー宝石鉱山。

さて、ここでもこのターンでいくべきか、次まで待てるかを考えよう。このターンでは、少なくともストーム5まではいける。
(土地から5マナ出し、教示者で2枚目の歌をサーチ、2つともプレイして7マナ、2つの卵を出して割ってデザイア)
後手だったらいく必要があるだろう。

宝石鉱山セット。硫黄孔をサクリファイス、鉱山から青赤赤白黒を出す。
地獄の教示者をプレイして煮えたぎる歌をサーチ。(ストーム1)青赤赤
2枚の煮えたぎる歌をプレイ。(ストーム3)赤赤赤赤赤赤赤
ダークウォーターの卵をプレイ。(ストーム4)赤赤赤赤赤赤
卵をマナに。ドロー星。もう一つの卵もマナに。ドロー睡蓮の花。赤赤黒黒青青
精神の願望をプレイ。5枚めくる。
めくれたのは、過去の罪、モックス、卵、共感、陰謀団の儀式
卵、モックス(刻印なし)、儀式、交感をプレイ。(ストーム9)黒黒黒黒黒黒赤青緑白
過去の罪をプレイ、対象は精神の願望。(ストーム10)黒黒黒黒黒黒赤青緑白
精神の願望をプレイ。11枚めくり、3枚目に燃え立つ願いが出てくる。
苦悶の触手を持ってきて勝利!

例4 (後手)

Tinder Farm
Gemstone Mine
Sulfur Vent
Chromatic Star
Rite of Flame
Rite of Flame
Channel the Suns

後手なら喜んでキープだ。上手くいけば2ターン目に発動できる。

1ターン目、ドロー睡蓮の花。花を待機。硫黄孔セット。
2ターン目、ドロー炎の儀式。彩色の星をプレイ。ほくちの加工場セット。
3ターン目、ドロー燃え立つ願い(神様ありがとう!)これなら発動確定だ。睡蓮など待つまでもない。

宝石鉱山をセット。鉱山からマナを出し、星で緑に変換する。ドロー燃え立つ願い。(なんてラッキー)
土地をサクリファイスして赤赤青白。炎の儀式3枚をプレイ。(ストーム3)赤赤赤赤赤赤赤赤青白緑
太陽との交感をプレイ。(ストーム4)赤赤赤赤赤赤赤青青緑白黒
燃え立つ願いから、太陽との交感をサーチ。(ストーム5)赤赤赤赤赤赤青青緑黒
太陽との交感をプレイ。(ストーム6)赤赤赤赤青青青緑白黒黒
この時点で11マナあるので、燃え立つ願いで燃え立つ願いをサーチしてストームを稼ぐ(ストーム7)赤赤青青青緑白黒黒
燃え立つ願いで精神の願望をサーチ(ストーム8)赤青青青緑黒黒
精神の願望。9枚めくる。マナプールには黒を残す。
3枚目に燃え立つ願いが出てので、触手を持ってきて勝利。

例5(先手)

Geothermal Crevice
Geothermal Crevice
Tinder Farm
Seething Song
Rite of Flame
Cabal Ritual
Tendrils of Agony

手札にある触手は死にカードなうえ、土地が3枚もある。キープするのは実質5枚でやるのと同じ。さて、この手札から青マナが出ないことにお気づきかもしれない。この手札からやる場合、ベストなドローは燃え立つ願い。そこから巣穴からの総出をいくつかストームさせて殴り、触手で吸うというプランもある。そのため相手によってはキープしてもいいかもしれない。だが今は違う。

Darkwater Egg
Darkwater Egg
Lotus Bloom
Lotus Bloom
Seething Song
Infernal Tutor

4ターン目発動がもうほとんど確定。先手なら望ましいハンドだろう。キープだ!

1ターン目、睡蓮2つを待機
2ターン目、ドロー金属モックス
3ターン目、ドロー煮えたぎる歌
4ターン目、睡蓮が場に出る(ストーム2)地熱の割れ目をドローしてセット。
花をマナにする。黒黒黒赤赤赤
2枚の煮えたぎる歌をプレイ(ストーム4)黒黒黒赤赤赤赤赤赤赤
金属モックスをプレイ(ストーム5)、刻印なし
卵2枚を出す(ストーム7)黒黒黒赤赤赤赤
(暴勇の状態から)教示者をプレイ(ストーム8)、精神の願望をサーチ
2つの卵を割り、硫黄孔と精神の願望をドロー。黒黒青青赤赤
精神の願望、9枚。燃え立つ願いが出たので触手が取れる。

ちょっと補足しておきたい。上の例では、暴勇の状態で教示者をプレイでき、6マナ残してデザイアをサーチしてこれた。もしも2ターン目のドローがモックスではなく、過去の罪、彩色の星、ダークウォーターの卵のいずれかだった場合、デザイアをプレイするマナが足りなくなる。こういう場合、引いたスペルをプレイした後で手札を空にし、暴勇状態の教示者で燃え立つ願いをサーチして巣穴からの総出をプレイすればいい。(一つ多く呪文をプレイしているので10回、合計20体のゴブリンが出る)

例はここまで。自分ならこうするとか、もっと上手に回せるというアイディアがあるなら、ぜひフォーラムに書いて欲しい。誰も完璧にはなりえないし、特にこの"Perfect Storm"なら尚更だろう。

-Blake Rasmussen

http://magic.tcgplayer.com/db/article.asp?id=7258
おめでとうございます。
今年もMTG Yesterdayをよろしくお願いします。
グランプリなど、プレミアイベントは出来る限りあちこち
回る予定ですので、見つけたら構ってやってください。

それでは皆様のご活躍を祈りまして、まずはご挨拶まで。
そして幕が下りる。2006年の今年も、日本人がその力を存分に見せつけた世界選手権だった。明らかに、大部分のプレイヤーが、この環境におけるアグロデッキの勝率の高さを当てにしてボロスを使ったが、結果として世界を制したのはドラゴンストーム。もっとも、今回書きたいのはスタンダードじゃない。自分より成績の良かったプレイヤーによる、あまたの記事がすでにあるからだ。今回お届けしたいのはセプターチャント。

初めてエクステンデッドで使ったとき以来、セプターチャントに首ったけだ。そのとき使ったのはセプターの最初の派生系であるオースセプター。プロツアーでトップ8に入った、イングランドのNick Westが作った青白赤のセプターチャントは、不用意な相手をいきなりロックしてしまう。このフォーマットでは、出来る限り自分はセプターチャントをプレイすることにしている。去年のグランプリシドニーで、セプターチャントを使った僕は初日を7−0で突破することができた。まあ次の朝寝坊してマッチロスをもらい、そのせいでなんとも悔しい9位に終わってしまったのだが。

今シーズン、新しいデュアルランドのおかげで新しいデッキがたくさん出てきた。だが古き良きセプターチャントは依然として健在だ。プロツアー神戸のサイドイベントで行われたPTQ横浜では、森田雅彦がセプターチャントを駆って制した。(訳注:勘違いと思われます。制したのはチャーリーさんのトロン)そのデッキをさらにテストを重ねて最高の状態にチューンした。正直に言うが、エクステンデッドのテストはスタンダードと同じくらいやっている。スタンダードをプレイするとき、エクステンデッドの知識がものをいう。とくにコントロールデッキはそうだ。能書きはこの辺にして、これが僕の、世界選手権で4−2したセプターチャント。

ScepterChant Terry Soh

1 Eternal Dragon
2 Exalted Angel
2 Teferi, Mage of Zhalfir

2 Chrome Mox
4 Counterspell
3 Cunning Wish
3 Fact or Fiction
3 Fire/Ice
2 Force Spike
4 Isochron Scepter
2 Orim’s Chant
3 Spell Snare
3 Thirst for Knowledge
3 Wrath of God

1 Academy Ruins
3 Adarkar Wastes
1 Ancient Den
1 Bloodstained Mire
4 Flooded Strand
2 Hallowed Fountain
3 Island
1 Minamo, School at Water’s Edge
1 Plains
1 Polluted Delta
2 Sacred Foundry
1 Seat of the Synod
1 Steam Vents
1 Watery Grave

3 Condemn
1 Disenchant
3 Duress
1 Exalted Angel
1 Fact or Fiction
1 Hinder
2 Kataki, War’s Wage
1 Lightning Helix
1 Orim’s Chant
1 Stifle

デッキの中でいじって欲しくない箇所はマナベース。これは試行錯誤を重ねてできた、最強バージョンだ。せいぜい、サイドボードの脅迫が嫌なら湿った墓を島に替えるくらいだろう。

1永遠のドラゴン 1 賛美されし天使 2 ザルファーの魔導師、テフェリー

勝利までの道筋を「こじ開けて」くれるクリーチャーたち。永遠のドラゴンは26枚目の土地であり、岡本尋とのミラーマッチではこいつを使い回すだけで勝てた。賛美されし天使は、クリーチャーデッキ相手の場合、嘘か真かでめくられたら普通1対4で分けられる。この枚数だが、クリーチャーデッキをどのくらい意識するかによる。テフェリーはその逆で、コントロールデッキ封じのためにある。理想の動きは、相手のターン終了前にオアリムの詠唱をプレイ、解決されたらテフェリーを出す。こちらのターンでセプターを出して(狡猾な願いからもってきた)オアリムの詠唱か火/氷を刻印できれば終了。テフェリーとセプターチャントのコンボが成立すれば、相手が完全に呪文をプレイできなくなることも覚えておこう。また、テフェリーは待機状態のカードがプレイされるのも防いでくれる。最初、僕はテフェリーのスロットに正義の命令を入れていたが、コントロール相手の場合を含めてもその働きは不十分だった。だがテフェリー+セプターチャントのコンボなら、101%相手をロックできる。

4 等時の王笏 2 オアリムの詠唱 3 火/氷

コンボパーツたち。土地を外して4枚目の火/氷を入れたかったのだが、こちらよりも土地の方を優先した。だが4枚目が入ってもまったくおかしくない。実際のところ入れるべきなのだろうが、ほとんどの場合、2ターン目に出して相手のクリーチャーを除去しまくるというパターンができないと思われるため、個人的にはそこまでする必要はないと思う。まずはデッキが機能するための青青白白のマナを確保しなくてはならないためだ。オアリムの詠唱はコンボの最重要パーツだが、複数引いても嬉しくはない。2枚が適正だと思っている。等時の王笏はデッキそのもの。候補が8枚あるため、(詠唱、火/氷に願いから持ってくるカード)出れば問題なく刻印できるだろう。対抗呪文を刻印するのはお勧めできない。相手はセプター/カウンターを起動させるためにどうでもいいスペルを使い、それから本命のカードをプレイすればよいだけからだ。

3 神の怒り 3 知識の渇望 3 狡猾な願い 3 嘘か真か

デッキが機能するための歯車。神の怒りを使わないバージョンもあるが、正しいとは思えない。セプターチャントはクリーチャーデッキに勝てる。クリーチャーデッキに勝てないセプターチャントなど、存在価値がない。神の怒りはクリーチャーデッキに対する最高のカードで、それだけに白白2が出せるデッキは何枚か使うべきだ。糾弾や稲妻のらせんよりも遅いと思うかもしれないが、場を一掃して、相手が立て直させなければならないように追い込むことこそがベストだ。知識の渇望と嘘か真かは、エクステンデッドのドローカードとして定番だし、いまさら解説しなくてもいいだろう。狡猾な願いはデッキの「教示者」だ。本当のサイドボーディングもしたいため、願いで持ってくるカードの種類は最小限に抑えた。良さそうに見えても使われなかったカードを外し、サイドボードのスペースを作ることを優先した。

4対抗呪文 3 呪文嵌め 2 魔力の乱れ

デッキの盾。対抗呪文4枚は外せないが、あとは別に何でも良い。僕は自分より高いマナコストをカウンターできる呪文嵌めの大ファンだ。マナ漏出か魔力の乱れかで検討し、魔力の乱れになった。理由はボロスがエクステンデッドで多いだろうと思ったため。マナ漏出のほうが汎用性が高いものの、1マナ・パワー2のクリーチャーが溢れるこのフォーマットで、1ターン目のクリーチャーをカウンターできるカードはコントロールデッキにとって値千金だ。

サイドボード 3 糾弾

見てわかるとおり、クリーチャーデッキ用。稲妻のらせんはサルタリーの修道士、銀騎士、野生の雑種犬にマイアの処罰者などを殺せないが、糾弾なら問題ない。稲妻のらせんは、ペインランドのダメージやフェッチランドのコストのため、結局1・2点のライフしか得しない。禍汰奇が必要なさそうなら4枚目を入れるといいだろう。

3 脅迫

去年、僕は陰謀団式療法3枚と脅迫2枚をサイドボードに入れていたが、非アグロデッキに対して療法と正義の命令の組み合わせが強かったためだ。だが、ボロスの増加で、手札破壊よりも糾弾にスロットを割かなくてはならなくなった。正義の命令がテフェリーと差し替えられて陰謀団式療法はもう強くなくなり、脅迫だけが残った。これも禍汰奇を使わないなら4枚目を入れる。

1 賛美されし天使 2 戦争の報い、禍汰奇

禍汰奇が入ったのは、デッキの登録での最後の最後。もし2日までの成績が良かったら、トップ8で4−2すればよい相手と当たるため、リスクの高い親和は使ってこない。だが、賞金ラインに滑り込むために5−1や6−0が必要なら、親和は悪くない候補だ。さて、この辺から選手権3日目の状況を察してもらうことにしよう。賛美されし天使は対クリーチャーデッキで無類の強さを誇り、サイドからテフェリーと交代で投入される。

1 嘘か真か 1 稲妻のらせん 1 邪魔 1 オアリムの詠唱 1 解呪 1 もみ消し

最初の5枚は固定だが、もみ消しのスロットだけはメタゲームに合わせられる。まず、狡猾な願いからカードドロー、カウンター呪文、ライフ回復兼除去、アーティファクト・エンチャント破壊をサーチしたい。これで君の願いはほとんど叶えられる。持ってきたいカードがないため願いが役に立たない、ということはまったくない。アグロデッキならオアリムの詠唱なり、稲妻のらせんなりを持ってくればよいからだ。同様にコントロールには嘘か真かや邪魔を、解呪はユーティリティーに。もみ消しを入れたのは、MOのエクステンデッドでウルザトロンが流行っており、正義の命令や精神隷属機に対抗する必要があったためだ。これは浄土からの生命の対策をしたいなら棺の追放に、ボロスが多いなら原野の脈動にしてもよい。もっとも、ボロス相手の場合は願いを外す。願いで1枚のカードを取ってきて、さらにコストを払ってプレイするのは遅きに失するからだ。

僕のサイドボードには清麻呂の末裔は入っていない。多くの人がボロスに有効だと考えているようだが、僕はそうは思わない。というのも、このデッキはモックスと等時の王笏2つを使っている。どちらも余分にカードを「投資」しなくてはならない。出した当初はディスアドバンテージを背負う。(クリーチャーデッキ相手の場合)本当の意味のカードドローは嘘か真かだけなので、それほどカードがたくさん引けるデッキではない。こちらは土地は毎ターンおかなければならないが、相手(ボロス)は3枚置ければ十分で、残りは手札にとっておける。ほとんどの場合ただの2/3だろう。

最初のラウンドは、予想もつかないような白黒手札破壊ビートダウンに負けた。次のボロスは、2枚しかない解呪を2回とも的確なタイミングでプレイされて負け。ボロスはたいがいトップデッキによって勝つため、トップデッキして勝てるカードの多いボロスが使われるのももっともな話だ。次もボロスだったが、これは1ターン目にセプターチャントを決めて勝ち。4ラウンド目のバランスデッキで、時間切れ引き分けになりそうだったが、こちらがオアリムの詠唱と火/氷を刻印したセプターを出していることと、どちらも賞金と関係ないが、僕の方がナショナルチームに入っていたことから、ありがたくも勝ちを譲ってもらった。最後のドラゴンストームとゴブリンの2つはあっさりと勝利。

セプターチャントはオアリムの詠唱があるというただそれだけで、構造的にコンボとクリーチャーには有利だ。嘘か真かをプレイしたとき、クリーチャー相手の場合、賛美されし天使は1対4で分けられる。コンボ相手の場合、オアリムの詠唱が同様に1対4だ。こちらが詠唱を握っている限り精神の願望はプレイできず、儀式から9マナ出してドラゴンの嵐につなげることも出来ない。相手が煮えたぎる歌をプレイし、それにレスポンスでオアリムの詠唱をプレイして5点マナバーンさせるのは痛快ですらある。サイドボードの脅迫によって、入っていないバージョンに比べて苦手な相手とのマッチアップが改善される。クリーチャー相手の場合、カウンターでバックアップしつつ、神の怒りとセプターチャントで場を押さえられる。もっとも気を付けたいのは毎ターンの土地のセットだ。おそらくこれが一番難しい。1ターン目に魔力の乱れ、そして島と溢れかえる岸辺が手札にある状況なら、まず島から出すべきだ。仮に溢れかえる岸辺から神聖なる泉を持ってきた場合、1ターン目にして3ライフ失うことになる。島を持ってきた場合は1ライフで済むが、神の怒りが手札にあっても白白2が出せないことになりかねない。

コントロールには分が悪く、サイカトグやウルザトロンには歯が立たない。魔力の乱れ、オアリムの詠唱、神の怒りが死にカードになる。セプターよりテフェリーが、このマッチアップのキーとなる。というのも、セプターで何を刻印しても相手は対処できる。だがテフェリーを通してしまうともうほとんど勝ち確定だ。相手がまだ土地を置いてないアップキープに仕掛ければ、魔力の乱れも少しは役に立つだろう。脅迫もテフェリーを通すのに一役買う。もし一刻も早く場に出したいなら、空の王笏をブラフでプレイして、願いやカウンターを浪費させる手もある。また、相手はいつでもカウンターできるわけではないため、火/氷を刻印するのは難しくない。相手が王笏をどうにかできない限り、プレイしたとき常にカウンターを消費するか、出されることでアドバンテージを取られるかの二択を迫られることになる。

僕は地元のグランプリトライアルでもこれを使うつもりだ。ドローしてターンを終えるだけの相手を見るのは実に愉快だから、読者のみんなもぜひやってもらいたい。

エクステンデッドで一番やばいこと。1ターン目、セプターチャント設置。GG。

http://magic.tcgplayer.com/db/article.asp?ID=7239

-Terry Soh

Who’s The Beatdown?

2006年12月21日
MTGのトーナメントでもっともよく見られる(そのうえ捉えがたく、また深刻な)間違いが、似たデッキ同士のマッチアップにおいて、どちらがビートダウンの側で、どちらがコントロールの側かということの判断ミスだ。このミスをしたプレイヤーは例外なく負ける。

たとえば、似たデッキ同士のマッチアップで、双方が本当に75枚同じデッキ(純正ミラーマッチ)でもない限り、片方がビートダウン(攻める側)、もう一方がコントロール(守る側)になる。これは双方がアグレッシブなデッキだった場合など、深刻なジレンマに発展することもあるんだ。

例を挙げよう。ワシントンのPTQで、チームメイトのAl Tran がトップ8をかけてスライと戦った。Alのデッキは白ウィニージャンクデッキで、普通はアグレッシブなデッキだ・・・だがスライに対してはそうじゃない。

1勝1敗の後の3本目、勝った方がトップ8に入る。

対戦相手のファーストアクションはジャッカルの仔。Alの手札にあったのは呪われた巻物2枚、剣を鍬に2枚、名誉の道行き、そして土地が何枚か。Alはジャッカルの仔に鍬をプレイせず、呪われた巻物を起動できるようになるか、火力を引くまで待つ構えを見せた。

Alの2ターン目、Alは2枚目の土地と呪われた巻物を出し、土地を1枚立ててターン終了。

相手の3ターン目、3枚目の土地からボールライトニングをプレイした。Alは剣を鍬にを打たざるを得ない。Alはそこから数ターン場をコントロールできたが、結局は火力で負けてしまった。

何が悪かったのだろうか?Alはビートダウンデッキで、相手のジャッカルの仔とダメージレースをしようとした。だが、このマッチアップでは、コントロールデッキとしてプレイするべきだったんだ。ご存じの通り、スライはジャンクよりもかなり早いため、ジャンクが勝つ方法はスライの序盤からのスピードを除去でいなし、中盤以降は呪われた巻物でロックする。スライにも呪われた巻物が入っているため、火力の枚数はジャンクよりも多いことになる。だからジャンクの勝つ唯一の方法は、ライフを安全域に保ちつつ、相手にとって有効なカードを出していくしかない。

(ジャッカルの仔に剣を鍬にをプレイして)相手にライフを与えてしまうため、序盤ではライフ差をつけられるものの、これはボールライトニングに名誉の道行きをプレイして取り返せる。つまり仔に鍬を、ボールに道行きをぶつけることで、20ライフのまま中盤に移行し、ヴェグの聖騎士やサルタリー修道士などを出して相手を脅かすことができる。

似たような現象は、両者が基本的にコントロールデッキとして動く場合も起こる。同じPTQで、僕はHigh Tideデッキをプレイしており、このデッキにとって天敵のカウンタースリヴァーに当たった。カウンタースリヴァーはスリヴァー、崇拝、カウンターで構成され、呪われた巻物まで入っている。とはいえ、相手は自分がコントロールデッキだと思いこんでいたようだ。

2ターン目に水晶スリヴァー、4ターン目に崇拝を出してきた相手だが、その返しに天才のひらめきでライブラリーアウトさせて勝った。(1ゲーム目はこちらがパリンクロンで殴り勝った。他に相手に見せたのが錯乱、魔力の乱れにカードドローだったので、相手はこちらがクリーチャーが多いと思いこんだらしい)

いずれにしろ、相手はこのマッチアップにおいて、明らかにこちらがコントロールデッキだったにもかかわらず、自分がコントロールをしようとした。カウンターはこちらのほうが多い。相手はスリヴァーが入っているところに、こちらのデッキにカードドローとデッキ操作が入っている。相手にデュアルランドがある一方、こちらはThawing Glaciersが入っている。Thawing Glaciersのお陰で、こちらは毎ターン土地をセットできる。こちらは相手の渦巻く知識を錯乱でカウンターしてきた。つまり、こちらは毎回長期戦に持ち込んで勝つデッキというわけだ。

それゆえ相手のすべきことは、こちらに殺られる前に、殺ること。パワー2程度の適当なコストのスリヴァーを出しつつ、相手の青系のデッキがプレイしてくるもののうち、深刻な被害になりうる(たとえば神の怒り、仕組まれた疫病、それとこの場合High Tideのコンボパーツ)ものをカウンターしようとするのが定跡だ。相手はアグレッシブにいくべきだったと思う。水晶スリヴァー1体だけでは、Thawing Glaciersとカードドローでアドバンテージを稼げるだけの時間を与えてしまった。そのうえ、タップアウトするのは自殺行為にほかならない。こちらは転換を打つ手間すら省けたというものだ。

似たデッキ同士のマッチアップで、どちらがコントロールでどちらがビートダウンになるかについて、以下の3つが判断材料となる。

1ダメージソースの多い方はどちらか?通常は多い方がビートダウンデッキ。
2除去の多い方はどちらか?通常は多い方がコントロールデッキ。
3カウンターとカードドローの多い方はどちらか?ほとんど大概、多い方がコントロールデッキ。

もし君がビートダウンデッキなら、相手が殺そうとする前に殺さなくてはならない。もし君がコントロールデッキなら、序盤の猛攻を防ぎ、カードアドバンテージを得て優位に立つときまで生き延びなくてはならない。

役割としてのビートダウンとコントロールが正しくプレイされた例として、1998年のアメリカ選手権のとき、トップ8でPriceとPacificoが戦ったスライ対スライのマッチがある。表面上は似通ったデッキだが、そのデザインは大きな違いがあった。

Daveのスライは、Pacificoよりも呪われた巻物が多く入っており、ボガーダンの鎚や投火師も使っている。ビートダウンとしてのカードはジャッカルの仔とボールライトニングだけで、デッキの残りはコントロールとユーティリティ指向のカードだ。

Pacificoのスライは、ダメージを通すことを狙いに置いている。デッキの基盤は除去よりも高速軽量クリーチャーだ。ジャッカルの仔とボールライトニングに加え、蛮行ゴブリン、モグの下働き、スクアータの双騎兵にヴィアーシーノの砂漠の狩人。投火師やボガーダンの鎚のような類のカードは入っておらず、呪われた巻物が3枚あるだけだ。

このマッチアップでは、スタートはDaveのデッキが絶対に早いが、彼の役割はコントロールで、長期戦に備えなければならない。Daveは呪われた巻物を出した以外、ほとんどアクションらしいことをしなかった。Pacificoのクリーチャーを火力やブロックで除去し、やがて呪われた巻物で場を制圧して小さなカードアドバンテージを重ね、とうとうゲームを制した。

もしDaveがPacificoとダメージレースをしていたら、彼に勝ち目はなかったろう。双方のプレイヤーがノーガードで殴り合った場合、勝つのはダメージを通せるように作った方。(だが僕はプレイングこそが赤使いの命だと思っている)

最後に、スーサイドブラック対スライのマッチアップを例に取る。どちらも超高速デッキだが、スライが勝つ宿命だ。

ダメージ量が多いのはどちらか?スーサイドブラックだ。カーノファージ、肉占い、そして時に肉裂き怪物まであり、対コストでパワーの優れたクリーチャーが多い。憎悪のようなカードも入っていたりする。自分にすらダメージが入る。

除去の多いのはどちらか?スライだ。もしスーサイドブラックが呪われた巻物まで使っているなら、スライデッキはより一層与し易い。さらに、スライは単なるウィニーではなく、火力も入っている。

スライはとても早い(金魚デュエルなら4ターン)デッキだが、スーサイドブラックは、構成と儀式の引きによっては、金魚で2・3ターン目に勝つこともありうる。スーサイドブラックがビートダウンで、スライがコントロールデッキなのは明らかだ。しかしながら、スーサイドブラックは他のビートダウンデッキに対して勝てない。特に肉占いや肉裂き怪物が入っている場合、デッキとして余裕を持って動ける時間はあまりない。スライには火力が豊富にあるからだ。レスポンスの火葬で負けが確定するため、憎悪などプレイできる気がしない。そこで、ビートダウンができないなら、スーサイドブラックはコントロールデッキとして動くしかなくなる。

役割を見誤る=ゲームの敗北

サイドボード後、スーサイドブラックの対スライの相性はだいぶ改善される。「あなたにダメージを与える」と書いてあるカードを外し、除去とライフ回復に差し替える。こうしてコントロールよりに合わせて正しくプレイすることで、劇的とまではいかないまでも勝率は大幅に上がる。

Mike Flores
Cabal Rogue
Team Discovery Channel
madmanpoet@yahoo.com
ん〜、そろそろ顔を出す良い頃合いだろうか。ヨーロッパに行くたび、気候と時差に、タバコの煙で満ちたレストランに悩まされる。パリは美しい都市で、観光スポットも多くて歴史情緒もあったが、8ユーロもしたタバコ風味のクレープは僕の好みじゃなかった。僕は出国するころにはたいてい病気にかかるが、今回も例外じゃない。移動がきつかったため、2日目と3日目の成績は散々。たくさんやらかしたプレイングがそのまま負けにつながった。調子さえ良ければマネーフィニッシュ、あるいはトップ16も狙えたと思うが、それはこのゲームの仕方ないところだ。フランスに来るヨーロッパの人も日本人も同じ問題を克服していることだし。選手権参加で手に入るプロポイントのおかげで、次のシーズンからレベル3。だから今回の旅行は全く収穫がなかった訳じゃない。

まあとにかく、僕が世界選手権について言いたいのは・・・まあ、たくさんある。3つのフォーマットでプレイして、それぞれから学ぶところは大いにあった。当たり前のことだとは思うが、トップレベルの大会は、他のどんなトーナメントよりも学べる。当初、記事のネタは世界選手権後のスタンダードに備えたメタゲームの考察や、面白いデッキを紹介しようと思っていたが、エクステンデッドのPTQが迫っており、そっちをやっても悪くはないとも思った。色々考えた末、今週はエクステンデッド、来週はスタンダードをやる。

皆さんご承知の通り、PTQジェノヴァがまもなく終わり、間髪入れずPTQ横浜が始まる。プロツアー本番が時のらせんブロック構築となるため、PTQはエクステンデッド。面白くなること請け合いだ。これまで長々続いたリミテッドのシーズンも一息つける。(PT神戸もPTジェノヴァもリミテッドで、構築もやったのは世界選手権だけだった)チーム構築もあったが、これは全く別のフォーマットだ。コールドスナップから時のらせんまで、グランプリもほとんどリミテッドだった。個人的には、主にタイムシフトカードと不揃いなカードデザインのため、時のらせんのリミテッドはあまり好きなほうではない。いずれにしろ変化はありがたい。喜んで構築フォーマットに戻ろう。僕はPTQでプレイすることはないが、世界選手権で得た物は多く、この環境の初期と、グランプリテキサスに向けたアドバイスをしたいと思う。

前に書いた記事で、青白トロンのようなデッキをトーナメントに持ち込むのは良くないということを書いた。今でもそう思う。だが言葉が足らなかったのも確かだ。ウルザトロンはタイプ2でもっとも強力なデッキの一つで、これはそのままエクステンデッドでも同じことだ。このデッキをプレイして、ろくにチューンしなくても非常に強力ではあるが、脆く崩れるマッチアップもあることがわかった。トロンをプレイするのはお勧めできないが、青白でも、歯と爪でも、何かほかのタイプでも、依然としてメタゲームの一角を担うのは間違いないだろう。大量のマナで何かしてくるデッキは、もうそれだけで無視できない強さがある。記憶の欠落、差し戻しに神の怒りがあれば、トロンを揃え、無色マナを使って、何かひどいことをしかけてくるまで余裕で生き残れる。普通なら精神隷属機がベストだろうが、ほかのパーツも見たことがある。

僕が世界選手権でプレイしたのは、繁殖力とたくさんの「儀式」が入ったゴブリン。この手のゴブリンがDirty Kitty と呼ばれているのを見たことがあるが、その辺のネーミングについてはあまり関心がない。BDMやBilly Moreno あたりがリストを載せろといってきた。では、お言葉に甘えて。

Dirty Kitty         John Fiorillo

4 Goblin Matron
4 Goblin Piledriver
1 Goblin Sharpshooter
1 Goblin Sledder
4 Goblin Warchief
4 Mogg War Marshal
4 Skirk Prospector

2 Brightstone Ritual
4 Empty the Warrens
4 Fecundity
1 Grapeshot
4 Rite of Flame
4 Seething Song

1 Blood Crypt
4 Bloodstained Mire
6 Mountain
4 Stomping Ground
4 Wooded Foothills

2 Ancient Grudge
4 Cabal Therapy
4 Clickslither
1 Goblin King
2 Krosan Grip
2 Pyroclasm



ひどいデッキかって?一目見て、クレイジーなこのデッキをわかってもらえれば大丈夫だと思う。でなければ、たぶん出来損ないのゴブリンデッキにみえるだろう。このデッキのプレイングはバナナの皮の剥き方くらい簡単だ。信じてくれ。勝つときは卑怯くさいほどドローできて、マナも大量に出る。時のらせんでこのアーキタイプを強化したカードは、モグの戦争司令官と巣穴からの一掃。これらがなければコンボをスタートさせるだけの力がなかったろう。たしかにゴブリンデッキはゴブリンの戦長と群衆追いのビートダウンで勝てるが、その武器をそのままに、コンボという新たな力を得て、デッキの真価を発揮できる。

繁殖力とスカークの探鉱者を出せれば、速やかにコンボが発動できる。ゴブリンをマナにしてドローし、儀式をプレイしてマナを増やし、さらにゴブリンをプレイ。それを繰り返して、ゲームを終わらせるだけの巣穴からの一掃をプレイする。クリーチャーを大量に並べて殴るもよし、デッキを引ききって30点とか40点のぶどう弾を叩きつけるもよし。驚異的な早さで勝つことができ、早いときは2ターン目で勝つことすらありうる。ほとんどのプレイヤーには、いつコンボが発動したかがわからない。つまり、相手は次に何が起こるか予想がつかないし、こちらの動きにどう対処したらいいかなんて見当もつかない。

(世界選手権の)土曜日の結果は散々だった。このデッキは、プレイングのスタイルが勝敗をわける。ベルギーのBernardo Del Costa Cabral(青白トロン)と戦ったとき、僕は繁殖力と14体のゴブリンを場に出していた。向こうの妨害で攻撃できず、そのままターンを返す。Bernardoは神の怒りをプレイし、僕は14枚ドロー。手札ががっぽり増え、にんまりした僕の顔をよそ目に、Bernardoは3種類目のトロンを置いて、場に出したのは精神隷属機。結局自分のゴブリンで殺されることになった。試合には負けたとはいえ、面白いゲームだったと思う。

このデッキはまだ若干改良の余地はあるものの、ほとんど完成に近いと思う。このデッキに金属モックスが必要かどうかまだ決めかねる。ストームの数を増やせるのはよいが、スピードアップの代償に手札を犠牲にしなければならないのは厳しい。序盤に出す金属モックスは、手札2枚を費やして1マナしか増えない儀式になる。毎ターン出す必要はないし、それなら儀式の方がよい。もっとゲームの数をこなせば入れるべきかどうかはっきりするだろう。次は、代表的なマッチアップごとに、どのようにサイドボーディングするか、そしてそれは何故か解説する。

Boros Deck Wins

おそらく今のエクステンデッドでもっともポピュラーなデッキだろう。早くて強い。最軽量かつ最良のクリーチャーを、効率的な火力でバックアップするのは古きよき時代からの・・・いや、永遠に不滅のデッキだ。ボロス相手の場合、こちらが初手とドローでつまづいて、まごまごしているとあっという間に押し切られてしまう。サイド、ときにメインから入っているサルタリーの修道士に銀騎士は、想定の範囲内とはいえ、ちょっとばかり苦戦を強いる。もし初手が良くても、1ターン目にスカークの探鉱者を出さないように。(こちらの動きがわかっている相手なら)焼かれて一気に窮地に陥る。そう何度もアタックしてダメージを通すことができないので、コンボ要員のこいつが死んでしまうと厳しい。コンボするにしてもしないにしても、ありがたいことにモグの戦争司令官が使える。数がたくさん出てきて焼ききれないからだ。もうひとつありがたいのは、このマッチアップでは繁殖力を出さなくても良い。なすべきは大量のストームを発生させた巣穴からの一掃をプレイすること。ゴブリンを12体出し、さらにバックアップができるなら、もう勝利は決まったようなものだ。

サプライズとしてゴブリンの王をサイドインし、山渡りと火力を防ぐタフネスを追加する。つつき這い虫も投入だ。こいつは君が考えているよりいい仕事をしてくれるぞ!相手は、こちらのゴブリンを10体くらいなら除去できるだろうが、それ以上の物量で押せばもう防ぎきれない。

Tron

実際のところ、トロンは分の悪い相手だ。相手の記憶の欠落や差し戻しはこちらの手を遅らせると同時にカードドローまででき、すばやく大量のマナを調達できるようになる。クリーチャーがちらほら残ったとしても、バウンスしたり神の怒りで流すことができる。精神隷属機はこのデッキにとってやばいカードで、相手は君が考えるより上手にやりたい放題してくれる。

サイドは陰謀団式療法とクローサの掌握を投入すると良い。古からの遺恨も入るかもしれないが、それら全部を入れて何を外すかは難しいところだ。遺恨はこのマッチアップでは悪くないが、先を制するほうが僕の好みだ。印鑑を破壊できれば神の怒りを打たれないかもしれないが、それなら陰謀団式療法で落としておいた方が良い。

Gifts Rock

世界選手権でこのデッキに当たったが、ロックが今シーズンのPTQやグランプリでどのくらいいるかはわからない。もし当たったなら、倒すときはできるだけ1ターンで決めよう。相手に陰謀団式療法を連発されると厄介になるかもしれないが、繁殖力と探鉱者さえあり、他に若干パーツが残っているならコンボの発動は簡単だと思う。相手にエンチャント除去がないならやりやすいだろう。

このデッキ相手のサイドボードは煮詰まっていない。おそらく陰謀団式療法やクローサの掌握あたりが入ることになると思うが、そのデッキの動きを見極めたいところだ。陰謀団式療法を入れ、1枚差しのカードのどれかと輝石の儀式2枚を外すのが無難なところだと思う。

エクステンデッドには無限のアーキタイプがあり、それに付き合うと記事も際限なくなるためこの辺にしておこう。サイカトグ、Second Sunrise、赤緑ビートダウンが書いてなかったからということで、掲示板では叩かれることだろう。だがアグロ、コンボ、コントロールの3通りを覚えておけば十分だ。火力のあるアグロデッキ(アグロの大半はそうなのだが)の場合、要領はボロスと同じ。もっとも大事なことは相手を倒すことだ。必要のない限り、攻勢には出ないこと。プレイヤーが1・2ターンを待つことができず、焦ってゲームを落とすのをいくつも見てきた。自分にどれだけのターンが残されているか計算し、その最後の数分のために力を蓄えよう。

では、楽しんでくれ。そして幸運を。このデッキは面白いし、意外性がある。

-John Fiorillo

http://magic.tcgplayer.com/db/article.asp?ID=7240
心霊破、アクローマ、ゴブリンの雪だるまなどなど、紫色の連中と一緒に俺自身もタイムシフトした気分だ。一度スタンダード落ちしたカードがたまに帰ってくることもあるが、俺の場合は過去の遺物が溜まった墓場から、いきなり放り出された感じだな。

Scott Johns に、もう一度だけWise Wordsを執筆してくれないかと持ちかけられたとき、それも面白いと思って、書く内容も特に考えないままに引き受けてしまったが、時間がたつにつれて、俺が最後に書くMagic: The Gathering の記事がどんな影響を与えるか考えさせられるようになった。締めというか、達成感という感じがある。俺はかつてWise Wordsで、読者にさようならとか、今までありがとうとか書いたことはなかった。だが今なら喜んでそうしよう。

なぜ俺がこのゲームを離れるかについて説明させてもらおう。俺がゲームの文化にどっぷり嵌まるとともに、マジックが俺にとって単なるゲームの枠を超えた。プロツアーに向けて、生活のすべてを捧げ、たくさんのなすべき物事を放ってきた。これほどまでにマジックとプロツアーにこだわったことは間違いではないと思っているが、やりすぎていいことは何一つない。

英国に移った後、マジックに対する情熱が日々冷めていくのがわかった。もうそれは仕事になっており、張り詰めた競争の日々が純粋にゲームを楽しむ心を奪っていった。インターネットの掲示板も心労の種で、プレイングや人間関係をも蝕む。すべてのきっかけは2002年の世界選手権でCole Swannackと当ったときだった。

Coleは若干13歳の子供で、会場が彼のホームグラウンドということもあったため、フィーチャーされると30人ほどのギャラリーが囲んだ。マッチが進むにつれ、Coleが技術的な点においてトーナメントのプレイに不慣れなのが見て取れるようになってくる。遅いプレイングに一度ならずジャッジを呼ぶことを考えたが、俺は大人気ない振る舞いで子供の夢を壊すような真似はどうしてもできなかった。それ以来、第一線でプロとして戦い続けるという気概を失っていったことを覚えている。

それでも、俺の当時の生活はマジックの収入にかかっていた。他のことをやろうという気にもならなかったので、この世界に執着したともいえる。だがプロツアーのたびに勝利への執念は消えうせ、人間関係もぞんざいになり、成績は凋落の一途をたどった。この世界に俺を括り付けていたのは未知への恐怖で、それから逃げるような真似を続けてきた。

そして負けが込むにつれ、金も底をつく。かつては全て賞金で賄うことができた遠征費用だが、もう記事の執筆活動だけでは足りず、効率の悪い仕事に精を出さなければならない羽目になった。英国に移ると、弱り目に祟り目で、無名の連中に負け続けて不名誉な記録を作り(移って6日目の大会だ。わかると思う)、SARS感染のための強制隔離まで喰らった。トラウマが募り、もうこのままでは俺の人生にいいことなんてないと思うようになった。変化が必要だったんだ。

無一文で、情熱もなくし、途方にくれた俺は、2004年のサンフランシスコを機に引退した。その後数ヶ月間「普通の」会社で働いたが、事態は悪くなるばかりだ。もう俺の人生は終わりだとも思った。ゲームの楽しさは俺のかつての経験によって失われており、競技から長らく遠ざかっていることもあって、この世界に戻る気にはなれなかった。

親友が俺にウェブサイトを作ってはどうかと持ちかけた。俺はポーカーの業界に入り、週80時間労働して、20代のとき働かなかった分を穴埋めした。今回のパリ行きは、2006年に入ってから取れた最初の休みだ。素晴らしい休暇だったと思う。

プロとしての成功を考えず、ウェブサイトを立ち上げることと会社での労働は俺に新たな生きる目的を与えてくれた。朝ベットから跳ね起きて夜までキーボードにかじりつくことに意味がある。仕事とプロ意識は、俺にとって永らく欠けていた精神的な安定をもたらした。俺と世界の関わり方が文字通り変わったと感じるようになった。

マジックをやっていたときの俺と、今の俺とは別人だ。まだ物事について深く考える方だが、もう感情的な言動は控えている。物事にあまり批判的ではなくなり、他人を理解しようとする姿勢が身に付いたと思う。この成長によって、現役でプレイしていた頃には見えていなかった物が、今こうして世界選手権でプレイしたときにわかってきた。

2年間でこの世界がどれだけ変わっただろうか。俺は年齢、場慣れと同時に疎外感を感じつつも、羨望と尊敬を受け、そしてたくさんの人から温かく迎えられた。The Hall of Fameのセレモニーは素晴らしい体験で、昔から歩いた道のりと労いの言葉はかつて味わったことのない誇らしさを感じさせてくれる。旧友と再会したとき、苦難の時期にも良いことがあったのを思い出した。もちろん、こういう扱いを受けて嫌な思いをするはずがない。

俺はナポレオンホテルに滞在している。パリの旧市街にあって、この世でもっとも美しい場所の一つだ。晩餐をご馳走になり、今まで見たこともないような素敵な指輪をもらい、この世界に戻るときはいつでもゲスト料を受け取れる。期限は終身だ。かつてはプロツアーに出る資格を得るために四苦八苦していたのに、いまや労せずして権利がある。なんと素晴らしいことだろう!

往事に比べ、今はもっと洗練されている。プレイングのレベルは段違いだ。MOのお陰で、もはや世界選手権で楽に勝てるマッチはない。それだけ練習しているという証だろう。この手の連中は、感覚を掴むためにリアルでマジックをする必要があるが、生の相手とカードを見ても、MOと何らゲームそのものは変わらないと思うだけだろう。ジャッジもきちんと仕事をしている。Jaap Brouwer以下、スタッフは好ましからざる連中の一掃に尽力している。

カードもまた、より素晴らしく、より質の高い物になってきている。セットは複雑で考えさせられるものばかりだ。マジック10周年を迎え、これまでの道程を振り返るとき、殿堂は偉大なプレイヤー(それとやかましいライター(*注:ゲイリー自身?))をいつまでも記憶に残してくれる。日々新しい進歩が繰り返されるが、古い物が決して忘れ去られることはない。かつて俺がやっていたことを今もやっているなら、それはもう時代遅れというやつだ。

この世界に戻るのはちょっとした試練だ。仕事が非常に立て込んでいて、今後52週間に28回の出張があるため、そうそうプロツアーに出てもいられない。だが、これまでよりも顔を出す機会は増えると思う。殿堂入りの手紙一通によって大きく変わった。俺自身の矜持を懸けて言うが、ここに来るまでの道程は俺自身の力で歩んできた。

マジックとプロツアーが今の俺自身を作った。文章の書き方はライティング&ゲーマーズとイベントのカバレッジで学んだ。俺が日々記事にしていたプレイヤーのテクニックや情報は、今でもポーカーで役に立っているし、ビジネスの場でも自信を与えてくれる。マジックから学んだことが、今の俺の全てなんだ。

Wise Wordsの読者諸兄に、これまで応援してくれたことの礼を言いたい。Wise Wordsはいつも俺に生きる目的をくれた。俺の書いた全てが役に立ったとは思わないが、記事が助けになったとか、物の見方を変えたとか言ってくれるたびに、それは俺にとって心温まる励ましになった。また、読者の信頼を裏切らないよう、持て余した力をネガティブな方向に使わないための抑止にもなった。長い人生の一時ではあるけれど、今の俺は幸せで健やかだ。そして、お前たちは、俺にとっての試練の間も支えてくれた。この幸運に恵まれなければ、俺はもう生きていけなかったかもしれない。

俺からの最後の言葉だ。俺の経験から学んでくれ。マジックは偉大なゲームではあるが、本当に楽しむことができるのは、自分の生活とうまくバランスを取れている間だけだ。ゲームと他の大事なことを、両方とも大切にできたなら何もかも上手くいく。もしお前が他の物事に目を向けたなら、このゲームと、それに携わる人達についてより多くを学ぶことができるだろう。では、お身体ご自愛を。そして、どうもありがとう。

Gary Wise

http://www.wizards.com/default.asp?x=mtgcom/daily/gw1
間が空いてすみません。ようやく時間が取れました。
次は戦略論やりますとか書いておいて、
いつのまにか変わってたのは内緒。

アゾリウストロンvsイゼットロン

選手権の後、その辺の奴らに、次は俺が何をどのアーキタイプをネタにして書けばいいか聞いてみた。俺が気になってた、ウルザトロンという答えが返ってきたときにはエクスタシーだったね。選手権のデッキリストを見る限りでも、ウルザトロンは組み方がたくさんある。最も多い色の組み合わせは青白と青赤だ。今回やりたいのは、様々なバージョンのウルザトロンの組み方、そしてできればどれが一番強いかはっきりさせることだ。

世界選手権に向けてトロンのいろいろなバージョンを試しているが、このデッキの懐の広さを語らせてもらおう。アメリカのMtGの未来を担うBen Linquistがいかにこのデッキが素晴らしいか話していた。ぶっ壊れた精神隷属機とメムナークがスタンダード落ちしてから、このデッキは構成パーツの大半をなくしたと考える奴もいる。景河とメロクのいないトロンなんてプレイするのは馬鹿だという奴はもっといる。だが、トロンさえ揃ってしまえば、相手の動きをいなしつつダイナミックな動きができるんだ。

Kyle Sanchezみたいに気の利いた導入が書けなくて残念だ。だが、中身ははるかに充実しているぜ。俺の知っている限り、Kyleはもっとも馬鹿みたいに頭が切れる奴かもしれない・・・Gerard Fabianoの次にな。

まずお目にかけたいのは、呪文の噴出をバイバックで上手く使い回す青白トロンだ。

2006 Champs - 1st Place Robert Beverley III

1 Chronosavant
2 Draining Whelk

4 Azorius Signet
3 Condemn
1 Demonfire
3 Overrule
4 Remand
3 Repeal
2 Spell Burst
4 Spell Snare
3 Tidings
3 Whispers of the Muse
3 Wrath of God

4 Adarkar Wastes
2 Azorius Chancery
4 Hallowed Fountain
2 Steam Vents
4 Urza’s Mine
4 Urza’s Power Plant
4 Urza’s Tower

1 Demonfire
1 Disenchant
2 Faith’s Fetters
2 Rewind
1 Sacred Mesa
2 Teferi, Mage of Zhalfir
2 Trickbind
3 Weathered Wayfarer
1 Wrath of God


今俺たちがどういうトロンを組んでいるのかについて書く代わり(そんなことしようものならチームメイトに殺されちまう)、州選手権で出てきたリストのうち、好みの物を徹底検証する。俺だったらこうする、ここは気に入らないという部分も含めて書いていく。

デッキリストを見て、このリストからどうするのか聞かれた。俺はクリーチャー除去が好きなので、4枚目の神の怒りは外せない。外すのは連絡1枚。ミューズの囁きが入っているので、連絡は2枚もあれば十分だ。また、このデッキが脅迫的な研究を入れていないのもわからない。たしかにトロンを揃えた後なら他のドローカードの方が強いが、緑以外のカードでトロンをサーチするならこちらの方が強い。まああえて脅迫的な研究を使わないとしたら、カードを確実に増やせるやつで良いのだろう。あと、俺なら棄却を1枚外して呪文の噴出に差し替える。クロノサヴァントをデッキに入れる気にはならない。5/5以上をデッキに入れるとしたら、アクローマを1枚。最後に、呪文嵌めを1枚減らして悪魔火を追加する。

次のはJesse Butlerのトロン。ジョージアで7位に入った。

Izzetron Jessie Butler

3 Bogardan Hellkite
2 Triskelavus

3 Annex
4 Compulsive Research
2 Demonfire
4 Izzet Signet
2 Mana Leak
3 Pyroclasm
4 Remand
3 Repeal
2 Simic Signet
2 Tidings
3 Wildfire

3 Island
4 Shivan Reef
4 Steam Vents
4 Urza’s Mine
4 Urza’s Power Plant
4 Urza’s Tower

3 Giant Solifuge
1 Govern the Guildless
2 Jester’s Cap
3 Spell Snare
2 Tormod’s Crypt
4 Volcanic Hammer


俺のもっともオキニなタイプだ。まずはボガーダンのヘルカイトを外して吸収するウェルクに入れ替える。紅蓮地獄は要らない。こいつでは殺したいクリーチャーを殺せないため。サイドボード用カードとして使うことはあるだろうが、どのデッキにも使えるとは思わない。早いデッキ相手なら燎原の火のほうが有効だ。こちらが殴りきられる前にプレイできたなら、相手はそこから復旧できない。なので、3枚の紅蓮地獄を外して空いたスロットは、4枚目の撤廃と、3・4枚目のマナ漏出を入れる。併合はいいカードだ。燎原の火と相性も良く、ミラーマッチに効くカードがメインから入っているのが心強い。サイドボードに4枚目が欲しい。呪文嵌めと取り替えるのがいいだろう。

このデッキで、赤マナソースが足りているのか疑問だ。シミックの印鑑を赤マナが出るやつにするか、島を山に差し替えた方がよいだろう。もっとも、セオリーのうえでは、燎原の火を放った後は印鑑があるため、青マナは赤マナよりも重要になる。トーモッドの墓所は使えるシチュエーションが少なすぎる。ドラゴンストームが相手なら疑念の影が欲しい。道化の帽子と疑念の影の両方を使えれば、相性の悪いマッチアップの改善が見込める。火山の鎚と裂け目の稲妻、どちらがよいかは決められないので、自分たちでプレイテストするときに判断してくれ。

Jonathan Young はユニークなトロンを使って南カリフォルニアを制した。以下がリストだ。

4 Bogardan Hellkite

4 Compulsive Research
3 Demonfire
4 Electrolyze
4 Izzet Signet
4 Mana Leak
4 Remand
4 Repeal
2 Tidings
3 Wildfire

4 Island
4 Shivan Reef
4 Steam Vents
4 Urza’s Mine
4 Urza’s Power Plant
4 Urza’s Tower

3 Muse Vessel
2 Pyroclasm
3 Serrated Arrows
4 Spell Snare
3 Trickbind

このトロンの良い点だが、やることがわかりやすいところだ。トロンを揃え、火力を相手にたたきつけて勝つ。ヘルカイト4枚、悪魔火3枚、電解4枚と入っていれば、相手のライフは速やかに0になるだろう。俺はこのバージョンはこのままでいいと思う。Jonathan、オマエの構築は全て的確だ。デッキはキャントリップで溢れているし、鋸の刃はサルタリーの僧侶やヴェグの聖騎士を除去できる。あえてデッキを変えるなら、山と島を1枚ずつ外して印鑑にするくらいか。呪文の噴出など、時のらせんで入ったカードよりも安定性(だが強くないというわけではない)を求めるなら、これこそがお勧めトロンだ。カードパワーという点で他に後れを取るかもしれないが、トロンを安定して揃えるならイチオシ。

今度は、Evan Buckner、テネシーで4位に入った。

2 Triskelavus

2 Careful Consideration
4 Compulsive Research
1 Demonfire
2 Electrolyze
3 Foriysian Totem
4 Izzet Signet
4 Mana Leak
4 Remand
4 Repeal
1 Spell Burst
3 Spell Snare
3 Wildfire

2 Academy Ruins
1 Gemstone Mine
4 Shivan Reef
4 Steam Vents
1 Urza’s Factory
4 Urza’s Mine
4 Urza’s Power Plant
4 Urza’s Tower

4 Bottle Gnomes
2 Commandeer
2 Confiscate
1 Demonfire
3 Jester’s Cap
3 Pyroclasm


まず突っ込みから入ろうか。ウルザの工廠はデッキのどの土地とも噛み合わない。トロン以外の無色マナを入れたのに、毎ターン8マナ使って2/2では割に合わない。アカデミーの廃墟はトリスケラバスと相性がよいが、廃墟を2枚入れるならトリスケラバスは3枚必要で、逆にトリスケラバスが2枚なら廃墟は1枚で足りる。俺なら一度に呪文の噴出と燎原の火両方は使わない。トロンの勝ち方は2つある。燎原の火で相手の場を薙ぎ払い、こちらは素早く復旧して優位に立つ方法が一つ。場をコントロールして、呪文の噴出をバイバックして相手に何もさせないのがもう一つ。フォライアスのトーテム像は面白い。ファイレクシアのトーテム像の方が赤だったらどんなにヤバいことになっていたろうか。起動に3マナしかかからない!連絡よりも入念な考慮を使っている点はいい。だがトーテム像とは良くないだろう。3ターン目にトーテム像を置くなら、次のターンは連絡のほうがマナの関係上あっている。入念な考慮を使うなら、トーテム像ではなく印鑑のほうがいいだろう。あとは呪文嵌めか撤廃を1枚外して悪魔火を。

ボトルのノームとアカデミーの廃墟は生き残りたい人向けかもな。

Nick Robinsonは緑入りトロンを使い、ケンタッキーの決勝で散った。

2 Bogardan Hellkite
3 Simic Sky Swallower

4 Compulsive Research
2 Confiscate
2 Demonfire
4 Izzet Signet
4 Remand
4 Repeal
4 Rune Snag
3 Simic Signet
1 Spell Burst
2 Tidings
2 Wildfire

2 Breeding Pool
1 Island
4 Shivan Reef
4 Steam Vents
4 Urza’s Mine
4 Urza’s Power Plant
4 Urza’s Tower

4 Annex
1 Confiscate
3 Plagiarize
3 Spell Snare
4 Steamcore Weird

シミックの空呑みは大空の覇者だ。タイマンではアクローマだけがこいつを倒せる。マナ漏出ではなくルーンのほつれを入れているのはいい感じだ。押収か撤廃を1枚外して呪文の噴出を追加する。メタゲームがはっきりしないなら、押収は入れるのに悪くはないカードだ。あとは吸収するウェルクを1枚外して、呪文の噴出をもう1枚。(プロテクション赤を殺せる)蒸気核の奇魔は面白い。盗用だが、使える場面が少ないので俺の好みじゃない。たしかにこれが必要な時に通すことができれば、おそらくは勝てるだろうが、使って勝つよりも手札に腐らせることの方が多いだろう。

Hoomanも同種のシミックの空呑みが入ったトロンで選手権を制した。俺はこのデッキも好きで、コメントはNickと同じだが、シミックの空呑みは4枚も要らない。1枚は吸収するウェルクに交換したほうがいいだろう。大竜巻もコストがかさみ、どんなシチュエーションでも燎原の火のほうが使い勝手がいい。(大竜巻をいれるくらいなら)火山の鎚や応じ返しのほうがまだいいかもな。


2 Bogardan Hellkite

2 Azorius Signet
4 Compulsive Research
2 Demonfire
4 Electrolyze
4 Izzet Signet
4 Mana Leak
2 Mirari
4 Remand
4 Repeal
2 Spell Burst
3 Wildfire

2 Island
1 Mountain
4 Shivan Reef
4 Steam Vents
4 Urza’s Mine
4 Urza’s Power Plant
4 Urza’s Tower

4 Flashfreeze
4 Psychic Possession
4 Pyroclasm
2 Spell Snare
1 Wildfire

このデッキを使ってStevenは7位入賞を果たした。きわめてスタンダードな作りだが、2つテクっぽいカードがある。一つ目がメインのミラーリ。このカードが以下に強いかよくわかる・・・のだが、使って起動できたためしがなかった。脅迫的な研究をコピーできるような状態なら、たいがいはとっくに勝っている。もう一つ目を引くのが精神の占有。青いミラーマッチなら盗用よりも使い物になるだろう。瞬間凍結もよさげだ。喧噪の貧霊やら番狼などに、2マナで対処してくれるなら上出来。

2 Bogardan Hellkite

4 Careful Consideration
2 Confiscate
2 Demonfire
4 Izzet Signet
4 Remand
3 Repeal
4 Rune Snag
2 Simic Signet
2 Spell Burst
4 Think Twice
1 Whispers of the Muse
3 Wildfire

3 Island
4 Shivan Reef
4 Steam Vents
4 Urza’s Mine
4 Urza’s Power Plant
4 Urza’s Tower

3 Annex
3 Giant Solifuge
1 Repeal
2 Serrated Arrows
3 Sulfurous Blast
3 Trickbind

Rayはミネソタで3位。このデッキは実に素直な構成だが、カードドローに関してはずいぶん特殊だ。4枚の熟慮に8枚のカウンター。すると入念な考慮が俄然活きてくる。Rayは構築に関してはいい仕事をした。カードドローはすべてインスタントなため、カウンターを構える時間があり、またカウンターの必要がないなら、入念な考慮をメインでプレイすればいいだけの話だ。正直なところ、もし今が世界選手権直前で、トロンを使うとしたら、インスタントでドローできてカウンターを使いやすい、このバージョンに沿った形にする。サイドボードの硫黄破は恐れ入った。先手なら、Zoo相手の硫黄破は神の怒りと同じだ。番狼、密林の猿人、瘡蓋族のやっかい者をまとめて墓地に送れる。後手ならたまに間に合わないこともあるものの、全体を通して、特に印鑑が置ければ強いカードだ。

4 Court Hussar
3 Triskelavus

4 Azorius Signet
4 Compulsive Research
3 Condemn
3 Faith’s Fetters
2 Izzet Signet
4 Remand
3 Spell Burst
2 Tidings
4 Wrath of God

1 Academy Ruins
4 Adarkar Wastes
1 Azorius Chancery
1 Boros Garrison
4 Hallowed Fountain
1 Island
4 Urza’s Mine
4 Urza’s Power Plant
4 Urza’s Tower

4 Annex
1 Condemn
2 Demonfire
3 Disenchant
1 Faith’s Fetters
2 Mirari
2 Willbender

Brandonは面白そうなトロンを駆って、アイオワで1位を取った。このデッキは普通なら苦手であろう、クリーチャーデッキに強い。唯一の欠点として、コントロール相手でたまに必要なカードを引けないこともある。このデッキは、ガジーの輝き相手ならトロンをさっさと揃えること、コントロールでも相手よりも多くのマナを並べることで勝ち抜いてきた。単純明快でよいプランだ。

Brandonのデッキの場合、2枚目のアカデミーの廃墟が必要だと俺は思う。宮廷の軽騎兵を1枚外して、勝ちカードの悪魔火かアクローマあたりに変える。糾弾や信仰の足枷のような白いカードをサイドに移すことも考えてみよう。基本的に、クリーチャーデッキが多いならアゾリウストロンのほうがよいが、そうでないならイゼットロンを勧める。仮にクリーチャー除去を3枚外して悪魔火に差し替えたとして、クリーチャー相手の勝率がどれほど落ちるかについては、今ここで書けるほどではないが、次回の記事でそのあたりに触れよう。

結論。トロンはとても強いデッキだ。時のらせんから、呪文の噴出、ボガーダンのヘルカイト、トリスケラバス、吸収するウェルク、アカデミーの廃墟などなど、たくさんのカードが入って大幅に強化された。

ではまた。お前さんのトロンが上手く揃いますように・・・

Antonino De Rosa
いつもMTG Yesterdayをご覧いただき、ありがとうございます。

明日から山形に行きますので、次の更新は週明けになります。
グランプリ後しばらくは戦術論を中心でいこうかと。
アドバンテージの概念とか、以前途中で放ってしまったやつから
出来次第載せていくつもりです。

本当はピック順のリストもやってから山形に行きたかった
のですが、時間の都合で間に合いませんでした。
悪しからずご了承のほどを。

それでは、山形で会いましょう!
選手権の影響か、スタンダードの記事ばかりなので、プロツアー予選とグランプリのフォーマットはあまり注目されていない。この辺の需要を満たすべく、リミテッドについていくつか指南させて頂きたい。

もうご存じのこととは思うが、最近行われた神戸でのリミテッドはハイレベルなものだった。私個人、プロツアー神戸に向けた練習はたくさんやってきたつもりだ。プロツアーの1週間前、同じフォーマットのグランプリがアテネであった。その1週間前に現地入りして、ヨーロッパのプロとウィークリーマンションに滞在した。顔ぶれは、Anton Jonsson、 Julien Nuijten、Jelger Wiegersmaに Gabriel Nassif。全員のプロポイントを足すとすごい量だ。そこで1日3〜4度ほど、質の高い練習をこなした。しかしながら、練習したからといって必ず結果が出るわけではない。どちらの大会でも1ドルも得られなかった。

(かなり中略)

二つのトーナメントを振り返って、どうして自分は賞金までいけなかったのだろう?運が悪かっただけか?もちろんそうではない。何もかも不確定要素のせいにはできないし、自分以外を責めてはいけない。ゲームやドラフトで幾度かプレイミスをした。よいプレイングはできたと思うが、最高のプレイングではない。3ターン目に出すクリーチャーや、ドラフト後半での色替えなどなど。これらは普通、プレイングミスとも気づかないほどの小さな事だが、積み重なって勝ち負けを分けるかもしれない。負けたとき(勝ったときでさえも)、運が悪かったとか、相手にトップデッキされたとか泣き言を漏らすべきではない。いずれにしろどうにもできないことなのだから。できることをできるだけやってみて、間違いがないか探してみよう。何故その間違いをしたのか、そしてどうすれば同じミスを繰り返さずに済むか考えよう。ゲームを振り返って積極的に他の選択肢がなかったか探すのも、強くなるためのスタンスとして大事なことだ。自分のミスを認められるプレイヤーは、認めないプレイヤーよりも強くなれる。ミスは誰もがする。良いプレイヤーとは、単にミスが少なく、ミスしたことに気づける(そこから学ぶことのできる)プレイヤーだ。要は、自分自身に批判的であれ。

点数表はあるのか?

自分のトーナメントの経験というか、全般的なアドバイスというか、大言壮語から今回の時のらせんのリミテッドについて言わせてもらおう。答えはイエスでもありノーでもある。たしかに前のセットと同様、時のらせんの全カードについて点数付けリストを作りかけたが、途中で投げ出した。特にこのフォーマットがまだ始まったばかりだということで、困難だったためだ。コモンやアンコモンは一度なりとも使ったことのあるので、おおよそのパワーレベルはわかる。レアはだいぶきつくなるが、まだなんとかなる。しかし、そのうえタイムシフトカードまで加わると、ほとんど見たこともないような201枚と格闘しなければならない。「フランク、古木のヴァーデロスとスパイクの耕し手、どっちが強い?」とか、「コーの先導、果敢な先兵、コロンドールのマンガラどれがいいだろう?」うーん、そんなこと言われても・・・。

それに加え、一瞬の瞬きやヴァティ=イル=ダルのようなマルチカラーの存在も、リストの意味をなくしており、闇の萎縮のような(共鳴者がいるなら強く、いないなら可もなく不可もなくという程度の)カードも素直に評価するのは難しい。つまり、全カードをあますところなくリストアップするというのは非現実的な話だ。そのため、神戸に行く前は、レアと紫カードを除いた、色別のアーキタイプの問題点を挙げるだけにとどまった。特定の色の組み合わせや、テーマやメカニズムのこともあって正解が一つではないこともあるためだ。アーキタイプごとのピック順も載せないことにする。誰かがもうやっているし、必要ならRoel van Heeswijkのリストをリンク先から参照して欲しい。Roelはアテネでの調整仲間の一人で、神戸でも同宿した。このフォーマットについてかなり話し合ってピックリストを作ったが、私も彼の意見におおむね賛成だ。このリストは自分で作ったとも、作ってないとも言うつもりはないが、自分のものの考え方に近い分、リストが(この記事と)通じるところも多いので、このリストは私の太鼓判付きだ。

http://www.manamaze.com/pickorder

ただ、アーキタイプ毎のピック順リストは、どの色の組み合わせでいくか固まっていれば役に立ってくれるが、最初の数手には使えない。この穴を埋めるため、初手レベルのカードをランク付けしたい。その前に、私がどの色の組み合わせが好きで、どの色の組み合わせが嫌いか断っておく。色の好き嫌いはファーストピックの頻度に大きく関わってくるからだ。私の意見では、ベストカラーは青と白。コモンの質・量ともに充実しているため。緑は好きではなく、トップ10に緑のカードは1枚も入っていない。3手目〜4手目なら数は多いが、本当に欲しいと言えるものではない。赤も同様で、稲妻の斧と裂け目の稲妻を除いて、質の良いカードがない。赤は局所的にしか役に立たないうえ、欠点のあるカードが多すぎ、コモンのスロットは灰色オーガばかりだ。黒も弱い。テキストだけ見ると性能がよく、除去の種類も多いが、実際のパフォーマンスは悪い。黒は脆い。
以下に組み合わせを書いていく。自分のやったドラフトで強かった、あるいはいつも0−3だった、などの独断と偏見に基づいて、順位の高い順から低いものへと、自分ならどのようにドラフトするか、若干の説明を加えたい。

1位:白青 ドラフトならこれをやりたい。白絡みならどれでもそうだが、白いアグレッシブなクリーチャーに他の色をタッチする形。象牙の巨人、雲を追うケストレル、正義の凝視、アンコモンでは天界の十字軍を取ったなら、白いクリーチャーと平地を使って損はない。一瞬の瞬きと象牙の巨人のシナジーは反則で、それだけに白青が1位。アグレッシブな白いクリーチャーを集め、2マナ域を並べて補強をうってとどめを刺すタイプが好みだが、城の猛禽と青いフライヤーを取った場合は、青白の定番である、監視スリヴァーで地上を固め、飛行で殴るという形を取ることもできる。いずれにしても、白青は期待を裏切らない。

2位:青赤 次はこのアーキタイプ。このデッキは待機とストームでできている。ケルドの矛槍兵の待機が終わったターンに石炭焚き、ぶどう弾と続けられる。過小評価されている地の底のシャンブラーが、白いクリーチャーを滅殺できるところも見逃せない。コントロール風のデッキになるため、カードの引ける水深の予見者は終盤でも強く、まさに値千金。早めにピックしておこう。

3位:白緑 ご推察の通り、軽くて白いクリーチャーで殴るのが好きなんだ。狩りの興奮や数の力はこのアーキタイプでコモンのトップ5に入るほどで、緑を散らす理由の一つ。緑のクリーチャーは要らない。パンプスペルのみで十分。普通クリーチャーを19体ほど入れるため、版図の踏みつけはこのアーキタイプの大事なパーツだ。もちろんデッキのマナカーブの調節も大事。

4位:白赤 同じく、白いクリーチャー主体で。炎の刃のアスカーリとか、流動石の媒介者とかその他どうでもいいのはいらない。これもアグレッシブな白に、赤の火力を足して作る。死せざる怒りやボガーダンの憤怒獣は、驚くほどこのアーキタイプと相性がよい。

5位:青黒 マッドネスでカードアドバンテージを得るタイプ。コー追われの物あさりで闇の萎縮を捨てられたら最高だ。このデッキはシナジーに溢れており、終盤が強いが、序盤はつらいものがある。軽めのクリーチャーと除去を押さえておくように心がけよう。

6位:緑赤黒 これは私にとって(単なる緑赤、緑黒とは)別個のアーキタイプだ。緑赤、ないし緑黒に、除去のため3色目を入れている。緑のおかげで、絞殺の煤が簡単に運用できる。赤のクリーチャーが弱いため、構成が緑黒タッチ赤になりやすい。私はこのアーキタイプならマナ加速をしてヘイブンウッドのワームのような大きなクリーチャーを出す、コントロールタイプになるようにドラフトする。

7位:青緑 当初このタイプは除去がないためプレイできないと思っていたが、実際はきちんと回ってくれる。早い緑のクリーチャーと、応じ返しに時間の渦でテンポに均衡を置いた戦略をとる。そうそう、本当に破壊したいクリーチャーがいるとき、タフネス3までなら歪んだ爪の変成者と戸惑いの2枚で殺すことができる。

8位:赤黒 私には使えない。どのブースターも開封して数手は良質な除去が取れるが、クリーチャーは使えるのがほとんどいないためだ。クリーチャー基盤の過半数は、欲しくもない灰色オーガと変わらない。エコー付きクリーチャー(地の底のシャンブラー、炎核の精霊、とくに地盤の悪鬼)は、テンポがあまり重要にならず、とにかく早くて大きなクリーチャーが欲しいこの色によく合っている。それでも、私なら絞殺の煤をドラフトしたくらいで赤黒に行こうとは思わない。緑赤黒のほうがお勧めだ。

9位緑赤 もうここまでくると嫌いなアーキタイプなのだが、嵐の束縛を見つけたりして、どうしてもせざるを得ないこともある。この組み合わせでは、巣穴からの総出と、獣群のナールや数の力を上手く使える、アグレッシブな構成にしたい。

10位:緑黒 これにはサリッドも含まれる。精神攪乱・消えない賛歌を4ターン目に打ち込むことができるし、緑探しは(3色目も含めて)マナ調節と共鳴者を兼ねる重要パーツだ。しかし、このセット最弱2色の組み合わせは好きになれない。緑をやる場合、巨大化系だけ取って白緑にするか、マナ加速を取って爆弾カードを速やかにプレイできる緑赤黒に行く。緑黒はナンセンスな組み合わせだというのが私の意見だ。テンポもなければカードアドバンテージもない、ただの紙束。

11位:白黒 じゃあ、なぜこれが最下位なのか?私が白好きで、白に特化した(象牙の巨人、天界の十字軍、コストがダブルシンボルのクリーチャー)デッキをプレイしたいからだ。黒をやらなくてはならない場合、ほとんどの黒のカードが、ダブルコスト(闇の萎縮、ゴルゴンの世捨て)か、1ターン目に沼を置いて待機させる必要がある(腐乱死体、精神攪乱)かのどちらか。堕落の触手は色をタッチさせた程度では使えず、ベラドンナの暗殺者や結核を見ても黒を使いたくはならない。(ところで、相手が強い場合に、結核を待機でプレイすると、自分のクリーチャーを除去してしまう羽目になりやすい。だから素でプレイした方が身のためだ)白と黒、同時にきついコスト支払いを突きつけられて、毎度ランド事故で負ける。この2色は相容れない。

スリヴァー?やらないほうがいい。これも私には使えなかった。スリヴァー軍団で殴り、相手に断骨スリヴァーをまず除去され、戦闘フェイズが終わって全滅。宝革スリヴァーや紡績スリヴァーなど、単体として役に立つスリヴァーを入れるのは悪くない。青白にして監視スリヴァーと心霊スリヴァーを組み合わせたり、管草スリヴァーがあるため霊炎スリヴァーを入れたりしても構わない。だが、増力スリヴァーを初手取りし、デッキ全体を双頭スリヴァーのようなつまらないクリーチャーで埋めるような真似はしてほしくない。このタイプは何度も試したが、一度も勝てなかった。

じゃあ・・・そろそろピック順のリスト出してくれない?

はいはい、わかったわかった。繰り返すが、Roelのリストはどの色の組み合わせでいくか決まっているなら実に頼りになる。だがレアと紫のカードは入っていないし、初手(と2・3手目)でどれを取ればよいかという手がかりにはならない。まずわかりやすく、ドラフトでピックする、コモンとアンコモンのベスト20からいく。

1. Firemaw Kavu
2. Sulfurous Blast
3. Griffin Guide
4. Lightning Axe
5. Riftwing Cloudskate
6. Errant Ephemeron
7. Looter il-Kor
8. Temporal Isolation
9. Sporesower Thallid
10. Knight of the Holy Nimbus
11. Tromp the Domains
12. Rift Bolt
13. Careful Consideration
14. Strangling Soot
15. Sudden Death
16. Amrou Scout
17. Duskrider Peregrine
18. Nightshade Assassin
19. Clockwork Hydra
20. Fathom Seer

この辺にしておこう。これらのカードが初手・2手目で1枚もないほど弱いパックはないと思う。緑と黒のカードの評価が低めだが、私がこの2色を好まず、できれば避けたいため。誰もドラフトしていないようなら話は別だが、私は普通、白いカードと、それより若干良い黒いカードがある場合、白いカードをピックする。経験上、長期的にはそちらのほうがよいためだ。そのためリストにはこうした好みが反映されている。

だいぶ評価にバイアスがかかっているが、ピックの上での参考になると思う。ではレアと紫に入ろう。アーティファクトは高めに、マルチカラーは低めに評価している。できる限り、ファーストピックで色を確定させたくはないというのが理由だ。

1. Disintegrate
2. Stormbind
3. Sacred Mesa
4. Sengir Nosferatu
5. Vesuvan Shapeshifter
6. Spectral Force
7. Call of the Herd
8. Pardic Dragon
9. Teferi, Mage of Zhalfir
10. Jaya Ballard, Task Mage
11. Triskeleavus
12. Stonebrow, Krosan Hero
13. Draining Whelk
14. Sudden Spoiling
15. Bogardan Hellkite
16. Akroma, Angel of Wrath
17. Stronghold Overseer
18. Dragon Whelp
19. Magus of the Scroll
20. Serrated Arrows
21. Plague Sliver
22. Desolation Giant
23. Mindless Automaton
24. Ith, High Arcanist
25. Serra Avenger
26. Verdant Embrace
27. Kaervek the Merciless
28. Sedge Sliver
29. Shadowmage Infiltrator
30. Void
31. Word of Seizing
32. Pentarch Paladin
33. Wurmcalling
34. Thornscape Battlemage
35. Sudden Shock
36. Ixidron
37. Stonewood Invocation
38. Soul Collector
39. Twisted Abomination
40. Faceless Butcher
41. Endrek Sahr, Master Breeder
42. Squall Line
43. Ancestral Vision
44. Fiery Temper
45. Psionic Blast
46. Spike Tiller
47. Avatar of Woe
48. Assault/Battery
49. Candles of Leng
50. Willbender
51. Tribal Flames
52. Thelonite Hermit
53. Verdeloth the Ancient
54. Magus of the Disk
55. Stuffy Doll
56. Weatherseed Totem
57. Evangelize

さて、こんなものだろうか。これがこのセットのトップカードだ。

リミテッド全般のアドバイスをいくつか。まず言えるのは、いつも以上にパックが強い。デッキを組むのに、23枚(マナソースとして土地17枚+虹色のレンズなど)使えるカードが必要だが、これを満たすのは難しくない。つまり、ドラフト後半に入ってからの色替えも十分やれる。たとえば、初手で入念な考慮を流してグリフィンの導きを取ったとしよう。そして強い白のカードをピックし続ける。次に手を出したのは赤のカード。白を3枚(3枚ともトップクラス)、赤を5枚(石炭焚きのような、デッキに入れてもよい程度のカード) ピックしたところで9手目に入り、初手で流した、入念な考慮が残っているのに気がついた。 これを取れば、次に流れてきた一瞬の瞬きあたりが掴めるかもしれない。それまでのリミテッドでは、白青にいくならよくよく考え直す必要があった。もしやってしまうと、5枚の使えるカードをふいにしてしまい、結局使えるカードが足りなくなる恐れがある。白赤のままでいき、9枚目の使えるカードを取るほうが安全策だった。しかし、時のらせんでは話は別だ。パックが平均的に強いため、十分なカードの枚数を確保できるか心配する必要がない。デッキをいかにして最強のカードで満たすかが至上命題だ。23枚目のカードは十分に手に入る。それゆえ白青に移行するのが賢く、そうすればそれに見合った成果が挙げられるだろう。

シールドの話をすると、ピック順のリストの大部分は関係ない。コー追われの物あさりか幻影のカゲロウ獣のどちらを取るか悩む必要はなく、青を使うならまとめて入れてしまえばいいだけの話だ。大事なアドバイスとして、パックの質が従来より強いことにもう一度注目してもらおう。パックを開封し、ある色に12枚使えるカードがあり、別な色に11枚あるなら、その2色で決定し、3色目はタッチしないのがお勧めだ。多くの場合、私はカードパワーより安定性をとるほうで、広漠なる変幻地や虹色のレンズ、明日への探索などがない場合は特にそうする。事故のほとんどない2色は私の好みだ。裂け目の稲妻と突然のショック、山を3枚散らすのも悪い考えではないが、事故でゲームを落とす可能性が確実に増すのは覚悟してほしい。もちろん、色のサーチがある程度そろっているデッキなら色を足すのは上策だ。だが、もうラヴニカブロックではないことは忘れないように。もう一つ大事なことは、メインとなる2色の色拘束がどの程度あるかだ。きつい場合、タッチするとマナベースに負担がかかり、デッキの質ががた落ちしてしまう。あまり声高に言えることでもないのだが、時に見逃してしまうこともあるので要注意だ。例えば、青白のシールドデッキで、アヴナントの癒し手やらトゲ尾の仔ドレイクやら、白も青もダブルシンボルばかりだとしよう。そういう場合は裂け目の稲妻と突然のショックはできる限り入れてはいけない。平地9、島8を平地7、島7、山3に変えてしまうと、3ターン目に3マナクリーチャーを出すのが一気に難しくなり、それだけ勝率も落ちる。そうなるくらいなら、マナベースを傷つけずに済むヴェンセールのスリヴァーのようなカードを入れて、お茶を濁す。

では、今回はここまで。最後になるが、私はこのフォーマットがとても好きだ。レアと紫がたくさんあり、戦略の幅が広く、ドラフトもゲームも二つとして同じものがない。日々新しいシナジーを学べるし、それだけこのフォーマットの面白さが続くということでもある。

読んでくれてありがとう、ではまた次回。
-Frank Karsten

http://magic.tcgplayer.com/db/article.asp?ID=7192
(タイトルに関係ない前半部分は省略)

(グランプリ2日目の)ドラフトの感触としては、緑と黒は強くなく、特に緑はアグレッシブな白と組み合わせてようやく何とか使えるかもという程度だった。青白は強いが、この環境のベストな2色を求めるというのは過ぎた望みではないだろうか。強いは強いが、パックが1周するうちにつまみ食いされ、何も残らなくなるのが常だ。赤白もまたよさそうだが、赤で使いたいカードは多くない。除去はもちろんだが、それ以外に何がある?

プロツアー神戸で、初日に6−0したプレイヤーのデッキを見ることで、このフォーマットを分析する際の資料にしたい。6人のプレイヤーに、それぞれ2つのデッキがあるので、合計12のサンプルがある。6名のそれぞれ違ったドラフトを見て、何を・そして何故そうしたのかわかることができればいいし、このやり方でうまくいくはずと考え、真似をしてみることで何か掴めるかもしれない。これが12のデッキの概略になる。

(注:http://www.wizards.com/default.asp?x=mtgevent/ptkob06/60decksにリスト)

Amiel Tenenbaum 
第一ドラフト
色:緑タッチ白赤
特徴:スリヴァー(10体)
土地:18枚

クリーチャーのマナカーブ
( )は待機コスト
1マナ: 0 (2)
2マナ: 4 (5)
3マナ: 2
4マナ: 2
5マナ: 4
6マナ以上: 6

第二ドラフト
色:赤黒
特徴:除去デッキ
土地:17枚+ファイレクシアのトーテム像

クリーチャーのマナカーブ
1マナ: 1 (3)
2マナ: 2
3マナ: 4
4マナ: 2
5マナ: 1
6マナ以上: 3

Chris Ripple
第一ドラフト
特徴:スリヴァー(8体)
色:赤白
土地:17+フォライアスのトーテム像

クリーチャーのマナカーブ
1マナ: 1
2マナ: 2
3マナ: 3
4マナ: 5
5マナ: 4
6マナ以上: 2

第二ドラフト
色:白赤
特徴:ブロック回避(9体)

土地:17枚
1マナ: 0 (1)
2マナ: 3
3マナ: 6
4マナ: 2
5マナ: 5
6マナ以上: 1

Andre Coimbra
第一ドラフト
色:緑黒タッチ赤
特徴:サリッド(7枚)
土地:15+虹色のレンズ、明日への探索
    ウェザーシードとファイレクシアのトーテム像

クリーチャーのマナカーブ
1マナ: 0
2マナ: 5
3マナ: 6 (獣群の呼び声を含む)
4マナ: 2 (3)(同フラッシュバック)
5マナ: 2
6マナ以上: 2

第二ドラフト
色:緑黒タッチ赤
特徴:ちょっとサリッド(4枚)
土地:17+明日への探索、緑探し2枚、ヤヴィマヤのドライアド

クリーチャーのマナカーブ
1マナ: 2
2マナ: 3
3マナ: 4 (6)
4マナ: 2
5マナ: 4
6マナ以上: 2

Mark Herberholz
第一ドラフト
色:白青
特徴:ブロック回避(7体)
土地:17

クリーチャーのマナカーブ
1マナ: 0 (3)
2マナ: 6 (8)
3マナ: 2 (6)
4マナ: 2
5マナ: 2
6マナ以上: 5

第二ドラフト
色:白赤タッチ緑
特徴:なし
土地:17+彩色の星

クリーチャーのマナカーブ
1マナ: 0
2マナ: 5
3マナ: 6
4マナ: 3
5マナ: 0
6マナ以上: 0

Nigel Higdon
第一ドラフト
色:白黒
土地:17+雷のトーテム像

クリーチャーのマナカーブ
1マナ: 0 (1)
2マナ: 4
3マナ: 2
4マナ: 4
5マナ: 2
6マナ以上: 2

第二ドラフト
色:青緑タッチ白
特徴:スリヴァー(12体)
土地:18枚+宝革スリヴァー2枚

クリーチャーのマナカーブ
1マナ: 0
2マナ: 4
3マナ: 2
4マナ: 7
5マナ: 2
6マナ以上: 1

斉藤友晴 
第一ドラフト
色:緑赤タッチ黒
特徴:なし
土地:15+ウェザーシードのトーテム像、明日への探索3枚、
   よじれた嫌悪者

クリーチャーのマナカーブ
1マナ: 0 (3)
2マナ: 5
3マナ: 3
4マナ: 4 (7)
5マナ: 3
6マナ以上: 4

第二ドラフト
色:黒単(絞殺の煤のためだけに赤を散らす)
特徴:マッドネス(共鳴者5枚、マッドネス5枚)
土地:17+よじれた嫌悪者

クリーチャーのマナカーブ
1マナ: 0 (1)
2マナ: 3
3マナ: 6
4マナ: 0
5マナ: 3
6マナ以上: 3

彼はトップ8に進出しているので、そちらも。

斉藤友晴
決勝ドラフト
色:黒単
特徴:なし
土地:17+ファイレクシアのトーテム像

クリーチャーのマナカーブ
1マナ: 0 (2)
2マナ: 2
3マナ: 4
4マナ: 5
5マナ: 0
6マナ以上: 4

色の組み合わせは以下の通り。

黒単:2回
緑赤:1回
緑黒タッチ赤:2回
青緑タッチ白:1回
黒白:1回
赤白:2回
赤白タッチ緑:1回
青白:1回
黒赤:1回
緑タッチ白赤:1回

見ないアーキタイプもある。GPアテネで取りあいになった青赤はいないし、白主体の白緑(緑で白のサポートをするのは強いが、その逆は上手くいかない)もなく、青黒だが、黒以外の方が青をもっと活かせたと思われる。12+1の全勝デッキの中で、出てこなかった3つについての見解は以下の通りだ。人気の高い青赤は、競合の結果一つ一つのデッキが弱くなった。青黒は、逆にハイレベルなプレイヤーがプレイしようと考えるほどの魅力はなかった。緑白についてはスリヴァーのような構築になるが、アグレッシブな白デッキの存在は念頭におこう。

マナコストを見ると、予想よりもコストが高めに偏っているのが興味深い。4マナ以下を主体として、最初の数ターン、少なくともスペルを待機できるデッキが結果を残している。これが意味するところは、「軽いマナ域から攻めることだけが全てではなく、6マナ以上の重いコストのスペルでもプレイできる」という事実。大きなクリーチャーは場への影響もそれだけ大きい。その前に行われたGPシドニーよりも、神戸の方がこの傾向は強い。12のデッキを合計したマナカーブの割合を出すと以下の通りになった。

1マナ: 4 (2.1%)
2マナ: 46 (24.1%)
3マナ: 46 (24.1%)
4マナ: 34 (17.8%)
5マナ: 32 (16.7%)
6マナ以上: 29 (15.2%)

3マナの変異と、待機コストのあるクリーチャーも、統計上煩雑になるため通常のコストで計算させてもらった。水深の予見者のように、2マナだか3マナだかわからないものも含めて・・・。珊瑚のペテン師が、本当は2マナでプレイできるって知っていたかい?表を見ると、デッキの約50%が3ターン以内にプレイできることになり、変異や待機も入れればその割合は確実に上がるだろう。6マナ以上のベイロスやカゲロウ獣や、普通3マナでは出せない変異クリーチャーも。だが、シドニーのシールドデッキであったような、「待機も含めて、デッキのほとんどは4ターン以内にプレイできるようにすべき」という原則よりも、5・6マナ以上もプレイできるデッキの方が結果を残している。

神戸では、エピティアの賢者でドローをごまかす人もいたが、12のデッキに入っている4枚の1マナクリーチャーは、緑探しが3枚に横這スリヴァーが1枚。賢人は決勝ドラフトでも出てきて、デッキには入らなかった。このカードの価値について、デッキの展開を整える重要なパーツか、はたまた鍋敷きかについて喧々諤々やっている人もいる。

話は変わって・・・。

土地の平均枚数:16.83

大部分のデッキは17枚で、多いものは18、少ないものは15。ただし、トーテム像や虹色のレンズのようなマナアーティファクトまで数えると、どれもほぼ同じだ。だから土地の枚数が15枚しかなくても、マナソースは少なくとも18枚ある。平均で約17枚というのは見かけの数字だ。17枚か18枚が標準になる。3マナで土地を1枚出すというのは若干リスクでもあるが、後からクリーチャーとして使うこともできることもできるので、ビートダウンに特化しないなら、土地17枚にトーテム像1枚が「標準」だろう。愚直に出して殴る白いクリーチャーデッキなら17枚。以上。

トップ8を見てみると、結果は以下の通り。

Winner Jan-Moritz Merkel
Finalist Willy Edel
Semifinalist Thomas Diderjean
Semifinalist Bastien Perez
Quarterfinalist 斉藤 友晴
Quarterfinalist 津村 健志
Quarterfinalist 鈴木 貴大
Quarterfinalist Bram Snepvangers

決勝ドラフト

Jan-Moritz Merkel
色:緑青
特徴:変異
土地:17

クリーチャーのマナカーブ
1マナ: 0
2マナ: 8 (10)
3マナ: 3 (9)
4マナ: 3
5マナ: 1
6マナ以上: 6

Willy Edel
色:緑赤タッチ黒
特徴:サリッド(6枚)
土地:17+明日への探索3枚

クリーチャーのマナカーブ
1マナ: 0 (1)
2マナ: 2
3マナ: 5
4マナ: 3 (4)
5マナ: 1
6マナ以上: 2

Thomas Diderjean
色:黒赤
特徴:スリヴァー(4枚)
土地:16+ファイレクシアとフォライアスのトーテム像

クリーチャーのマナカーブ
1マナ: 0 (2)
2マナ: 3
3マナ: 6
4マナ: 3
5マナ: 1
6マナ以上: 5

Bastien Perez
色:緑赤タッチ黒(版図の踏みつけのために平地1枚)
特徴:なし
土地:17枚+明日への探索2枚、ウェザーシードのトーテム像
    宝革スリヴァー2枚

クリーチャーのマナカーブ
1マナ: 0
2マナ: 4
3マナ: 4
4マナ: 4
5マナ: 0
6マナ以上: 3

斉藤 友晴
色:黒単
特徴:なし
土地:17+ファイレクシアのトーテム像

クリーチャーのマナカーブ
1マナ: 0 (2)
2マナ: 2
3マナ: 4
4マナ: 5
5マナ: 0
6マナ以上: 4

津村 健志
色:白青
特徴:ブロック回避(9体)
土地:17

クリーチャーのマナカーブ
1cc: 0 (1)
2cc: 5 (7)
3cc: 7
4cc: 2
5cc: 2
6cc+: 2

鈴木 貴大
色:赤青
特徴:待機(5枚+ジョイラの時虫)
土地:18枚+フォライアスのトーテム像

クリーチャーのマナカーブ
1マナ: 0 (4)
2マナ: 3 (4)
3マナ: 1
4マナ: 4
5マナ: 5
6マナ以上: 3

Bram Snepvangers
色:白赤タッチ青
土地:17+虹色のレンズ

クリーチャーのマナカーブ
1マナ: 0 (2)
2マナ: 6
3マナ: 3 (5)
4マナ: 1
5マナ: 2
6マナ以上: 4

特記しておくと、エピティアの賢者はサイドボードに入ったままで、決勝ドラフトではトークン以外に使い道がなかった。この「愚か者の金」、もとい「愚か者の賢人」は、トップ8と6−0デッキに限っては出番がなかったわけだ。そして統計に話を移すと、8つのデッキで土地は合計136枚で、平均17枚入っていることになるが、土地ではないマナソースは11枚あるので、平均では18枚よりちょっと多い。マナを増やしつつ、かつ無駄にすることなく運用できるトーテム像は好んで使われるらしい。

そして、8つのデッキを合計したマナカーブは以下の通り。

1マナ: 0 (0%); ほか待機12: (9.3%)
2マナ: 33 (25.6%); 待機5 (3.9%) (もちろんパーディック山のドラゴンは含まない)
3マナ: 33 (25.6%); 変異8,待機3 (6.2%)
4マナ: 25 (19.4%); 待機1(0.8%)
5マナ: 9 (7%)
6マナ以上:29 (22.5%)

コストの平均がさらに上がっているが、その半数は待機によるもの。トップ8のデッキはコストは高いが、待機コストでプレイできる。トップ8のデッキのうち、83.8%が待機も含めて4マナ以下だ。これはGPシドニーで見られたことと同じ。効率的な攻勢をとる者が、時のらせんでのリミテッドを制することができる。プロがそれを実証した。

優勝したJan-Moritz Merkelのデッキほどそれを強調するものはない。これはすでにBrian David-Marshall がPT神戸の時に言ったことだが、デッキだけでなく、スタイルから効率的な攻勢を取り、ダメージを最大化して相手にプレッシャーを与え続けるのはそうそう見られない。Merkelのデッキは見かけの強さからほど遠く、除去も乏しい。ボードコントロールというより、テンポを制して勝ったデッキだ。だが、ブロッカーをタップして圧力をかけるデッキのシナジーは、単なるテンポやカードパワーより大事なものがあることに気づかされる。そして勝ったデッキは効率的な攻勢に焦点を当て、それに最も特化することができたものだ。

しかし、まだ時のらせんのリミテッドについて上辺をなぞったとしかいえず、常ならざるやりとりやトリッキーなカードの中に、さらなる深みが隠されているのだろう。次週は、MOでの解禁に合わせて、時のらせんのドラフトについてさらに議論していきたい。ラヴニカ3つの時のセレズニアが強かった、などのように、定石となるようなセオリーを探っていく。

Sean McKeown

http://www.starcitygames.com/php/news/article/13098.html
ただいま。GPシドニーでトップ16に入り、やっと最近戻ってこれた。さて、親愛なる読者諸兄に、このプレミアイベントでの経験を話したくて話したくてたまらない。トップ8に入れなかったのはとても残念だ。というのも、マリガンするべき初手をキープして馬鹿を見たため。「もしマリガンしていれば」と後悔ばかりだ。ドラフトに使うパックをかき集めるべく、プレリリースに出て、白緑で4−0。6パックゲットして2回分確保できたが、人が集まらず1回しかできなかった。その1回でドラフトしたのは可もなく不可もない赤黒デッキ。このフォーマットについて右も左もわからないままGPシドニーに臨むことになったが、もっと大事な、同じフォーマットで行われるPT神戸を見据えた良い練習くらいに考えていた。

木曜にシドニーに着いたとき、時のらせん3つのドラフトをやる2回目の機会に恵まれ、強い青白アグロデッキをドラフトして勝つことができた。そこでもちょっとわかったことがあるが、それでも十分ではない。大会には8人の日本人が参加し、トップ8を総取りできるかもしれない。何とも欲張った話だが、それだけの力がある強いプレイヤーだ。良き友人の、中村修平と小室修に、このフォーマットについてたっぷり教わった。連中は約20回ほど数をこなす一方で、こちらはたった2回。耳を貸さなくて良いはずがない。

明らかに、日本人の中で「緑をドラフトするな」という共通認識があった。カードに恵まれない限り、使ってはいけない。緑のコモンは、他の色のコモンより、とてもじゃないが弱いというのが理由。例によって、島好きの日本人はこの色と緑以外の組み合わせを使いたがる。リスクとリターンの話になるが、卓のほとんど全員が緑をとらず、1〜2人のはぐれ緑好きがいたとしたら、緑が勝つ可能性は大いにある。個人的には、平均で3人が定員ではないかと思うが、僕はこのセットの緑は好きじゃないので、今回は日本人に倣うことにした。

グランプリに話を戻すと、1日目は3バイのおかげで2−2という平凡な成績でも突破できた。もっと良い成績が取れるはずだったと思うが、平地2枚とか3枚で止まって2回負けた事を考えれば上等だろう。以下がデッキリスト。

7 Swamp
1 Molten Slagheap
2 Mountain
8 Plains

1 Firemaw Kavu
1 Grapeshot
1 Pit Keeper
1 Nightshade Assasin
1 Magus of the Mirror
1 Sengir Nosferatu
1 Tendrils of Corruption
1 Skulking Knight
1 Trespasser il-Vec
1 Corpulent Corpse
2 Strangling Soot
1 Duskrider Peregrine
1 Cavalry Master
1 Knight of the Holy Nimbus
1 Moorish Cavalry
1 Plated Pegasus
1 Amrou Scout
1 Soltari Priest
1 Icatian Crier
1 Flickering Spirit
1 Amrou Seekers

シールドの原則

・マナソースは18枚入れろ

このフォーマットはいつもより多くのマナソースがいる。エコーや、(後から引いてきた)重い待機カードを素出しするため、そしてスペルシェイパーのコストとして余った土地を使える。トーテムかレンズがあるなら土地は17枚。どちらもあるならやはり17枚。どちらもないなら18枚入れる。個人的には土地はもっと入れてもいい。土地が多くて困ることはない。土地事故で負ける可能性は少ない。確かに後半余分な土地を引いてしまう確率が高くなるが、このゲームは3枚目・4枚目の土地を置けないと負け確定だ。

ありがたいことに、このフォーマットほどプレイヤーにたくさん土地を入れることをお勧めしているリミテッドはない。平均の17枚を超えて土地を入れる理由などいくらでもある。前述のエコーはマナコストを2回払いを要求するが、ゲーム中盤に土地を出せるなら、エコーを支払いつつ動くことができる。たとえば炎核の精霊を5ターン目にプレイした場合、6枚目の土地が出れば、それだけ6ターン目にスペルがプレイしやすくなる。待機カードは序盤に出せればよいが、ゲームが進むにつれて高コストが負担になる。プレイできるマナがないなら死にカードだ。デッキの中にエコーや待機がなくても、スペルシェイパーの能力起動に使えばよいだけの話だ。

・もっとも強い色と、もっとも除去/爆弾カードのある色を

シールドとドラフトは全く別物だ。プレイするデッキは自分ではなくカードが決める。ときにプレイヤーは色の選択を間違い、1ゲーム目に負けた後で2ゲーム目から色替えをする羽目に陥るのだが、正直な話、いつも僕はこれをやらかす。普通、僕はこういう感じでシールドデッキを組む。まず使えるカード、使えないカードに分ける。それが終わったら、可能な限り早くにもっとも使えない色を切る。色を早くに絞れれば、それだけ多くの時間を効率的なデッキを組むための構築に割ける。もう3分ほどかけて、さらに1色を切る。これで3色が残ることになるが、運が良ければ願ってやまない赤黒の除去デッキが使えるけれど、普通3色目を切るのは大きなジレンマが残るだろう。

3色をそれぞれ組み合わせてみて、どれがもっとも強いか、そしてなぜ・どのように勝てるかを考えよう。たとえば白のフライヤーと赤の除去を組み合わせて勝つ、赤と黒の除去が最も多いため相手の爆弾カードに対処しやすい、などなど。全てはカードプール次第だ。たまに使えるカードが足りなくて苦しむことがある。たとえば、1色目は除去と爆弾カードのある赤に決まるが、2色目を白か黒かで悩んでいるとしよう。黒は2・3枚ほど強いカードがあるが、デッキにするのに使えそうなカードが数枚足りない。黒を選ぶなら、デッキの穴をつまらないカードで埋めなければならず精神衛生上よろしくない。一方、白は使える数は揃っているが、白のベストカードは黒に劣る。この場合なら、安定したカード基盤のある方がいい結果を残しやすい。

・このフォーマットでは先攻を

早く場に出さなければならない待機とエコーはとても重要だ。側面攻撃は言うまでもない。このフォーマットは君が考えているほど遅くはない。飛行、シャドー、畏怖と回避手段も盛りだくさんだ。たしかにこのフォーマットの除去は豊富だが、主導権を握りやすい先攻の方が場をコントロールしやすい。唯一の例外として、除去が8枚以上デッキに入っていること、2マナのスペルの数がかなりあるなら後攻を選ぶのも手だ。

第1ドラフト

2日目のドラフトは第5ポッド。5−2という平凡な成績のためだが、プレイヤーのレベルは第1ポッドよりも低い。ファーストピックは祖先の幻視で、選択に後悔はない。2手目は結核。幻視をできるだけ活用する目的で、待機の時間を稼ぐ除去満載のデッキをドラフトした。以下がデッキリストで、結果は3−0だ。

1 Tendrils of Corruption
2 Temporal Eddy
2 Dark Withering
2 Phthisis
3 Feebleness
1 Careful Consideration
1 Ancestral Vision

1 Slipstream Serpent
1 Coral Trickster
1 Errant Ephemeron
1 Gorgon Recluse
1 Dauthi Slayer
1 Mana Skimmer
1 Nightshade Assassin
1 Vesuvan Shapeshifter
1 Looter il-Kor
1 Pirate Ship

2 Urza’s Factory
9 Swamp
7 Island

クリーチャーは10枚しかなく、ウルザの工廠にかなり頼った構成になっている。2枚目は積極的にとったわけではない。このカードが自分のデッキにとって致命傷になるということ、2枚目を入れてもマナベースがおかしくはならないと思ったので、むしろヘイトピックという感じだった。だがデッキを組むとき、勝ち手段が薄く、2/2の量産がこのデッキに非常にかみ合うため、とにかく2枚入れることにした。こいつは除去満載デッキなら実に強い。本当だ!

第2ドラフト

第2ドラフトでは、前のが上手くいったこともあり青をドラフトするつもりでいたが、初手パックで荒廃の巨人に出会ってしまった。(流すなんて我慢できずに)方向転換したが、同じパックにあったセンギアの吸血魔を流さざるを得なかった。またもやドラフトする色がさっさと決まり、できあがったのはさっきとまったく違うデッキだ。これがリスト。

1 Grapeshot
1 Rift Bolt
1 Orcish Cannonade
2 Temporal Isolation
1 Evangelize
1 Word of Seizing
1 Griffin Guide
1 Opal Guardian

1 Outrider en-Kor
2 Benalish Cavalry
1 Cloudchaser Kestrel
2 Flickering Spirit
1 Suq’ Ata Lancer
1 Goblin Skycutter
2 Blazing Blade Askari
2 Keldon Halberdier
1 Desolation Giant

1 Thunder Totem
9 Plains
8 Mountain

側面攻撃が6枚、残りのクリーチャーは先制攻撃や飛行持ち。ほとんどブロックされないし、されたところで除去すればいい。実に良いデッキなので3−0できると考えていたが、最初のラウンドで2ゲームとも土地を十分に引けずに負けた。このデッキでは2−1で、2日目は5−1で終わった。

見てわかるとおり、ドラフトしたデッキは両方とも流れに沿ったものだ。青黒のコントロールはたくさんの除去とわずかな勝ち手段で、赤白は極度にアグレッシブなクリーチャーでごり押しし、若干の除去でサポートする。緑はドラフトしたことがないのでわからないため、テストはこれを読んでる君に任せる。それでは、この文章が助けにならんことを!

Terry Soh

http://magic.tcgplayer.com/db/article.asp?id=7158
過去を振り返っても、青緑という色の組み合わせのデッキは昔のスタンダードにも色々あった。リス対立は、強力なこの色の組み合わせで成功した例として筆頭に来る。野生の雑種犬とマッドネスパーツは、青緑をスタンダードの中心に再興させたデッキだろう。貿易風−覚醒デッキや、Liquid Tempo に Critical Massはここまでうまくいかなかったが、これは同時期にもっと強力なデッキがあったためだ。 そして、今年の夏にあったオランダ選手権は、上位を青緑の様々なバージョン(Sea Stompy、エラヨウ忍者)が総ナメした。今年の選手権に向けた調整のため、現在ある青緑を試した後、自分のバージョンを組む。

俺が思うに、出発点としてベストなのが、3週間前にフランクが書いたポスト−タイムスパイラルのデッキだろう。

Dutch UG Frank Karsten

4 Birds of Paradise
4 Llanowar Elves
4 Looter il-Kor
4 Ohran Viper
4 Plaxmanta

4 Call of the Herd
4 Mana Leak
4 Moldervine Cloak
4 Psionic Blast
4 Remand

4 Breeding Pool
8 Forest
3 Island
1 Pendelhaven
4 Yavimaya Coast

2 Dodecapod
3 Mystic Snake
2 Spectral Force
3 Spell Snare
2 Tormod’s Crypt
3 Trygon Predator

Sea Stompy Frank Karsten

4 Avalanche Riders
4 Birds of Paradise
4 Kird Ape
4 Llanowar Elves
4 Ohran Viper
2 Rumbling Slum

4 Assault/Battery
4 Call of the Herd
4 Stone Rain
4 Volcanic Hammer

8 Forest
4 Karplusan Forest
4 Mountain
2 Skarrg, the Rage Pits
4 Stomping Ground

2 Blood Moon
4 Cryoclasm
2 Gather Courage
2 Naturalize
1 Rumbling Slum
2 Tin Street Hooligan
2 Tormod’s Crypt

試してみたが、この2つはかなりイイ感じだ。フランク、グッジョブ。両方とも、わかりやすい動き方と十分な勝ち筋がある。ただ難を言うと、これらはありきたりだ。前に同じ事を言ったかもしれない。これらはコストをごまかした動きをしているというわけではないし、デッキが壊れているというわけでもない。何が言いたいか?大きな大会で勝てるデッキのほとんどは、プレイするスペルのコストをごまかしている。R&Dの想定外、あるいは過小評価していた2、3枚のカードのコンボが見つかると、その強いエンジンをもとにしたぶっ壊れたデッキができあがる。ゲームデザイナーは、ときにあるカードを意図的に強く調整することもある。(VS systemならアメリカの象徴のSpiderman、Batman、 Supermanなんかだろう )MtGも同様だ。とあるカードが強いとすれば、その色やアーキタイプをトップにさせたいという開発部の思惑がある。何であれ、そういう誘いに乗ったデッキは強い・・・だがそれらはありきたりだ。以下が俺の組んだ青緑デッキ。

UG Master Antonino DeRosa

4 Birds of Paradise
4 Boreal Druid
3 Heidar, Rimewind Master
4 Mystic Snake
4 Ohran Viper
4 Scryb Ranger
3 Spectral Force
4 Vinelasher Kudzu
4 Wood Elves

4 Call of the Herd

4 Breeding Pool
11 Snow-Covered Forest
7 Snow-Covered Island

4 Mana Leak
4 Remand
1 Spectral Force
2 Trygon Predator
4 Wall of Roots

ランドベース:ヤヴィマヤの沿岸がないが、ハイダー様のために氷雪土地が必要なため。北方行と占術の岩床と入っていた時期があり、 ロノムの口や氷雪土地をサーチしていたが、結局サーチはウッド・エルフだけにした。ウッド・エルフは3ターン目の5マナを強力にプッシュする。北方行でも同じ事はできるが、殴打蔦の葛も入っていること、クリーチャーであることも考慮し、わずかにこちらが上ということで採用。

ボリアルのドルイドと極楽鳥:このデッキにはボリアルのドルイドのほうがラノワールのエルフより合っている。2ターン目のオーランのバイパーができる確率が下がるが、ただのエルフと違ってハイダー様の氷雪パーマネントのカウントに含まれる。極楽鳥は1マナ最強のクリーチャーで、基本セットから版落ちしてもラヴニカで再録されてうれしい一枚。極楽鳥なしでは過去のデッキの大半は日の目を見ることはなかっただろう。

スクリブのレインジャー:見かけは強くは見えないが、このカードとコンボするパーツは多い。ハイダー様や幽体の力がわかりやすいだろう。あと特筆すべきは殴打蔦の葛。プロツアーからの帰り道、サンフランシスコの仲間が教えてくれ、試してみてイイ感触だった。プロテクション(青)と瞬速も結構役に立ってくれる。

オーランのバイパー:2ターン目にこいつがでて仕事をするのは実に効率的なデッキの動きで、ボリアルのドルイドと極楽鳥のお陰でそうなる可能性は高い。マナ漏出や差し戻しの入ったデッキには2ターン目に出し、好き放題ドローできる確率が低くなる分よろしくないが、全体的にはビートダウンにもコントロールにも強力なのでデッキに入れる価値がある。マナ漏出や差し戻しのある相手にサイドボード用カードとして使うのも面白い。そうそう、こいつも氷雪パーマネント。

殴打蔦の葛:こいつは単体でもすでに十分。極楽鳥やボリアルのドルイドとつるむとなお強い。2ターン目に3/3で、ターン毎にまだまだ大きくなる。スクリブのレインジャーの能力で毎ターン成長できるのも強い。ウッド・エルフも成長に一枚かんでくれる。幽体の力とタッグで殴り、相手のライフを20から0に速やかに減らしてくれる。

幽体の魔力:素でこのくらいデカいやつをみたことがあるか?相手をKOするために何回殴ればよいか考えてみたことはあるか?スクリブのレインジャーがあればこいつはまさに力そのものだが、なくても殴るによし、守ってよしだ。選手権では闇の腹心と影魔導師の浸透者が多いだろう。きっと見合った働きをしてくれるはずだ。

獣群の呼び声:印刷されて以来、緑の顔ともいうべきカードのひとつ。緑はこのカードが出てくるまで全く誰からも愛されなかった。(野生の雑種犬も一役かってるけどな)コントロールにもビートダウンにも強い。撤廃と差し戻しだけが悩みの種だろう。3ターン目、4ターン目の獣群の呼び声より良いものを知っているか?2ターン目、3ターン目の獣群の呼び声だ!州選手権だろうが世界選手権だろうがこいつはデッキに4枚!

神秘の蛇:こいつがこのデッキでできることは多い。オーランのバイパーや獣群の呼び声の後で登場する。場をハイダー様でロックした後でこいつの出番だ。バウンスして使い回すとじつにイイ。さらにこいつを壊れたものにしようとして、雲石の工芸品や応じ返しも試してみたが、今のところハイダーだけで十分だ。幽体の魔力がアンタップできないとかで守りにも殴りにもできないとき、こいつを出して身を守ったりテンポで後れをとらないようにも使える。

霧氷風の使い手、ハイダー:このデッキの核。こいつだけでも強く、スクリブのレインジャーと合わせるともっと強い。神秘の蛇があればさらに強い。マナ加速と組み合わせてもなお強い。オーランのバイパーでもまだまだ強くなる。つまりこのカードはデッキのほとんど全部と相性バッチリだ。3/3が脆すぎると考える奴もいるだろう。たしかにその通りだ。こいつは脆い。だが巻物の君、あざみを思い出して欲しい。一度でもアンタップフェイズを迎えれば、もうゲームは勝ったも同然だ。

(以下、サイドボード)

マナ漏出/差し戻し:選手権はおそらく変わったクリーチャーデッキばかりだろう。この2枚はメタゲームに対して良くないと俺は思う。だがサイドボード用カードとしては素晴らしい。とくにバイパーがメインに入ったデッキなら最高だ。どのコントロールデッキ相手にもサイドインする。外すのはハイダー様とスクリブのレインジャー。ボリアルのドルイドも1枚外れる。遅いデッキ相手なら序盤に早い展開をしかけ、8枚のカウンターで場を押さえる戦い方になるが、それで十分勝てる。

三角エイの捕食者:選手権のメタゲームでなければ、このカードはフル投入かゼロかのどちらかだろう。しかし選手権なら想像もつかないものに準備しなくてはいけない。誰も何があるかなんて知り得ない。誰もどのデッキが強いかなんてわかるはずもない。ちょっと保険をかけるのは大いに結構だ。マナ加速のお陰で2ターン目に出せるのも推せる点。

根の壁:対クリーチャーならこいつの出番だ。序盤からの猛攻を支えるだけでなく、5マナに加速するのにも貢献する。こいつなら早く、確実にマナ加速ができる。基本的にビートダウン相手の場合、初手にマナ加速がないなら、俺ならマリガンを考える。エルフや鳥は火力で簡単に焼かれてしまうので、根の壁やウッド・エルフのほうが欲しくなるだろう。

幽体の魔力:こいつはすげぇ。とーってもデカい。相手をKOするために何回殴ればよいか考えてみたかとさっき話したろう?相手がクリーチャーデッキでこいつを2体並べられれば勝ち、それも速やかに勝ち。根の壁を入れる相手なら、三角エイの捕食者と幽体の魔力も入れ、ボリアルのドルイド2枚、オーランのバイパー4枚、神秘の蛇1枚を外す。

結論だが、州選手権で何を使うかまだ決まっていない。時のらせんで新しくできたデッキはプレイしないには惜しいくらい強いだろうし、そっちをプレイするのをお勧めする。俺は、もしスタンダードのトロンか俺様特製バランス/ガルガドンデッキを使わないとすれば、今回くらい強いデッキを作って出るつもりだ。では次回まで幽体の魔力で相手をボコって楽しみたまえ!

Antonino De Rosa

http://magic.tcgplayer.com/db/article.asp?id=7169
ドラゴンストームについてだが、こちらは変形サイドボーディングはあるのだろうか?ではできるかどうか見てみよう。これが最新版のメインになる。

Dragonstorm   Frank Karsten

4 Bogardan Hellkite
2 Grozoth
1 Hunted Dragon

4 Compulsive Research
4 Dragonstorm
4 Izzet Signet
4 Lotus Bloom
4 Rite of Flame
4 Seething Song
2 Simic Signet
4 Sleight of Hand

3 Island
4 Shivan Reef
4 Steam Vents
4 Urza’s Mine
4 Urza’s Power Plant
4 Urza’s Tower

このデッキについて、もうすでにあちこちで書かれているので基本的なところは省略する。カウンターを相手にしたときにマナがあることで大きく変わってくるため、ウルザトロンをデッキに使うのが個人的な好みだ。たしかにカウンターはドラゴンの嵐のストーム誘発はカウンターできないが、煮えたぎる歌はカウンターできる。トロンがない場合、2マナ得るはずが(カウンターされて)3マナ失うと、そこからそのターンのうちにドラゴンの嵐につなげるのは難しくなる。だがウルザランドがあればそんな心配は無用だ。大量の無色マナは煮えたぎる歌やドラゴンの嵐のコストに使えばよい。最初は蓄積ランドを使っていたが、結局こちらになった。チューターとして、地獄の教示者のために黒を入れることを考えたが、使い物にならなかった。代わりにドラゴンの嵐をサーチするため、ゴロゾスをデッキに2枚使う。マナ加速は12枚あり、必要なら数は増やせる。だがドラゴンの嵐はデッキに4枚しか入れることができず、各ゲームで1枚は必要。ゴロゾスは3マナでサーチできる、デッキにうってつけのパーツだ。念のために駆り立てられたドラゴンを入れるが、これは1枚でいい。ボガーダンのヘルカイトを引いてしまった場合でも、20ダメージ与えるための保険となる。だがそれ以上は必要ないと思う。駆り立てられたドラゴンを増やすということは、デッキの死にカードと引きたくないカードを増やすことにほかならない。最後に、時間の把握や真実か詐話かを入れなかったことも書いておきたい。この2枚はデッキにとって非効率で不十分だ。入念な考慮はスペースを作って入れてみたい。手練あたりを削ってみるのがいいかもしれない。上のリストで決定稿というわけではない。このデッキの組み方は数多くある。(煮えたぎる歌4枚、ドラゴンの嵐4枚は確定にしても、そこからどうするか?)そしてそれら全てを網羅する余裕はない。とはいえ、このリストは十分に回るし、負けよりはるかに勝ちの方が多い。

とにかく、ここではドラゴンストームが変形サイドボーディングをできるかどうかについて見ていきたい。はじめに考えるべきことだが、変形サイドボードが有効なのだろうか?環境の中で使われて困るカードはあるのか?こたえはイエス。虚空粘でストームの誘発を打ち消される。疑念の影に、赤の防御円、迫害で赤を指定、などなどほかにもあれこれサイドボードがありえるだろう。では、青赤ウルザトロンへの変形はどうだろう?だが問題がひとつある。メインにあるコンボパーツが多すぎることだ。デッキの動きに合いそうなボガーダンのヘルカイトは残すにしても、まだドラゴンの嵐4枚、ゴロゾス2枚、駆り立てられたドラゴン1枚、煮えたぎる歌4枚、炎の儀式4枚、水蓮の花びら4枚がある。合計で19枚で、サイドボード15枚を超えてしまう。そのため完全なサイドボードはうまくいかない。そのため、相手が入れてくるであろう対策カードに対して備えるのをお勧めする。ビートダウンには紅蓮地獄、赤の防御円には撤廃、虚空粘にはザルファーの魔導師、テフェリー、手札破壊には無知の喜び、疑念の影には呪文嵌めを使う。外すのは手練と何枚か水蓮の花びらに、必要ならゴロゾスか駆り立てられたドラゴン。これなら最重要なコンボパーツを外さずに相手の入れてくる対策カードが入る隙間ができる。

あと、選手権でドラゴンストームを使うつもりのある人に、もうひとつだけアドバイスを。サイドボード後を練習しよう。サイド前よりサイド後を。マッチアップの相性は、サイド前よりサイド後のほうが明らかに悪くなる。たしかに対策カードへの対策はしてあるが、ストームの発生数はサイド後のほうが少ない。たとえば、疑念の影対策にザルファーの魔導師、テフェリーを入れ、手練を外したらストームが一つ減る。さらに、どうサイドボードを組めばよいかをたくさん練習しなくてはならない。コントロールデッキには、万の眠りとテフェリーのどちらがよいだろうか?前者を選ぶなら、ウルザランドを調整しなくてはいけない。よいサイドボードはこのデッキの命で、馬鹿にならないアドバンテージをもたらしてくれる。だからドラゴンストームデッキをメインでちょっとまわして勝ったからといって、安直に飛びついてはいけない。サイド後のゲームはまったく別物なのだから。

結論だが、今回見たデッキのうち、永劫の輪廻のほうは面白いコンボではあるものの、メタの中心に来るほどの力は無い。ドラゴンストームのほうがデッキとしては強いだろうが、永劫の輪廻のほうがより面白く、ローグデッキで、私のバージョンが変形サイドをとっていることもあり、こちらのほうに心惹かれるプレイヤーもいてくれることと思う。さて、次のドラフトに備えなければならないので、今回はここでおいとまさせてもらおう。(後略)

読んでくれてありがとう、また次の機会に。
-Frank Karsten

注:この後はGPアテネとPT神戸に向けて練習中であることが書かれていますが、訳出時点で両方ともすでに終わっていること、特にこれといったこともないので省略させていただきます。

続きをやる前に

2006年10月23日
昨日神戸から戻りました。プロツアーの観戦はそっちのけで、
もっぱらサイドイベントでドラフトしてました。結果ですが、
1没を5回繰り返し、6回目でやっと優勝。
通算で3勝5敗。内訳は日本人に全敗、外国人に全勝。
もう何がなんだか。

何でこんな事書くかというと、自称「大阪代表」の方と対戦し、
「負けたら自分のミスを日記に晒す」と約束してしまったわけです。
ええ、約束は果たさなければなりません。というわけで・・・

ピック時:重いカードばかり取りすぎ。
1本目、一瞬の瞬きを相手のクリーチャーに使えると勘違い。
2本目、象牙の巨人を待機させるのを忘れ、結局余分にカードを使ってしまう。
3本目、きちんとシャッフルせず土地事故。

もう一つ。「大阪代表の方にこてんぱんにやられました」

うーん、次こそは。

永劫の輪廻コンボのほうは終わったので、
残るドラゴンストームほうは明日以降。
タイムシフト・カードの再版のお陰で、古いコンボデッキが復活した。合同勝利は論外としても、ドラゴンストームと永劫の輪廻の二つはデッキとして組めるだろう。特に4枚のボガーダンのヘルカイトを持ってくるドラゴンストームは人気があるようだ。コンボの周り方もスムーズで、勝率も悪くない。一方で、昔の永劫の輪廻、ゴブリンの砲撃、羽ばたき飛行機械のコンボはマナもかからず、コンボの邪魔もしずらかった。今のスタンダードなら、永劫の輪廻、野生の朗詠者、ぶどう弾の3枚。永劫の輪廻が場にあるなら、野生の朗詠者を赤か緑のマナにして(輪廻の効果で)手札に返し、1ターンに100回サクリファイスして100点のぶどう弾を叩き込む。今日は強いコンボデッキを組む過程を書いていきたい。細部に至るまでデッキの構築について書いていくため、このデッキを作る人も面白く読んでいただけるだろう。

永劫の輪廻デッキの場合、デッキの核となる永劫の輪廻、野生の朗詠者、ぶどう弾は4枚ずつ。ドローするためにフル投入しておかねばならない。次に必要なのは、私の意見では神の怒り。このフォーマットにもっとも必要なカードで、決して無駄にならない。5つ星で評価するとしたら、星7つあげてもいいくらいだ!見た感じドラゴンストームのほうがよさそうでも、神の怒りのお陰でコンボデッキとしては積極的に動ける。大量のカード・タイムアドバンテージを得られるカードを見過ごす手はない。

そして3色目を入れることを考えなければならない。サーチ手段としては、青のカードドローか、黒のチューター。私は黒がいいと思う。単に数だけ多く引いても必要なものを持ってこれるとは限らないからだ。野生の朗詠者とぶどう弾がすでに手札にある状況で、永劫の輪廻が欲しいとしよう。3枚脅迫的な研究をプレイしたとしても、手にはいる確率は約30%に過ぎない。だが悪魔の教示者なら1枚で確実に手に入る。こっちのほうがいいんじゃないだろうか?だから私は白に赤、それに黒いカードを足す。

黒の使えるチューターは、悪魔の教示者と悪魔の談合、あとディミーア家の護衛。悪魔の教示者がこの中でベストだろう。4マナ、欲しいカードを手に入れられ、ペナルティなし。しかしチューターは多いに越したことはない。最初は悪魔の談合を入れてデッキを回していたが、あまりしっくりきていなかった。5マナは重すぎてデッキの役に立たないし、そのうえバイバックでは使わない。一方、ディミーア家の護衛はパーツのうち永劫の輪廻しかサーチできないが、他の使い方ができる。クリーチャー相手なら神の怒りをサーチして貴重な時間を稼ぐことができる。コントロール相手なら、悪夢の虚空や迫害を持ってくる。カウンターなら相手の手札がなくなるまで悪夢の虚空を発掘し続け、青くないなら迫害で根こそぎ落としてやろう。4マナで種類の違うスペルを入れることでデッキに柔軟性が増し、またそれでチューターの必要性が増す。それなら次の疑問が出てくることと思う。野生の朗詠者やぶどう弾が必要ならどうするか?単に悪魔の教示者で十分だ。確かに遅くはあるが、遅すぎるとまでは言えない。たしかに、ぶどう弾の代わりに伏魔殿をサーチすれば7マナ(変成3マナ、伏魔殿4マナ)で済み、ディミーア家の護衛の変成、悪魔の教示者とぶどう弾なら9マナかかるが、結局のところたいした違いはない。それに伏魔殿は野生の朗詠者より先に出さねばならず、ぶどう弾は朗詠者をループさせた最後にプレイすればいいだけだ。では、これまでに出た必要なパーツを書くと、

4 Enduring Renewal
4 Wild Cantor
4 Grapeshot
4 Wrath of God
4 Diabolic Tutor
4 Dimir House Guard
1 Nightmare Void
1 Persecute

次は何が要るだろうか?デッキに悪魔の教示者、神の怒り、永劫の輪廻、手札破壊など4マナカードが多いため、5〜6枚、あるいはもっと印鑑が必要になるだろう。クリーチャーデッキ相手なら、3ターン目の神の怒りができないとコンボ成立前に殺されてしまう。同様の理由でコンボのパーツは速やかに集める必要があり、3ターン目の悪魔の教示者と、4ターン目の悪魔の教示者で勝敗に差が出てくる。そういうわけで7枚使う。多いと思うかもしれないが、そのくらい必要になる。白黒のダブルコストのカードが主体で、赤は最後に野生の朗詠者とぶどう弾で要るだけなので、マナベースはオルゾフの印鑑が4枚。残りの3枚は、デッキの動きが2ターン目印鑑、3ターン目印鑑とディミーア家の護衛を変成、という流れを想定してラクドスの印鑑にした。

印鑑の数が多いということもあり、土地の枚数は23でいいだろう。(スペル26、土地23、印鑑7なので)残るスロットは4枚ということになる。当初、ここにはコーリスの子が入っていた。永劫の輪廻とコンボになる。アタックして受けるダメージよりライフの方が多ければ毎ターン濃霧できるのと同じだ。マナの大量に出る終盤では毎ターンライフを稼げる。例を示すと、手札にコーリスの子があり、血の墓所3枚、戦場の鍛冶場3枚と永劫の輪廻が場に出ている状況から、まず血の墓所からマナを出してマナバーンする(−3ライフ)。次に戦場の鍛冶場3枚から白マナを3つ出し(−6ライフ)、コーリスの子をプレイ。すぐに生け贄に捧げてライフを回復し(±0ライフ)て、永劫の輪廻の効果でコーリスの子が手札に戻る。そして再びプレイしてライフを回復し(+6ライフ)、もう一度繰り返す(+12ライフ)。土地が多ければ多いほど回復量も多くなる。ところが、実際にプレイしたところ、こういうケースは稀で、多くの場合役に立たない1/1にしか見えない。他の候補を探して、結局酷評に落ち着いた。カウンターや屈辱に対し、情報も得つつ安価な対策ができる。迫害が後に控えているなら、得られる情報は特に貴重だ。ここまでを振り返ると、

4 Enduring Renewal
4 Wild Cantor
4 Grapeshot
4 Wrath of God
4 Diabolic Tutor
4 Dimir House Guard
1 Nightmare Void
1 Persecute
4 Orzhov Signet
3 Rakdos Signet
4 Castigate

さて残るは23枚の土地。前に書いたとおり、マナベースは白と黒が主体になる。神無き神殿4枚、コイロスの洞窟4枚、オルゾフの聖堂が2枚。バウンスランドは3枚ほしいところだ。というのは、コントロール相手なら悪夢の虚空を発掘し続けるためマナが伸びないため、2マナ出るバウンスランドの価値は高い。マナシンボルの数を数えると、白が20、黒が23。そしてサバンナ・ライオンのような、すぐにプレイしなければならないカードもないため、その辺は融通が利きそうだ。だから若干黒を多めにする。次の問題は、デッキに何枚のデュアルランドとペインランドを入れる必要があるかということ。マナベースも大事だが、土地からのダメージで自分の首を絞めることがないように、そこら辺の折り合いもつけなければならない。12枚ペインランドを入れるなら、1マナあたり1点のダメージを受けるということで、12枚デュアルランドを入れるなら、土地をセットするたびに2点のダメージを受けるということになる。私は、このデッキの場合、デュアルランド8枚・ペインランド8枚が理想的なバランスだと考えている。使うのは血の墓所2枚、聖なる鋳造所2枚、戦場の鍛冶場3枚、硫黄泉1枚。これで土地と印鑑を合わせて赤13枚、白20枚、黒22枚のマナソースが確保できた。バランスは完璧だ。

残る土地だが、宝石の洞窟が2枚、ヴェズーヴァが2枚。前者は後攻の時にテンポで後れを取らないために重要だが、伝説の土地ということもあり、何枚も欲しくはない。後者は主に神無き神殿やオルゾフの聖堂をコピーし、ダメージなしで白黒のマナソースの供給に貢献してくれる。このデッキは白黒のダブルシンボルがやたらたくさん詰まっているので、ペインランドからダメージを受け続けるのは耐えられない。最初はヴェズーヴァではなく宝石鉱山だったが、そこまで色マナを確保しなければならないほど切羽詰まっているわけではなく、3回使うと墓地に落ちるデメリットはこのデッキにとって痛い。そして60枚のメインデッキができあがった。

4 Enduring Renewal
4 Wild Cantor
4 Grapeshot
4 Wrath of God
4 Diabolic Tutor
4 Dimir House Guard
1 Nightmare Void
1 Persecute
4 Orzhov Signet
3 Rakdos Signet
4 Castigate
4 Godless Shrine
4 Caves of Koilos
3 Orzhov Basilica
2 Blood Crypt
2 Sacred Foundry
3 Battlefield Forge
1 Sulferous Springs
2 Gemstone Cavern
2 Vesuva

次はサイドボードで、これまた大変な作業だ。相手が入れてくるであろうカードは解呪、帰化、トーモッドの墓所、萎縮した卑劣漢や、そのほかコンボを妨害するカード。(私個人は今のメタゲームに十分でないのでお勧めはしないのだが)トーモッドの墓所はとくに多くのプレイヤーがサイドボードに搭載していると思われる。大部分の白や緑のデッキには解呪や帰化がある。そして、私はこのデッキがそうした妨害をはね退けられるほど強力だとは思っていない。幸いにして、その方法に対抗策がある。変形サイドボードだ。サイド後はこのデッキは白黒赤コントロールに変形する!個人的に昔から多くのデッキでこの手を使ってきた。私の記憶が確かなら、初めて使ったのは2000年のエクステンデッドのPTQで、停滞デッキをサイド後は青コントロールデッキに変形させたことがあるこちらが対抗呪文と変異種を入れる一方、相手は解呪とアンチ停滞カードを手札に腐らせることになる。このほかにも、魔の魅惑デッキから、サイド後は魔の魅惑とコンボパーツを外して破滅的な行為や起源をいれてロック風のコントロールデッキにしたこともある。その最高傑作はGreater Giftsの変形サイドだ。メインでは陽星とよりよい品物のコンボだったが、2・3ゲーム目は花の神を使いまわすデッキに変形する。帰化、真髄の針、頭蓋の摘出などほかの対策カード見越した変更だ。サイドボード後はメインで使っていたパーツの依存度が下がり、相手への対策カードを入れて勝ちに行く。

では、このデッキの場合の変形サイドボードのコツを少し。大事なことがいくつかある。はじめに、サイド後の核となるカードは、コンボの要素に絡んでいないのが望ましい。渦巻く知識、直観、ブーメラン、神の怒り、対抗呪文、マナ加速などなど。コンボパーツは全て外すべきで、外した後のデッキにコンボ要員があってはいけない。このデッキの場合、白黒赤コントロールのおおよその骨格は以下の通り。印鑑、神の怒り、酷評、そしてチューター。外すのは永劫の輪廻4枚、野生の朗詠者4枚、ぶどう弾4枚にチューターが何枚かで、典型的な白黒赤コントロールに入りそうなカードが交替して強いデッキになる。

もう一つ心に留めておいて欲しいのは、こちらがサイドインするカードが、相手のサイドボインするカードに影響されないよう配慮しなくてはならない。永劫の輪廻の場合、エンチャント除去と墓地リムーブ。こういうわけで炎まといの天使とファイレクシアの闘技場は入らない。相手のカードが対象に取れてしまうからだ。相手の入れるトーモッドの墓所は無駄カードになったほうがよい。また、相手がサイドアウトするカードを逆手に取る手も使える。この場合、クリーチャー除去は永劫の輪廻のコンボに必要ないため外してくる。そのためサイドからはクリーチャーを投入しても、相手の糾弾や最後の喘ぎを気にしなくてもいい。この考えに基づいて、以下の15枚に落ち着いた。(いや、実際ここにくるまでにあれこれうんざりするほど試行錯誤があったんだ)

3 Dark Confidant
3 Ghost Council of Orzhova
3 Adarkar Valkyrie
1 Sunhome Enforcer
1 Skeletal Vampire
1 Sengir Nosferatu
1 Lightning Helix
1 Serra Avenger
1 Evangelize

1枚差しが多いのは悪魔の教示者で持ってくるため。闇の腹心はコントロール向けで、相手がサイド後に除去を外しているならなお良い。アダーカーの戦乙女とオルゾヴァの幽霊議員は擬似コンボになる。骸骨の吸血鬼をオルゾヴァの幽霊議員でサクリファイスし、アダーカーの戦乙女で再び場に出してトークン量産。相手にトーモッドの墓所があるとこの方法は使えないが、それなら単に出して殴っていれば良いだけの話だ。また、この2枚は自分の神の怒りとも相性がよい強みがある。サンホームの処罰者はディミーア家の護衛でサーチし、火力や獣群の呼び声のあるデッキに使う。

次はプレイテストの成り行きについて。実際のところこれは正しい手順を踏んで調整したとは言えないものだった。テストして、直し、また直し、いじって、やっと先ほどのバージョンになった。当初のバージョンは悪魔の談合やコーリスの子といった弱いカードが入っており、そうしたカードを取り除いて現在の形に落ち着いたのは今まで書いてきたとおりだ。そういう時期に使った弱いバージョンでのテスト数を除いても、ソーラーフレア(前に記事で書いた)や赤緑(同じく)に相当数テストしたと言える。メインの勝率は赤緑に50−50、ソーラーフレアに40−60くらいだった。ゲームそのものはきわめて単純なものなので、掘り下げたマッチアップの解説は割愛する。一刻も早くパーツを揃えてコンボ発動。ソーラーフレア相手には、コンボ発動前に悪夢の虚空をサーチして繰り返しキャスト、赤緑相手なら3・4ターン目に神の怒り、5・6ターン目にもう一度神の怒り。7ターン目には十分にコンボ発動の条件が揃っていることと思う。永劫の輪廻を出す前に野生の朗詠者を出すと、最後の喘ぎやショックなどで除去されてしまうことに注意しておきたい。

GPアテネの準備の合間を縫ってアプレンティスで約10ゲームほどこなしたが、サイド後にコントロールへシフトするときは、(コンボデッキの場合は)コンボパーツとディミーア家の護衛を外し、(調整相手のコントロールデッキは)トーモッドの墓所2枚と解呪/帰化2枚をいれ、神の怒りやクリーチャー除去を外していた。サイド後の勝率は向上し、特に相手が無駄なエンチャント除去やトーモッドの墓所の墓所を手札に腐らせたときは、サイドボードのクリーチャーに対処できていなかった。変形サイドは成功だと言えるだろう。しかし、勝つまでに時間がかかるようになったことによって負けたゲームもある。永劫の輪廻・野生の朗詠者・ぶどう弾を回し続けていればよかったときとは違い、クリーチャーで殴りに行くということはそれだけ時間がかかる。ソーラーフレアに入念な考慮をトップデッキされたり、赤緑に火力をトップデッキされて負けたりすることもある。それでも、サイド後もコンボデッキをやるよりは勝率は高い。サイド後もコンボのままだと、相手のサイドから入ってくるであろう、コンボ阻害カードのあおりを受けてしまう。

変形サイドの使い方についてもう少し。2ゲーム目では、相手がコンボ妨害カードを持っていない限りは変形サイドにシフトするだろう。3ゲーム目は読み合いと駆け引きのゲームになる。相手は君が白黒赤コントロールのままだと考えるなら、コンボ妨害カードを外してクリーチャー除去を入れ直すことだろうが、お勧めは15枚のサイドアウトしたカードをそのままメインに入れてシャッフルし、白黒赤コントロールのパーツを抜いてしまうことだ。うまくいけばもう一度騙すことができる!もっとも相手がどう出てくるかはわからない。トーモッドの墓所や帰化を入れているかどうか相手を注意深く観察し、サイドボードにまったく手を触れていないなどから判断し、それに合わせて動こう。

デッキの最終的な形をもう一度。

4 Dimir House Guard
4 Wild Cantor

4 Castigate
4 Diabolic Tutor
4 Enduring Renewal
4 Grapeshot
1 Nightmare Void
1 Persecute
4 Wrath of God
4 Orzhov Signet
3 Rakdos Signet

3 Battlefield Forge
2 Blood Crypt
4 Caves of Koilos
2 Gemstone Caverns
4 Godless Shrine
3 Orzhov Basilica
2 Sacred Foundry
1 Sulfurous Springs
2 Vesuva

3 Adarkar Valkyrie
3 Dark Confidant
1 Evangelize
3 Ghost Council of Orzhova
1 Lightning Helix
1 Sengir Nosferatu
1 Serra Avenger
1 Skeletal Vampire
1 Sunhome Enforcer

さて、デッキについて長々考え、テストして記事にしたが、結論がまだだって?このデッキは戦える。決してプレイできないなんてことはない。このコンボとクレイジーなサイドボードが嫌でないなら、選手権に持ち込むのはやぶさかではない。でもこのデッキがメタの主流(tier 1)だとは思わない。このコンボが環境を支配できるとか、素晴らしく安定して回るとは思えないため、どちらかというと周辺(tier 2)のデッキだ。総評としては、残念ながらドラゴンストームほどの勝率はあげられなかった。
私はソーラーフレアが嫌いだ。強くないからではないし、勝てないからではない。まして自分で作ったデッキでないからではない。ソーラーフレア相手に負けたからだ。大事なマッチで嫌いなデッキに負けてるだろとか言うな。私は最初のPTQ決勝でネクロ=ドネイトに撃破されたことがある。私は残りのシーズン中、環境最強のデッキを使わないこと、そのデッキを打倒するべく全力を尽くすことを決意し、その後スリーデュースでPTQを突破できた。さて、選手権でLuis Scott Vargas のソーラーフレアに負けた私は同じ事情でソーラーフレアが嫌いだが、このデッキは環境が変わった今も強力で、選手権でのメタとして考慮に入れなくてはならないときている。

今回も前回の記事と同じように書いていく。選手権のメタゲームについてとやかく言うつもりはないし、実際のところ選手権のメタゲームなど気にするまでもない。たいがい当日はデッキの種類が多すぎて把握しきれないうえ、メタデッキを使えば負ける。8ラウンド戦って全部違うデッキと当たっても驚くようなことではない。プレイヤーは自己流オリジナルデッキを使う。メタゲームがどうなるかなんて誰もわからないし、わかっていたとしてもやりたいようにやる。選手権にメタゲームなんてものは存在しない。

以下はFrank Karsten が先週月曜の記事で書いていたデッキリストだ。

4 Godless Shrine
2 Island
2 Orzhov Basilica
3 Swamp
3 Underground River
1 Azorius Chancery
3 Flagstones of Trokair
3 Gemstone Caverns
2 Hallowed Fountain

2 Dimir Signet
4 Azorius Signet

3 Akroma, Angel of Wrath
2 Angel of Despair
2 Skeletal Vampire

4 Compulsive Research
2 Careful Consideration
2 Court Hussar
3 Mortify
2 Persecute
4 Remand
4 Wrath of God
3 Zombify

Sideboard:
3 Condemn
3 Faith’s Fetters
2 Last Gasp
2 Orzhov Pontiff
2 Spell Snare
2 Persecute
1 Swift Silence

ゾンビ化はもう必要ないし、入念な考慮が入った。黒を外してみたらデッキはどうなるか?屈辱、迫害、絶望の天使が抜ける。抜ける3枚のために入れた3色目がなくなったため、デュアルランドの枚数が減る。土地からのダメージで死ぬことがなくなるんじゃないだろうか?2色あれば必要なパーツは全てそろっていると言いたい。

これが私のデッキリスト

Main Deck

4 Wrath of God
3 Resurrection
4 Remand
2 Careful Consideration
4 Compulsive Research
4 Azorius Signet
3 Condemn
3 Spell Snare

4 Court Hussar
3 Akroma Angel of Wrath
3 Adakar Valkyrie

2 Plains
4 Island
4 Adakar Waste
3 Azorius Chancery
3 Flagstones of Trokair
3 Gemstone Caverns
4 Hallowed Fountain

Sideboard:
1 Condemn
3 Faith’s Fetters
1 Resurrection
2 Teferi’s Moat
4 Mana Leak
4 Ancestral Vision

土地の構成:特筆すべきは宝石の洞窟とトロウケアの敷石のみ。どちらも強力なランドだ。3色ではなく2色にするだけの理由にもなった。(青を外して)白単色コントロールにし、流砂と砂漠を入れたデッキが出てきてもおかしくない。変に聞こえるかもしれないが、後攻のときのビートダウン相手のために、4枚目の宝石の洞窟をサイドボードに入れることも考えている。

神の怒り:史上最強の全体除去。構築というフォーマットある限り永遠不滅の存在で、MTG史上3本指に入るカード。特に選手権のような、クリーチャーデッキが群生する環境で4枚使わないのはあり得ない。

復活:黒をカットできる理由だし、逆に言うと、それまで黒がソーラーフレアに入っていた理由はゾンビ化のため。クリーチャー相手にもコントロール相手にもよし。ダブルシンボルも全然気にならない。構築で復活を使い、相手の「いい顔」を拝見したことがある。相手はこのカードが「復活」したことも知らなかった。

差し戻し:待機カード対策に必須。さらに、時間稼ぎにも有効。テンポをめぐるゲームにこのカードは強い。コントロール相手にもキーカードを守るのに役に立つ。このカードを解説するたびに同じことを繰り返しているが、単純にこれは強い。それだけ。

脅迫的な研究:厄介なカードドロー。アクローマの墓地送り要員。それだけでなく、アクローマをプレイするための土地を引いてこれる。3ターン目に印鑑が出ている(4マナある)状態で、相手の2マナカウンターに呪文嵌めを構えつつ、脅迫的な研究のキャストがお気に入りのプレイングだ。

宮廷の軽騎兵:花の壁の上位互換。ドローを加速しつつ、ビートダウンもできる。ブロック構築でのテストプレイでは、ビートダウン相手にもコントロール相手にも中途半端で使えなかったが、スタンダードになると話は別だ。サバンナ・ライオンやSatanic Slight を考えてもらえばわかるだろう。デッキに入れる価値は十分だ。

入念な考慮:相手のエンド前に使って次の自分のターンにマナを使える分、脅迫的な研究より使えることもたまにある。リアニメイターとしてのデッキの動きも考えると、手札からキャストするよりは墓地から出したい。デッキに余裕があるなら3枚目を入れることも考えている。

アゾリウスの印鑑:ただマナ加速のために。3ターン目の神の怒りは強力だし、土地が足りないときに引いてきても悪くはない。最初は印鑑6枚だったが、色の合わないやつしかなく、(訳注:オルゾフ、ディミーアの印鑑のことか?)神の怒りや入念な考察がプレイできずにキれたことがあった。だから4枚に減らし、1枚引ければ十分だ。実際2枚目はいらないだろうし、デッキに6枚ではちょっと多すぎる。

呪文嵌め:デッキのキーカード。解説しよう。以前のソーラーフレアはコントロールデッキで、単純にデカブツを手札から出して殴って勝つデッキだった。今度は違う。もちろんそういう勝ち方もできるが、(ローテーションと黒を切った関係で)絶望の天使も骸骨の吸血鬼も神河のドラゴンもない。アクローマは、手札からプレイするよりも、リアニメイトするほうに重点が置かれ、可能な限り早く出さねばならない。このために呪文嵌めを使う。これのお陰で、こちらのキーカードが格段に通りやすくなる。誰がサイドボード用カードと言おうとも、私はメインに入れるのが好きだ。そして1ゲーム目に使って見せた後、サイドアウトするのもやぶさかではない。

糾弾:これも重要。ボブは死ななければいけないし、フィンケルも同罪だ。(注)糾弾は明らかに対ビートダウンに必要で、対コントロールに不要。特にコントロール絡みで、墓地に落ちて云々というドラゴンもいなくなったので、ファッティの処理に困ることもなくなった。とはいえ強力なスペルをプレイするため、除去は軽い方がよく、結局糾弾に落ち着く。同じターンにカードドローしつつクリーチャー除去ができれば言うことはない。

アクローマ:愛すべきナイスバディ。マジックザギャザリングドットコムが言うんだから間違いない。

アダーカーの戦乙女:こちらはそうでもないのだが、青白2色に限って言えばイケてる彼女だ。他に風を割くものも候補だが、結局どちらも入らないという説もある。赤を散らして炎纏いの天使も考えたが、蛇足な変更で、もっと別なデッキに向きだろう。人はそれを天使デッキと呼ぶんだろうな。

サイドボード

もし私がこのデッキを選手権でプレイするなら、サイドボードは半分をコントロールのために、もう半分をビートダウンのために使う。糾弾1枚、信仰の足枷3枚、テフェリーの濠2枚、それと必要なら追加の復活1枚を入れ、差し戻し4枚、入念な考慮2枚、アクローマ1枚を外す。コントロール相手にはマナ漏出4枚、祖先の幻視3枚を入れ、糾弾3枚、神の怒り2枚、宮廷の軽騎兵2枚を外す。

マッチアップについて語るべきことは多々あるだろうが、そろそろおさらばさせてもらう。サイドボード用カードはデッキの全体的な動きに合わせたものであって、特定の相手を想定したものではない。繰り返すが、相手のデッキが何かなんて分かりはしない。予想できるもの全てが相手なのだから。

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